ジュエリーブログ,ニュース / ジェムランド

2009/6/8 月曜日

スリランカ宝石便り その24 〜スリランカ宝石採掘の状況(その1)〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 13:29:23

スリランカは日本の北海道くらいの大きさの島国です。

熱帯性気候で一年を通して暖かく季節は雨季と乾季にわかれます。

5月から8月にかけては島の南西から南、中央、西にかけての範囲が雨季になり、10月から1月にかけては北東から入り込んだモンスーンで西部や北部が雨季になります。つまり同時期に島の右と左で気候が違ってきます。島の中央の山岳地帯は紅茶が広く栽培されていますが、気温が低く、夜になると冬のように冷え込みます。

 スリランカの地図

その中央を中心に東部から南西部にかけた地域はHighland Southwestern complexと呼ばれ、

中央から南は様々な種類の宝石が採掘される場所となっています。 

今回は、山岳地帯を中心に宝石採掘現場を見学に行きました。

 

 鉱山1 機械堀り現場

 

 スリランカは昔ながらのピット(pits)方式(井戸のように縦穴に掘っていく)が主流ですが、広大な場所では大規模に機械を入れて20〜30メートルほど掘っていく方法が取られています。砂利や粘土層を掘っていき宝石層に辿り着きますます。コランダム、スピネル、ガーネット、クリソベリルが採掘されます。 

 

鉱山 川堀り現場

 スリランカのサファイアやスピネルは二次鉱床の漂砂鉱床で、結晶の形を失った小石のような状態で発見されます。川底を掘り下げる方法もされていますが、採掘される宝石は小さいものが多いです。環境破壊の観点から川の採掘は禁止されています。 

 

 

片山新子(かたやま しんこ)、FGA

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(↑採掘現場のエピソードなども書いています。)

2009/6/2 火曜日

モーブッサン、銀座でダイアモンドを無料で配る

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーコラム — ジェムランドeditor @ 11:31:34

昨日の朝、銀座5丁目を歩いた方は長蛇の列を見て何事かと驚いたに違いない。
モーブッサンが先着5千人に配布した0.1ctのダイアモンドを手に入れようと並んだ人々だ。

以下余談。

江の島でエスカレーター(エスカーという名称。江の島の頂上まで登るのが大変な人が利用する。有料)に乗ると、乗り場で“抽選券”なるチケットを配っていた時期がある。

ある日の江の島で“抽選券”をもらってエスカーに乗った。

頂上でエスカーを下りると抽選券を確認に来た別の係の人が、

  「おめでとうございます!当選です!」

と大きな声をあげ、1ct位ある、今にして思えばキュービックジルコニアと思われるラウンド ブリリアントの裸石が入った5cm四方程度の台紙入りの透明な袋を見せてくれた。

こちらは狐につままれたような気分でいるが、反射的に袋を手に取ろうとした。すると、そのタイミングを見計らったように「さぁ、こちらへどうぞ」と袋はスルスルと少し離れたところに用意された机と椅子の方へと移動していって、手に出来ない。こちらは目の前にぶら下げられた人参を追う馬よろしく椅子の方へとフラフラと近づく羽目になった。

椅子に到着するまでに聞いた係の人の話によると、この“宝石”は無料でプレゼント
するが、身に着けられるようにするための加工賃が必要だ。僅かな加工賃でこの素晴
らしい“宝石”を無料で手に出来るあなたはとても幸運だとの事であった。

何のことはない。キャッチセールスだった。

今の江の島でこのような事は行われていないが、これは私がまだ二十歳になるかならないかの頃だったと思うから、20年程も前の話。人生経験の少ない当時は、一歩間違えたら得した気分になって引っ掛かっていたかも知れない。

モーブッサンのダイアモンド無料配布を知った時にこの古い記憶が突然蘇ったけれどもちろん世界のモーブッサンがそのようなセコイひも付き商売をする訳もなし。純粋に配るだけであった。

このニュースはテレビでも紹介されたから、広告効果はこの日に配ったダイアモンドの仕入れ費用相当にはあったかもしれない。

2009/5/19 火曜日

メレバンク・カフェ(16)はずしメレーについて

Filed under: メレバンク・カフェ — 佐野 良彦 @ 7:46:05

インターネットや雑誌でジュエリー買取の広告が増えています。地金価格が少し下がって落ち着いてきましたが、それでもバッグや時計よりも盛んな気がします。有名ブランドのバッグや時計の中古品価格が暴落したせいかも知れません。買取られたジュエリーはそのまま仕上げ直しをして再販されることもありますが、多くはつぶされて、地金は地金で売られ、中石は中石で、メレーはメレーで売られます。
中石は必要なら再研磨して、ソーティングや鑑別を取れば1ピースでも再販が可能ですが、メレーはひとつのジュエリー毎にメレーを売るという訳にはゆきません。量をまとめて販売するというかたちになります。

はずしメレーは最近研磨されたものばかりとは限りません。20年も30年も、時には50年も前に研磨されたメレーが存在します。インドの研磨技術も随分進歩しましたから20年も前のメレーはクラリティが良くてもカットが悪くて使えないものが多いのです。インドには日本から還流した古い、カットの悪いメレーが売れずにそのまま残っているそうです。

また、はずしメレーは欠けているものが多く含まれます。使ってる際に欠けたものとはずす際に欠けたものです。経験的に言うと、彫り留されたメレーははずすと1割以上の石が欠けて戻ってきます。

それだけではありません。はずしメレーの中にはキュービックのメレーが結構混じっています。ダイヤの中からキュービックを選り分けるのは簡単だろうと思われるかも知れませんが、小さいメレーではルーペで見ただけでは判断がつかないケースもあります。最終的には機械に頼るのですが、この機械はキュービックが混じっているかどうかは判断できますが、どのピースか特定できないというものなので、キュービックを取り出すのはとても時間がかかります。

というわけで、1個石のダイヤは、はずし石でも新しくカットされたダイヤとほぼ同じ価格で再販が可能ですが、メレーは数分の1の価格になります。それでも色々問題を抱えていますので、リフォームなどで使用する際には慎重に対応する必要があります。

佐野 良彦

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2009/5/18 月曜日

スリランカ宝石便り その23 〜スリランカに平和が戻った〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 16:24:19

今日は宝石の話ではないのですが、スリランカにとって歴史的に大切な日なので、その話を書きます。

これまでこの国にとって、「平和」とは絵に描いた餅のようなものでした。

今年に入り政府は大規模な戦闘を北部・東部で行い、ついに今月16日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)を制圧したという勝利宣言をしました。
多くの避難していた一般人が巻き込まれ、そのような政府のやり方に国際社会からも批判が出ていました。話合いによる「平和協定」より、徹底的に相手を壊滅させる選択を政府は選んだのです。その結果、LTTEは壊滅状態で敗北を宣言しました。コロンボ市内でも17日の日曜日の朝は、街の至るところで終戦を祝う爆竹が鳴り響きました。
 

スリランカには、仏教を信仰する多数のシンハラ人、ヒンドゥー教を信仰する少数民族のタミール人、そしてモスリムの人たちが住んでいます。宝石ビジネスの多くはモスリムで、その次にシンハラ人です。(そう言えばタミール人の宝石商は会ったことがないですね。)
スリランカにいるタミール人が全てLTTEを支援していたというわけではありません。多くのタミール人はLTTEのゲリラ活動に批判的でした。戦闘地から離れているコロンボでも自爆テロが繰り返され、道路閉鎖や検問、市民生活には多くの支障がありました。観光が国の重要な財源であり、ビジネスにも影響されるので、早く戦争が終わり、観光客が戻ってくることをスリランカ人は強く願ってきました。

宝石店が多く入った、国の産業事業のひとつであるワールド・トレード・センターも多くの宝石店が店を閉めている状態です。(気の毒なくらい客がいません。)LTTEは壊滅状態ですが、個人的な自爆テロの危険性はまだ指摘されています。

多民族をどう平等に扱っていくのかという多くの課題がある政府ですが、25年続いた内戦が終わり、本当の平和続くことを祈ります。 

 終戦を祝う国旗 終戦を祝う為、街中に国旗が飾られています。

片山新子(かたやま しんこ)、FGA

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2009/4/20 月曜日

ジュエリー・ビジネス・トレーニング[初級講座]第2回:マーケティング概論(2)

これからジュエリービジネスをとお考えの方
本格参入したけれど、どうも上手くいかない
ビジネスの壁に突き当たっている方のための

ジュエリー・ビジネス・トレーニング
[初級講座]
第2回:マーケティング概論(2)

何故マーケティングを学ぶのか

 マーケティングについておおよそのフレームは掴んで頂けたかと思います。では何故マーケティングを学ぶのかという事についてお話しします。

 恐らく宝飾品業界の第3世代(55歳以上の経者)以上の人たちは、マーケティングは商売の邪魔にこそなれ、売上や利益に繋がらないと思っている人が多いのではないかと思います。それは今まで自分たちの経験と勘で充分にやってきた実績があるからなのです。

 1980年以降宝飾品業界は右肩上がりに成長し1990年には2兆8千億円といういまだかつてない大きな市場を作り出しました。私もそうですが、このとき誰もが5兆円市場になると信じて疑わなかったのです。80年代から90年にかけて、自分たちの作るジュエリーは面白いように売れました。

 しかし1992年に起きたバブル崩壊は、一瞬のうちに宝飾品業界を奈落の底へたたき落としたのです。それから16年、2008年9月に起こったアメリカの金融恐慌(リーマンショック)は宝飾品業界に更に追い討ちをかけました。それまで何と凌いでやっと光明がみえ出したと思ったら、更に厳しい現実が待っていました。

 この年、小売店大手の「ベリテ」がM&Aによりインドのダイヤモンド企業デジコグループの傘下に入りました。そして「田崎真珠」がファンド会社にゆだねられ、さらには一世を風靡した「ジュエリーマキ」が会社更生法の適用を受けたのです。

 こうした状況の中で、宝飾品業界がいつ頃好転するのかは誰もはっきりとはいえませんが、恐らく3-5年は不況が続くだろうと見ています。また少なくともこの業界が好転したとき、相変わらず海外の一流ブランドとインド、中国を核とする低価格帯の挟まれた日本の宝飾品業界の体質は、このままでは何も変わらないだろうと思います。そして複合化してきた社会と多様化した消費者・個客のニーズやウォンツに応えるためには、より具体的で実践的なマーケティングが必要になるというわけです。

マーケティングのトライアングルを知ろう 

皆さんがG.Gの資格を取りデザインを学びジュエリーに仕上げます。そしてそのジュエリーを消費者・個客のもとに届けるためには流通や価格、宣伝広告などを知り、活用しなければ的確に届きません。図のようにPRODUCT(商品)とPLACE(販売)とPROMOTION(宣伝広告)の3つのPが歯車のように円滑に噛み合なければ効果が発揮できません。これがマーケティングなのです。

2.gif

 図にもあるように商品と販売をつなぐ役目が「Conceptual field(コンセプチュアルフィールド)」です。これはいってみれば潤滑油の役目を果たします。ただ単にモノを作れば良いというわけではなく、的確に消費者・個客に商品を伝達するためには、商品の特徴や目的などの「コンセプト」が必要になってきます。

 販売と宣伝広告を結びつける潤滑油は「Design/Idea field(デザイン・アイデアフィールド)」です。これは消費者・個客に商品の良いイメージを伝えなければなりません。広告やカタログ、パッケージなどに、競合他社の商品と差別化を図るデザインやアイデアの工夫が求められます。

 商品と宣伝広告を結びつける潤滑油は「Communication field(コミュニケーションフィールド)」です。ここでは消費者・個客に対して正しい商品知識と情報を伝達するためのし掛け作りのようなものです。

増渕邦治(ますぶち くにはる)

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2009/4/9 木曜日

メレバンク・カフェ(15)メレーの価格はどうなる?

Filed under: メレバンク・カフェ — 佐野 良彦 @ 11:46:17

世界同時不況の影響をダイヤモンド業界も大きく受けています。1個石を見てみると大きい石、グレードの好い石の価格は昨年秋から急落しました。1ct、2ctの高品質のダイヤの価格は2009年に入っても下がり続けています。世界不況はまだまだ続きそうですから、当分の間キャラアップの高品質のダイヤの値上がりは難しいと思われます。同じキャラアップでもSI,ピケに関してはそこそこ需要があり、価格は下げ止まっています。

今、ダイヤモンドが一番売れているのは中国とインドです。リーマン・ショックで落ちた需要がかなり戻りました。ベトナムも回復しつつあります。売れ筋は2分から5分のG-JカラーのVVS1~VS1、カットはエクセレントからフェアまで広いレンジです。ポインターのSIクラス、キャラアップのH~Kカラー、VSクラスも一定の需要があります。

最近はダイヤモンド価格の国際化を痛感します。日本国内のものでも国際的に安いダイヤはすぐ買い手がついて海外に輸出されることが増えたせいでしょう。価格的に上がりそうなアイテムは2分、3分のJアップVSアップ、5分までのポインターのSI,ピケクラス、キャラアップのSI,ピケ、H-K、VSクラスというところでしょうか。

ではメレーの価格はどうでしょうか? 1個石と同様にメレーの価格も昨年来かなり下落しました。しかし、これはロットの価格が下がったということで必要とするサイズ、品質のメレーが安く買えるようになったということではありません。サイズや品質の要求が細かく、シビアになるにつれてロット価格とセレクション価格の差は大きくなっていって、みんなが欲しがる品質、サイズの価格は殆ど変わりませんでした。
不況時には高品質材料が少量しか売れない現象が起こると言われます。ヘビーナッツやヘビーピケ、ダークブラウンのメレーはかなり値段を下げましたがエクセレントメークのクリーンメレーは逆に価格を上げました。

昨年末からインドのメレー生産はかなり減少しています。生産調整の意味合いもありますが、株式や不動産に投資した挙句、バブルの崩壊でキャッシュ・フローが不足している業者も多く、銀行も新規の融資には慎重ですから生産が旧に復するには時間がかかりそうです。みんなが欲しがるアイテムの価格は徐々に上がって行くのではないでしょうか。

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2009/3/31 火曜日

スリランカ宝石便り その22 〜National Gem&Jewellery Show〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 21:48:36

3月27日から29日まで、コロンボ市内のBMICHでNational Gem&JewelleryShow(スリランカ Gem & Jewellery協会主催)が開催されました。

このような宝石展示会はスリランカでは3つあります。9月のFacetsが国際展示会として最大規模で、その次に12月のスリランカ宝石学協会主催の宝石と鉱物を中心としたもの、そしてこの度のスリランカ人を対象としたものです。今回の参加は約50ブースで、残念ながら見ごたえのある宝石は少なく、どちらかというと産出量の多い手頃な値段のものが多く並べられていました。

 会場の様子

Facetsのように海外のバイヤーではなく、スリランカ人の若い層や遊び心のある裕福層が対象の為、ジュエリーはシルバーアクセサリーのようなものが主流に販売されていました。一般的にスリランカでは、宝石を使用したジュエリーより市場でいつでも換金可能な22金のネックレスやブレスレットを持つ人が多いです。しかし若い世代を中心に、大ぶりな宝石を加工した手頃なシルバーアクセサリーにも人気が出てきて、色とりどりの宝石を使ったピアスなどを販売しているお店のブースは賑わっていました。

また宝石やジュエリーに限らず、研摩機械の販売や研摩工場の紹介、コランダムの熱処理の機械が販売されているのも、やはりスリランカだなと感じました。

宝石研摩用の機械

片山新子(かたやま しんこ)、FGA

個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

(Gem Showのこぼれ話などを書いています)

2009/3/16 月曜日

スリランカ宝石便り その21 〜コーネルピンとエンスタタイト〜

宝石の中でもあまり聞きなれない二つの宝石を今回はご紹介します。

どちらも希少石として、宝石質のものがスリランカで産出されます。しかし色合いや硬度の低さを考えるとジュエリーには難しく、コレクターとして研摩される程度です。こちらでも市場に出てくることは少ないのですが、このふたつを比べた場合コーネルピンの方が見かける機会が多いです。スリランカ産のコーネルピンは鉄分が多く、ブラウンや暗緑色、黒っぽいものが主流です。

 

エンスタタイトもコーネルピンに似たような色合いのものが多いのですが、中にはクロムを起因とした美しい緑色、ダイアモンドのように無色のものがあります。どちらの宝石も一条の光の帯が出るキャッツアイも存在します。 無色のエンスタタイト

スリランカではこの二つの宝石は同じ漂砂鉱床から産出されます。宝石学的特徴から見れば、どちらも比重が近く屈折率も同じです。

コーネルピン  比重3.32、屈折率1.66-1.68(複屈折量0.013) 硬度6.5

エンスタタイト 比重3.27、屈折率1.66-1.67(複屈折量0.010) 硬度5.5

 このように見た目も屈折率も近い宝石をどのように区別したら良いでしょうか?

まずは丁寧に屈折率を計り、複屈折量の違いを見ます。しかしこの数値も近いので、これで確実な鑑別とはいかないのが現実です。顕微鏡の拡大検査では、コーネルピンはルチル、アパタイト,ジルコンといった鉱物が見られます。またコーネルピンは多色性が強く、方向によって色相が違うと言われています。(しかし私の経験では、それほどはっきりとは多色性が確認できないことが多いです。)その他の確実な鑑別としては、エンスタタイトは特徴的なスペクトラムを持ちます。緑の部分(506nm)に光の吸収が確認できます。

あまり見かけることのない宝石ですが、共通点の多い宝石を比べてみるのも楽しいものです。

片山新子、FGA

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2009/3/1 日曜日

スリランカ宝石便り その20 〜スリランカ特有の宝石、シンハライト〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 20:05:47

シンハライトという言葉はスリランカという国を指す「シンハラ」という言葉が由来です。屈折率や比重が近いことから長い間、ペリドットとして扱われていました。

   シンハライト  屈折率1.67−1.71  比重3.48

   ペリドット     屈折率1.64−1.69  比重3.34 

複屈折量はどちらも同じく0.036と大変大きいです。その為、顕微鏡でテーブル面から覗いた時にパビリオンのファセットが二重になってみえます。

ご存知、ペリドットの色はオリーブのような緑色ですが、シンハライトは淡い黄色がかった茶系から帯緑褐色、濃い褐色です。この色の違いは含まれる鉄分によるもので、色の濃いものほど比重が重くなります。希少石のひとつとして、ルースコレクターには魅力的な宝石となっています。宝石質のシンハライトはスリランカで産出されますが、ペリドットはあまり産出されません。(ペリドットが産出された記録はありますが、現在のスリランカの市場で取引されているペリドットの多くは近隣諸国から来たものでしょう)。

スリランカは砂礫層なので、産出されるシンハライトは丸くその結晶の形は失われています。シンハライトの原石シンハライトの原石

研摩された後は、ガラス状の光沢な為、照りのある強い輝きがあります。 研摩された後のシンハライト

 

残念ながらジュエリーとしてシンハライトはあまり使われていません。確かに硬度が6.5(ペリドットも同じ)とあまり高くありません。しかし、美しく研摩されたシンハライトは輝きがあって大変魅力的なジュエリーになると思われます。

ペリドットとの違いを見分ける鑑別方法→ブログを参照して下さい。http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki/diary/200812300000/

片山新子(かたやま しんこ)、FGA

個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

2009/2/9 月曜日

宝飾業界に於けるITの活用について24-RSSの活用

Filed under: ジュエリーコラム — ジェムランドeditor @ 6:11:21

早起きな私が起き抜けに戸外で体操をするのは、ちょうど新聞配達の若者がスーパーカブに乗って配達にくる時刻と重なる。最初は朝のあいさつだけだったけれど、頻繁に早朝顔を合わせている親しさから最近は四方山話を交わす事も多くなった。ある時「お隣引っ越して来たから営業にいってみれば」などとお節介を焼いたら、どのように新しい転入者を調べるものか、既に訪ねたという。しかしニュースはインターネットで読むから新聞は取らないと言われたそうだ。
この隣人の例を挙げるまでもなく有益な情報をインターネットで収集できることを否定する方は少ないだろう。ネット上には不正確な情報も氾濫しているから自らフィルタリングをする必要はあるが、ジュエリー業界に役立つ情報も多くある。宝石学情報から最新の貴金属相場、ジュエリーのトレンド情報、競合事業者の動向など、数え上げればきりがない。
しかし一方インターネット上に公開されている情報は膨大であり、その全てを見て回ることができない以上、情報収集に要する時間を短縮して効率的に行う意義は大きい。今号では情報収集に役立つRSSを紹介したい。

◆RSS配信とは
RSSとはウェブサイトの要約を記述する規格のひとつだが、更新情報を配信することができる点が特徴だ。全てのホームページが対応している訳ではないが、先頃リニューアルしたGIA JAPANの携帯サイトをはじめ、ブログ、ニュース サイトの多くで取り入れている。
“配信”される情報だからこれを受信することで、ウェブサイトを閲覧するという能動的なアクションを経ることなく、受動的に更新情報を得ることができる。
この受動的に情報を得る為のソフト ウェアをRSSリーダーという。

◆RSS配信リーダー
RSSリーダーにはメール型、ウェブ型、常駐型などがある。

◇メール型
thunderbird.jpgメール型ではメールを受信するのと同様の感覚であらかじめ登録しておいたサイトの更新情報を受け取ることが出来る。写真左は無料のメールソフト、サンダーバードでRSSを受信した状態。日常使用するメールで複数の更新情報を知ることができるから、ひとつひとつのサイトを順に閲覧して新しい情報の有無を確認する手間が省ける。

Outlook 2007の場合、次の手順で受信できる。

  1. [アカウント設定]ダイアログ ボックスから RSSフィードを追加。
  2. [ツール] メニューの[アカウント設定]をクリック。
  3. [RSS フィード]タブで、[新規]をクリック。
  4. [新しい RSS フィード]※ダイアログ ボックスで、RSSのURL (後述の“RSSの登録”参照) を入力するか、ブラウザ(インターネット閲覧ソフト)のURL欄からコピーをして貼り付ける。
  5. [追加] 、次いで[OK]をクリック。

◇ウェブ型
マイヤフーネット上に用意されたRSSリーダーをブラウザを介して利用するのがウェブ型。多くはユーザ登録をすることで無料で利用可能だ。写真2(右の画像)はMy Yahooを利用した例。Yahooのホームページから無料のMy Yahooアカウントを取得して利用することが出来る。
My Yahooにログインしたら[RSSの追加]をクリックし、表示されるページの[アドレスを指定してRSSを追加]という欄にRSSのURL (後述の“RSSの登録”参照) (※2)を入力するか貼り付け、[追加]ボタンを押す事で、あらかじめ登録したサイトの更新情報がMy Yahooのページで一覧できるようになる。複数のサイトの更新状態がひと目で分かるからひとつひとつのサイトを閲覧して確認する手間が省ける。

My YahooのRSSリーダーは携帯電話からも利用することができる。写真2はMy Yahooにログインし、パソコンでGIA JAPANの新しい携帯サイトと弊社で公開しているジュエリーに関するニュースやコラムのRSSを登録した状態だが、[モバイルに送る]をクリックしておくと、携帯電話でMy Yahooにログインをして、このRSSを閲覧することができる。
本題からは逸れるが、携帯から利用するMy YahooではRSSの閲覧以外にもスケジュールの確認やYahooメールアカウントに届いたメールを読むことができる。スケジュールの確認はあらかじめヤフーカレンダーというスケジュール管理ソフト(こちらもYahooアカウントで無料で利用できる)に予定を書き込んでいる場合に可能だが、このカレンダー、その日の予定を一覧にしてメールで送ってくれたりもするので重宝だ。

◇常駐型
ティッカー型とも呼ばれる常駐型のRSSリーダーは、専用ソフトをパソコンにインストールして使う。デスクトップに常駐するタイプの場合、最初に設定さえすれば新しい更新情報があるとポップアップやテロップの形で新しい情報があることを教えてくれるから、他の作業をしていても直ぐに分かる。
その他、多くの専用のRSSリーダーが存在する。検索エンジンで“RSSリーダー”をキーワードにして検索すると見つけることができる。

◆RSS配信の確認
rsssite.jpgRSSで更新情報を受け取るには当該サイトがRSSを配信している必要がある。RSS配信を行っている場合にはページ上のどこかにRSSの文字が記載されているはずだ(写真3)。インターネットエクスプローラの場合、バージョン7以上ではブラウザ上に写真3で示したようなマークが点灯する。

◆RSS配信の登録
rss.jpg定期的に閲覧をしているウェブサイトの更新情報をRSSリーダーで確認するためには、それらのサイトをRSSリーダーに登録する必要がある。作業は簡単だ。前項[RSS配信の確認]で記した点灯したマーク、あるいはRSSの文字をクリックすると写真4のようなページが表示されるが、このページのURLをコピーして、前述のRSSの設定欄(※Outlook 2007および※2My Yahoo)にペーストすれば良い。

◆RSS配信を配信するシステム
今まで、RSSを受信する方法について記したが、情報配信という別な面から見ると、運営しているホームページをRSSに対応させることで検索エンジンのインデックスへの登録を促進すると共に、適切な設定をすることで登録までに要する時間を短縮させる事ができる(ジェモロジスツニュースVol.59 「ウェブサイトアクセスアップのヒント2」参照)。

(弊社はホームページ制作会社という面もあるが、現在新規に提案させて頂いているホームページの多数はRSSに対応したCMS(同Vol.59参照)を基幹としている。検索エンジン対策もあるが、最大の利点はサイトの更新をクライアント側のスタッフでも簡単にできるという点にある。)

これから新たにホームページの作成を検討している方は、RSS配信できるCMSサイトは検討に値する。

有限会社フクモト・ロジスティック・システム
福本 修

本稿は、ジェモロジスツ ニュースGIA JAPAN発行)vol.63に寄稿した弊社原稿をGIA JAPANの許可の元、転載した。

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