AGTA GTCラボラトリーは、黒色不透明の人造ガラスがブラック カルセドニーとして販売される例が増加していると報告した。
広く知られるメノウはカルセドニー(玉髄)の一種。
ブラック カルセドニーは黒色に染色処理を施したカルセドニーで、一般には“オニキス”、あるいは“ブラック オニキス”として販売されている。
このガラス製のカルセドニー模造石は中国製で、ブラック カルセドニー単体ではなく、バングル(腕輪)、あるいは指輪の一部、つまりジュエリーの素材として使用される例が多い。
屈折率は1.53程度とカルセドニーと同じだが、光ファイバー光などの強力なライトを検査石の薄い部位に透過させて拡大検査をすると、カルセドニーにしては不自然な特徴が観察できる。例えば小さなハシゴを思わせる、平行に配列した複数の短いニードル状インクルージョンといった特徴だ。また仮にわずかにでも欠けている部分があるならば、その割れ口の光沢にも着目すると良い。小さな結晶の集合体であるカルセドニーのそれはロウのように鈍いが、ガラスの割れ口の光沢は、ツルっとして高い光沢を持つ(※)。
AGTA GTCではラマン分光法とED-XRF(蛍光X線分析)を併用して鑑別結果を出したが、一般のジュエラーは、日頃からブラック カルセドニーであることが確実な石に同様の検査(光を透過させた状態での拡大検査や割れ口の観察)を行いその見え方を知っておくと、類似石との識別に役立つだろう。
写真はAGTA GTCの撮影。天然ラピスラズリを使用しているが、リングの上部、黒色部分がブラックカルセドニーを模したガラス製の模造石。
※フラクチャー(割れ口)から得る宝石鑑別上のヒント
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ha/tips_for_gem_ident2.html
GIA JAPANの同窓会組織、GIA AAJ(ジーアイエーエーエージェイ)では、第3回ジュエリーデザインコンテストの応募作品を募集している。
応募作品は2009年9月3日、JJF特別イベントゾーンにて開催されるJJFパーティー特別イベント会場にて来場者の投票と審査員による審査をもって各賞を決定する。
各賞受賞作品の発表及び表彰は、同日同会場にて午後4時から開催。
応募資格は応募者が国内在住であり、作品が国内外で未発表作であること。テーマやアイテムは自由。A4サイズのイラストレーションボードに原則として原寸で手描きし絵の具や色鉛筆で彩色する必要がある。ベラムやトレーシングペーパーに描いたものでもイラストレーションボードに貼り付ければ応募できる。一人3点まで応募可能。
応募に際しては、規定の申込書と解説用紙(一作品一枚)※に必要事項を記入の上、書留郵便もしくは宅急便にて下記の宛先まで送付、または持参する。
締め切りは2009年7月28日(火)。
提出先(持参の場合は事前連絡必要)
〒110−0005 東京都台東区上野5−15−14御徒町CYビル3F
GIA AAJデザイン コンテスト 係
TEL:03−3839−8234
※規定の申込書と解説用紙
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6月21日のスリランカの新聞、「サンデー・タイムズ」に宝石鉱山の現状が大きく取り上げられていました。世界遺産にも登録されている仏歯寺のある古都キャンデイから北へ行った所にあるマータレという採掘現場の鉱山主の声です。この地域は良質なガーネットが採掘される場所としても有名なのですが、世界的な不況で原石の価格が低迷し、マータレ地域一帯に2千も存在した採掘現場は今では10しかないということです。これはマータレに限ったことではなく、不況の中で採掘量が需要以上に増えれば価値と価格は下がってしまいます。その為に採掘を差し控える鉱山主も多いですし、価格を下げてまで販売しない業者もいます。良質な宝石は景気が回復されれば必ずニーズがあるからでしょう。
怒りの矛先はスリランカの政府機関「National Gem and Jewellery Authority」にも向けられています。税金の値上げ、不可解な規則や汚職。宝石の採掘や宝石を売買するディーラーはライセンスを取得しなければなりません。過去にそのライセンスを安易に発行した為に取得者が増えたことへの不満もあります。昨年の宝石ディーラーのライセンス取得者は4794人、鉱山の採掘は4204人、研摩業者は194人でした。今年はこの取得条件を厳しくして数を減らす動きが出ています。
また、これまでの大手輸出相手国であった「米国、香港、日本」ではなく、新たに「インド、中国、ロシア」へと市場の軸が動いています。スリランカの業者と話をすると、日本のバブルの頃をなつかしんでいたり、「紳士的な交渉のできる日本人」が一番ビジネスし易いと言います。あるディーラーからインドに輸出される前の宝石を見せてもらいましたが、コロンボの宝石店では見ることのない、色の美しいブルーサファイアが多くありました。サイズも値段もマハラジャ級でしたが・・・。
片山新子(かたやま しんこ)、FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki
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第五回目を迎えるミネラル ザ ワールド、7月4,5日は東京、浜松町の産業貿易センターで開催される。
池袋や新宿のミネラル ショーのように多くの出展者が展示・販売し、来場者で混み合う訳ではないが、その分出展者からゆっくりと話を聞ける時間はとり易く、アットホームな雰囲気が漂う。
入場無料。
開催日時:
2009年7月4日(土)10:00-17:00
2009年7月5日(日)10:00-15:00
会場:港区海岸1-7-8 東京都立産業貿易センター 浜松町館4階第一展示室
主催:ミネラル ザ ワールド実行委員会
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6月10日、ロンドンはニューボンド・ストリートで開催されたサザビーズのオークション、「Russian Works of Art, Faberge and Icons Day Sale」に、巧みに七宝を配した工芸品で知られるファベルジェの作品が多く出品された。
ファベルジェの卵(イースターエッグ)のような目玉はなかったものの、3,125ポンド(約49万円)から79,250ポンド(約1240万円)までで落札された秀作が出品された。
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先に共にダイアモンド鉱山を所有するBHPビリトンとリオ ティントによる鉄鉱石事業の統合についてお伝えしたが、今度はスイスの資源大手エクストラータによるイギリスの資源大手アングロ・アメリカンに対する合併提案がなされた。
合併が実現すればおよそ6兆5,000億円の規模の会社となり、BHPビリトンに匹敵する。
アングロ・アメリカンはジュエリー業界に馴染み深い資源会社だ。傘下のアングロ・プラチナは新産プラチナ(市場から回収されて再流通するのではなく、新たに鉱山より産出されたプラチナ)の40%弱を産出している他、デビアスの株式を45%保有している。
ちなみに、アングロ・アメリカンはアーネスト・オッペンハイマーによって創設された会社だ。同氏はデビアスの創業者セシル・ローズの死後、社業が落ち込んだデビアスを建て直し、その基盤を確固たるものとしたことで知られており、現在のデビアス会長ニコラス オッペンハイマーはその孫にあたる。
なお、デビアスは2001年にある種のMBO(マネジメント・バイアウト:経営陣による買収)を実施している。オッペンハイマー一族が45%、アングロ・アメリカンが45%、デブズワナが10%の株式を所有するデビアス・インベストメント(DBI)を設立し、同社がデビアスの発行済み株式を買収して、私会社(※)へと移行したのだ。この改革によりデビアスとアングロ・アメリカンは従来の株式の持ち合い関係がなくなり、アングロ・アメリカンはデビアス株を持つが、デビアスはアングロ・アメリカンの株を失った。この経営改革の理由は新しい事業計画への株主の介入を防ぎ、経営計画の迅速な実施を可能にするため、など諸説あるが、根底には非デビアス系のダイアモンド原石の流通が強まり、ダイアモンド業界におけるスーパーパワーだったデビアスの体力が落ちていることに対応するためであることは間違いないだろう。
※:私会社
イギリスの会社法では、会社は、公開会社(public company)と私会社(private company)のふたつに大別される。私会社に有価証券の公募は許されていないが、公開会社のような経営上の情報開示は求められていない。
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デビアスの販売部門、DTC(ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー)による2009年6月のサイト※では、420億円程度のダイアモンド原石が販売されたもよう。
世界最大のダイアモンド研磨地インドで停止していたダイアモンドの研磨が一部で再開されたことを受けて、販売量は前回と比べておよそ2倍となったが、それでも業界予測よりは1割程度少ない販売量だった。
※サイト
DTCによるダイアモンド原石の販売は、DTCが選定したサイトホルダーと呼ばれる招待者に限定して行われる。この販売会をサイトと呼ぶ。
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デビアスのダイアモンド ブランド戦略、“フォーエバーマーク”。同社は6月4日『フォーエバーマーク ダイヤモンド グレーディング レポート』を発表した。
このレポートにはカット、カラー、クラリティ及びキャラット重量の4Cの他、ダイアモンドに記した識別番号に加えてホログラムを記載して同一性の確認に配慮している。
同社の発表によると、グレーディングはForevermark Diamond Institute(フォーエバーマーク ダイヤモンド インスティチュート)が担う。
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資源大手、BHPビリトンとリオ・ティントがオーストラリア西部での鉄鉱石事業統合で合意した。
2007年以来BHPビリトンはたびたびリオ・ティントの買収を提案しており、鉄鉱石の寡占化を心配する日本の公正取引委員会から買収計画の提出を求める命令書が発令されるなどの経緯があった。リオ・ティントはこの買収提案を拒否し、2009年2月に中国アルミへの鉄鉱石事業権益の一部譲渡や出資比率引き上げで合意したと発表していたが、今回のBHPビリトンとの鉄鉱石事業統合に発表に合わせて中国アルミとの提携を撤回した。
BHPビリトンとリオ・ティントは共に鉄鉱石事業が本業だが、ダイアモンド鉱山を所有しているという点で共通している。BHPビリトンはカナダのエカティ ダイアモンド鉱山を、リオ・ティントはやはりカナダのダイアヴィックの60%(残り40%はハリーウィンストン。旧アバー)ならびにオーストラリアのアーガイル鉱山を所有しているのだ。今回の提携は鉄鉱石事業に限定されるが、将来両社が合併すれば、ダイアモンド原石の寡占化が進む事となるだけに、提携の行方が注目される。
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カナダ、ノースウェスト準州にあるダイアモンド研磨会社、アースラニアン カッティング ワークス社(Arslanian Cutting Works)が低迷するダイアモンド市場に抗しきれず、倒産の瀬戸際に立たされている。
同社のマネージャー、ロバート・バイス氏は、カナダの国営放送CBCに次のように語っている。
「我が社は最悪の状況にある。不況の影響で小売店からは従来のような発注が 止まったために仕入れに費やした手元資金は回収できず、既に52人を解雇した ものの事業を継続する現金が底をついてしまった。解雇した従業員を復職させ て事業を継続するには、おそらく1千万ドルほど必要だろう。」
2000年に操業したアースラニアン カッティング ワークス社はピーク時には月間4,000キャラットを生産していた。
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アースラニアン カッティング ワークス買収される (2004/7/5)
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