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2009/6/30 火曜日

スリランカ宝石便り その25 〜スリランカ宝石採掘の状況(その2)〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 0:48:20

6月21日のスリランカの新聞、「サンデー・タイムズ」に宝石鉱山の現状が大きく取り上げられていました。世界遺産にも登録されている仏歯寺のある古都キャンデイから北へ行った所にあるマータレという採掘現場の鉱山主の声です。この地域は良質なガーネットが採掘される場所としても有名なのですが、世界的な不況で原石の価格が低迷し、マータレ地域一帯に2千も存在した採掘現場は今では10しかないということです。これはマータレに限ったことではなく、不況の中で採掘量が需要以上に増えれば価値と価格は下がってしまいます。その為に採掘を差し控える鉱山主も多いですし、価格を下げてまで販売しない業者もいます。良質な宝石は景気が回復されれば必ずニーズがあるからでしょう。

 怒りの矛先はスリランカの政府機関「National Gem and Jewellery Authority」にも向けられています。税金の値上げ、不可解な規則や汚職。宝石の採掘や宝石を売買するディーラーはライセンスを取得しなければなりません。過去にそのライセンスを安易に発行した為に取得者が増えたことへの不満もあります。昨年の宝石ディーラーのライセンス取得者は4794人、鉱山の採掘は4204人、研摩業者は194人でした。今年はこの取得条件を厳しくして数を減らす動きが出ています。

また、これまでの大手輸出相手国であった「米国、香港、日本」ではなく、新たに「インド、中国、ロシア」へと市場の軸が動いています。スリランカの業者と話をすると、日本のバブルの頃をなつかしんでいたり、「紳士的な交渉のできる日本人」が一番ビジネスし易いと言います。あるディーラーからインドに輸出される前の宝石を見せてもらいましたが、コロンボの宝石店では見ることのない、色の美しいブルーサファイアが多くありました。サイズも値段もマハラジャ級でしたが・・・。

 

片山新子(かたやま しんこ)、FGA

 個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

 

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