11月19日、サザビーズのジュエリー オークション[Magnificent Jewels]がジュネーブで開催された。
注目された天然真珠のネックレス(写真右)の落札金額は約1億2500万円(1,594,500 CHF)。
このネックレスは8.5から14.7mmの球形ナチュラル パール41珠からなる48cmで、クラスプには2.7ctsと推定されるラウンド カットのエメラルドが留められている。スイス ジェモロジカル インスティチュート (SSEF)などの鑑別書付き。
リーマンブラザースの前CEO夫妻がクリスティーズに出品した絵画コレクションの競売で落札推定価格の下限に満たない入札があり、底値買いするバイヤーが目立ったニュースは記憶に新しいが、宝飾オークションでも金融危機以後高額品の落札価格が伸び悩んでいる。このネックレス、1億円を超えるのだからもちろん高額だけれど、それでも昨年の暮れに落札されたウィンザー公爵夫人の天然真珠ネックレスに約4億円の値が付いた事と比べると、前の持ち主のネームバリューの違い(今回のネックレスは英国の“貴族”)、真珠の品質の違いを勘案してもお値打ち価格だろう。今は高額品を底値買いできるチャンスかもしれない。
その他、ハイエンドのジュエリーオークションには珍しくブルー トパーズをふんだんに用いたネックレスとイヤ クリップのデミ・パリュール(写真左右。右画像はクリックで拡大)が出品された。落札価格はほぼ推定落札価格上限の約540万円(68,500スイス フラン)。ハイエンド マーケットには珍しいという意味でのブルートパーズの希少性が高値につながったか。
ダイアモンドでは、38.06cts、カラーはSからZの間、クラリティはVS2というクッション シェープの裸石が約4000万円(506,500 スイス フラン)で落札された。1キャラット当たりではおよそ105万円となる。
GIA理事会は本年の2回目の理事会を開催し、新しい理事を選任した。
現在のラルフ ディスティノ理事長は本年末を持って退任することとなった。
新しい理事長はスーザン M. ジェイクス(Susan M. Jacques)女史。ジェイクス次期理事長はローデシア(現在のジンバブエ)で生まれ育ち、1980年にGIAの全日制GGプログラムを卒業している。また独立系宝飾店として米国最大規模のジュエリーストア、Borsheim’s Jewelry Company Inc.(ネブラスカ州)の社長兼CEO。
他の理事は次の通り。
Anna Martin:副理事(Head Global Marketing, Diamonds & Jewelry Standard Chartered Bankマネージング ディレクター)
Rodney C. Ewing博士(ミシガン大学教授)
Jeffrey H. Fischer(Fischer Diamonds, Inc.社長)
John A. Green -新任- (Lux Bond & Green社長兼CEO)
Dione D. Kenyon(Jewelers Board of Trade社長)
Frederick N. Levinger(Nobadeer Enterprises, Inc.社長兼CEO)
Dilip Mehta(Rosy Blue Group CEO)
Roland Naftule(Nafco Gems, Ltd.社長)
Glenn R. Nord(GIA元学長。終身理事)
James P. Shinehouse(Kroll Talbot Hughesマネージング ディレクター)
Hank B. Siegel -新任- (Hamilton Jewelers社長兼CEO)
Timothy J. Stripe(Grand Pacific Resorts, Inc.社長)
Matthew G. Stuller(Stuller, Inc.会長兼CEO)
Aron Suna -新任- (Suna Bros., Inc.社長)
Ephraim Zion -新任- (Dehres Ltdマネージング ディレクター)
今回退任が決まったのは、ディスティノ理事長の他、以下の5人。
Helene Fortunoff
Gordon E. Brown, Jr.博士
William B. Cottingham博士
Eli Haas
Sheldon Kwiat
尚、ベーカー学長が新設されたGIAのCEO職を兼務し、学長兼CEOとなることも決定された。
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カルティエ・ジャパン(リシュモンジャパン)は11月21日(金曜日)より、ジュエリー、ウォッチ、アクセサリーのほぼ全商品の希望小売価格を値下げすると発表した。
理由は「昨今の為替変動を鑑み」と日本経済新聞社に掲載した全面広告に記している。
この広告ではまた同社の理念として次のように記されていた。
「責任ある事業の遂行を理念としてまいりました。この理念に基づき、カルティエは今後とも、お客さまに対して、誠意ある対応と透明性を心がけている所存でございます。」
平たく言えば、円高による余録を享受するのではなく誠意をもって余剰利益を顧客に還元するという事だが、一般的にいって売上が順調ならば利益追求体は値下げという選択を採らない。売上の伸び悩みが背景にあるものと思われる。
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イスラエル考古学庁(イスラエル・アンティーク・オーソリティ)は10日、エルサレムの旧市街に位置する城壁近くにある駐車場の下から、2000年前の金製イヤリングを発掘したと発表した。
この発掘プロジェクトのディレクター、ドロン ベン アミ(Doron Ben-Ami)博士によると、イヤリングはビザンチン時代の西暦4-5世紀に建てられた建物跡を発掘途中に発見された。イヤリングの制作年代がローマ時代(紀元前1から4世紀)であることから、代々相続されていたものではないかという。
イヤリングはゴールド製で、真珠とエメラルドが使用されている。真珠は古くから天然真珠の産地として知られる地中海産、エメラルドは歴史的産出地であるエジプト産である可能性が高いと思われる。
博士は更に次のようにも述べている。
「エジプトのファイユーム(Fayum)で発見された墓にあったミイラの装飾と して書かれた肖像画には、豪華な衣装とジュエリーを身にまとった人物が書かれているが、ジュエリーには真珠とエメラルドが用いられている。今回発見されたイヤリングとの類似は驚くほどではないか。」
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デビアスはフォーエバーマークの照合サイトを開設した。日本語版もある。
このサイトでフォーエバーマーク証明カードに記された個別認証ナンバーとバーコード番号を入力すると、石の詳しい履歴が表示される。
南アフリカで8箇所に同時に突入するという大捕物が行われ、ダイアモンド原石の密輸団34人が逮捕された。場所はノーザン ケープ及び南アフリカとナミビアの国境地帯。容疑者には汚職警官も含まれているという。プレトリアニュースが報じた。
捜査は覆面捜査官が2年に渡って潜入捜査を行った成果。
押収品にはダイアモンドの偽物も含まれていた。偽ダイヤはバイヤーをだますのに用いられたと思われる。
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英国宝石学協会の宝石学会が10月26日、27日ロンドンのヒルトンホテル(ケンジントン)で開催されました。今年は英国宝石学会設立100周年ということで、学会も二日間にわたり、13名のスピーカによるレクチャーがありました。
一日目は「宝石学の基盤」というテーマで、宝石学の歴史、インクルージョンの発見に関する歴史、ジュエリーの歴史などを科学的根拠だけではなく、その時代の人々に支持されていた考え方、当時の流行などを交えながら話が進みました。
中でも、宝石学の生みの親と呼ばれ、インクルージョンの世界を広めたスイス、ギュベリン宝石ラボラトリー(GGL)の(故)Mr. E.J.Gubelinと共に「Photoatlas」を出版されたGIAカリフォルニアのMr.J.I.Koivulaの話は大変興味深かったです。彼は46年間に渡りインクルージョンの写真を撮り続け、800を超える記事を発表されており、今回はその研究の一部でも話が直接伺えたのは、とても良い刺激になりました。鑑別にインクルージョンが大変重要であるということは承知していますが、やはり数を多く見て、自分の目を確かなものにしていかなければならないと思いました。
またあらためて、宝石の中に広がる潜在的な世界は美しいと思いました。
17世紀のスウェーデン王室のジュエリーの話は大変華やかな世界であり、当時の王室の権威と宝石が王室にとってどれほど重要なものであったかを伺い知ることができます。
18世紀以降は宝石の産出量が増えたことで、世界のジュエリーの概念が変わってきます。ジュエリーが大量に作られ、王室だけではなく一般の人(と言っても上層階級を中心とした)も宝石を身につける機会が増えました。
アメリカの宝石として、ティファニー社のクンツ博士(Dr.G.F.Kunz)の人生や宝石学に対する姿勢について、またティファニー社が如何に市場を開拓してヨーロッパとは違ったアメリカならではのスタイリッシュなジュエリーを生み出したかといった話も興味深かったです。
二日目は「現在の宝石学」というテーマで、鑑別を如何に確かでスムーズに行うかといった技術的な話がされました。「磨いて輝くのは宝石だけではなく、自分の鑑別技術も」といった話から始まり、既存の屈折計を如何に活用していくか、ポータブルな鑑別器具を如何に使いこなして行くか(モバイル化していく近未来の話も含め)と興味はつきません。
また最近市場に増えてきた緑、黄緑、紫がかった青のクオーツについての最新報告も行われました。
英国宝石学会は毎年10月下旬にロンドンで開かれます。英語ということで、私も全てを把握するのは正直申して・・・大変です。しかし、同じく宝石学を学んだ世界各地の仲間に会える機会であり、先輩方の話を伺うことができる点は大変勉強になりました。
写真上:学会の会場。
写真下:スゥエーデン王室ジュエリーの話をされたMs.Sandra M.Brauns (Bukowski Auction House, Stockholm)と一緒に。
片山新子(かたやま しんこ) FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」
(↑英国宝石学協会・学会に参加した個人的な出来事をブログに書いています。)
個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載 「Ragems」
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オーストラリアの連邦犯罪捜査局は、国際宝石窃盗グループのアジトを家宅捜索し、男2人、女1人の逮捕に成功したと発表。
この捜査により、盗まれていた約4億4千万円分の宝石の押収に成功したという。盗品には、およそ4億円の価値があるといわれるルビーの原石“プリンス オブ ビルマ”(写真右上。クリックで拡大)が含まれていた。
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グベリン ジェム ラボは、同ラボに持ち込まれたダイアモンドに付けられたGIAのダイアモンド グレーディング レポートが偽造されたものであったと伝えた。
このダイアモンドは2cts以上あり、カラーはD、クラリティはIF、カット グレードはエクセレントと表記されていた。同ラボで検査したところ、このダイアモンドには高温高圧処理(HPHT)が施されていたが偽造されたGIAレポートには処理の記述はなかった。
このような偽造の例は過去にもあるという。
ジュエリー業界関係者の中には、業者が持ち込んだ裸石をレポートを頼りに購入することもあるだろうが、このような事例もあり、レポートと当該ルースが同一のものかを確認する重要性は高い。
2000年の1月以降に発行されたGIAのダイアモンド グレーディング レポートの場合にはオンラインで照会できる。こちらのレポート チェックのページから石目(石の重量)とレポート番号を入力するとレポートの内容が表示される。
その他のレポートの場合、場合によっては発行機関への照会も必要だろう。
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