ジュエリーブログ,ニュース / ジェムランド

2008/2/26 火曜日

GIA、ヨハネスブルグにラボラトリー開設

Filed under: ジュエリーニュース, ダイヤモンド — ジェムランドeditor @ 7:33:53

2月21日、GIAは南アフリカのヨハネスブルグにGIAラボラトリーを開設した。ディレクターにはレスリー ミルナー(Leslie (Les) Milner)が就任。

ヨハネスブルグのGIAラボラトリーでは正規のダイアモンド グレーディング レポートというよりは、ダイアモンド ドシエ(0.15から1.99キャラットのダイアモンドが対象。正規のレポートと比較して、書式が多少簡略化されている)の発行に注力するという。

あらゆるサイズのダイアモンドの他、カラード ストーン、真珠を受け付けるが、ダイアモンド ドシエ以外の依頼は、ヨハネスブルグで受領、返却が行われるものの、作業は他の地域のGIAラボラトリーで実施される。ダイアモンド ドシエは当地のラボラトリーでグレーディングからレポートの発行までが処理される。

営業時間は平日の午前8時から午後4時まで。住所は以下の通り。

GIA Laboratory
Suite  512, 5th  Floor, S.A. 
Diamond Centre, 225  Main Street, Johannesburg 2001 South Africa

郵便物受付住所

P.O. Box 1756, Houghton, 2041, South Africa 
The hours are 8 a.m. to 4 p.m. from Monday to Friday.

電話:(011) 27 11 334-2744
ファックス: (011) 27 11 334-0932

尚、日本国内からGIAのグレーディング レポートの発行を日本語で依頼する事ができる。実施しているのはAGTジェムラボラトリーで、ダイアモンドの受け渡しもAGTにて可能だ。詳細はこちらのGIAラボ ダイレクト

スリランカからの宝石便り〜その5〜スピネルと似た宝石〜

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 4:49:39

スピネルサファイアルビーと見間違えることがあるかもしれません。

とても綺麗なブルーサファイアだと思ったら、実は合成スピネルだったという話は、観光客を相手にした路上の土産物店ではあり得る話です。

過去にスピネルと思われていたものにターフェアイトという宝石があります。

スピネルの科学組成はMgAl2O4 硬度は8 比重3.60
ターフェアイト    BeMg3Al8016 硬度は8  比重3.61

鑑別に欠かせない屈折率も非常に近いため、同じ宝石と間違えられていたのも無理はありません。では、このふたつの宝石を区別するにはどうしたらいいでしょう?

まず重要な違いは、スピネルは「単屈折」であり、ターフェアイトは「複屈折」であるということです。例えば、ぺリドットジルコンなど複屈折の大きい宝石は、肉眼やルーペで宝石を覗いた時に、ファセットが2重に見えます(だぶって見える感じ)。しかしターフェアイトの場合、同じ複屈折でも、そのふたつの屈折の差が小さい為、ルーペで確認するのは難しく、屈折計や偏光フィルターで丁寧に調べなければなりません。また、顕微鏡で特徴ある内包物を確認していくことも大切です。スピネルに比べ、ターフェアイトは希少性が高く、値段もかなり高めです。どちらもスリランカで産出されます。スピネルはどの宝石店にも置いてありますが、ターフェアイトを扱っているお店はほとんどないです。

さて、そんな希少なターフェアイトよりもさらに希少性が高いマスグラバイトが現われました。(宝石質のものは1993年頃に登場)
化学組成は、(Mg,Fe,Zn)2  Al6BeO12 (全国宝石学協会の資料参考)

主成分はターフェアイトと同じ、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウムとなります。

これまでの産出はスリランカが主でしたが、近年アフリカのタンザニアからも宝石質の良質なものが発見されるようになりました。英国宝石学協会の最新ジャーナルにも詳しい鑑別方法が取り上げられ、世界の関心の高さが伺われます。ターフェアイトよりも更に希少で、値段もそれ以上に高い為、スリランカで産出されてもすぐに外国の宝石フェアに流れてしまい、まずスリランカ国内の宝石店で見かけることはないでしょう。

スピネルをターフェアイトやマスグラバイトと言って売りつけることはないと思いますが、ターフェアイトもマスグラバイトも鑑別がとても難しい宝石なので、購入する時は鑑別機関等できちんと鑑別されることをお薦めします。もし、過去にターフェアイトを手に入れていたなら、もしかしたらそれはマスグラバイトかもしれません(笑)。ターフェアイトとマスグラバイトの区別は鑑別機関の高度な鑑別機械でなければ、判別できません。

片山新子、FGA

個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語
個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載「Ragems」 

2008/2/13 水曜日

サザビーズ落札総額は7億8千万円2008/02/06ニューヨーク

2月6日、ニューヨークで開催されたサザビーズのジュエリー オークション、[Important Jewels]の落札総額はおよそ7億8千万円だった。次のような宝飾品が落札された。

  • ファンシー ライト ピンク ブラウン ダイアモンドを用いた指輪
    • 落札金額:約270万
    • 石目: 1.49キャラット
    • クラリティ:VS1
    • 色表記:Fancy Light Pink-Brown(GIA:ナチュラル カラー)
       
  • ミャンマー産サファイアを用いた指輪
    • 落札金額:約2300万円
    • 石目: 21.54キャラット(脇石のダイアモンド合計2.50キャラット)
    • クラリティ:VS1
    • レポート:AGL / 熱処理なし、ビルマ産

    52万円の“G-SHOCK”-K18YGを使用

    Filed under: ジュエリーニュース, 時計 / ウォッチ — ジェムランドeditor @ 6:32:00

    G-SHOCK, MRG-8000Gカシオ計算機、18金イエロー ゴールドを用いた“G-SHOCK”25周年記念特別仕様モデルを2月29日から発売。

    限定200個で、希望小売価格は52万5000円。

    最高峰“MR-G”の特別仕様モデルで、モデル名は“MRG-8000G”。

    スリランカからの宝石便り 〜その4〜 スピネル

    Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 6:00:42

    赤く美しいスピネルは、見た感じだけではルビーと区別をするのが難しい宝石です。

    spinel.JPGスピネルは酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの化合物で、ルビーサファイアといったコランダム(酸化アルミニウム)と同じ場所で産出されることが多く、歴史的にもコランダムとして扱われていた時代もありました。英国王室の王冠に使われているルビー  が実はスピネルであったという話は有名です。

    硬度も8とコランダムに次ぐ硬さで、カットと研磨をされた後は大変輝きの美しい宝石になります。また、結晶も等軸晶系の正八面体の美しい形をしており、中でも完璧な結晶は「エンジェル・カット」と呼ばれ、コレクターには大変魅力的な宝石です。

    スピネルの色は赤だけに限らず、青、ピンク、紫、青緑、藤色、緑がかった黒や無色とバリエーションが豊富で、スリランカでは深い緑色したものをセイロナイト(スリランカの昔の呼び名セイロンから由来)と呼んでいます。市場で価値があるものは、やはりルビーやサファイアのような赤や青ですが、中でも天然のコバルトが入り込んで青色になったものは「コバルト・スピネル」と呼ばれ値段も通常の青いスピネル(鉄だけが起因)よりも高いです。また、全く不純物を含まない無色のスピネルは大変稀です。ここスリランカでも無色(カラーレス)スピネルを置いている店は珍しく、値段も他のスピネルよりかなり高めになっています。紫色をしたスピネルで、太陽の光では青紫をしていたものが、白熱光の下で赤紫に変わる、「カラーチェンジ・スピネル」もあります。また、スター効果(石の真ん中に線が現われる)のある「スター・スピネル」は6条や4条の光が現われますが、スターサファイアと比べて産出量が少なく、地の色もどちらかというと暗い感じになるので、宝飾として扱われるよりは、コレクターを対象としてカット研磨されています。

    さて、スピネルは加熱や放射といった処理はされていないのですが、鑑別で気をつけないといけない点は、「合成スピネル」との区別です。拡大検査で内包物としてジルコンなどの他の鉱物が見つけられれば天然の証なのですが、フラックス法で作られた合成スピネルの液状のようなインクルージョンは顕微鏡で形状やフラックスの欠片を慎重に見なければ、天然の液状と見間違えてしまいます。次回はコランダム以外でスピネルと間違えられやすい鉱物について紹介します。

    片山新子、FGA

    個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

    個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載「Ragems」  http://www.ragems.com/

    2008/2/7 木曜日

    南アフリカの電力不足、ダイアモンド生産に影響も

    Filed under: ジュエリーニュース, ダイヤモンド — ジェムランドeditor @ 4:57:39

    金・プラチナ相場の高騰は、これら貴金属の主要生産国である南アフリカの電力危機による採掘中断などにより、今後の供給が先細るのではないかという思惑買いも背景にあるが、電力不足は同国のダイアモンド生産にも影響を与えている。

    特にデビアスが運営するフィンシュやカリナン ダイヤモンド鉱山といった地下採鉱に影響が大きい。地下採鉱では水の処理や鉱夫達の空調の為に十分な電力なくして採掘を行うことができないからだ。

    もっとも、南アフリカはダイアモンド生産のビッグ3でもなく、また原石販売のタイムスパンは貴金属よりもずっと長いから、顕著な影響はでないだろう。

    Powered by gem-land.com