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2008/2/13 水曜日

スリランカからの宝石便り 〜その4〜 スピネル

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 6:00:42

赤く美しいスピネルは、見た感じだけではルビーと区別をするのが難しい宝石です。

spinel.JPGスピネルは酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの化合物で、ルビーサファイアといったコランダム(酸化アルミニウム)と同じ場所で産出されることが多く、歴史的にもコランダムとして扱われていた時代もありました。英国王室の王冠に使われているルビー  が実はスピネルであったという話は有名です。

硬度も8とコランダムに次ぐ硬さで、カットと研磨をされた後は大変輝きの美しい宝石になります。また、結晶も等軸晶系の正八面体の美しい形をしており、中でも完璧な結晶は「エンジェル・カット」と呼ばれ、コレクターには大変魅力的な宝石です。

スピネルの色は赤だけに限らず、青、ピンク、紫、青緑、藤色、緑がかった黒や無色とバリエーションが豊富で、スリランカでは深い緑色したものをセイロナイト(スリランカの昔の呼び名セイロンから由来)と呼んでいます。市場で価値があるものは、やはりルビーやサファイアのような赤や青ですが、中でも天然のコバルトが入り込んで青色になったものは「コバルト・スピネル」と呼ばれ値段も通常の青いスピネル(鉄だけが起因)よりも高いです。また、全く不純物を含まない無色のスピネルは大変稀です。ここスリランカでも無色(カラーレス)スピネルを置いている店は珍しく、値段も他のスピネルよりかなり高めになっています。紫色をしたスピネルで、太陽の光では青紫をしていたものが、白熱光の下で赤紫に変わる、「カラーチェンジ・スピネル」もあります。また、スター効果(石の真ん中に線が現われる)のある「スター・スピネル」は6条や4条の光が現われますが、スターサファイアと比べて産出量が少なく、地の色もどちらかというと暗い感じになるので、宝飾として扱われるよりは、コレクターを対象としてカット研磨されています。

さて、スピネルは加熱や放射といった処理はされていないのですが、鑑別で気をつけないといけない点は、「合成スピネル」との区別です。拡大検査で内包物としてジルコンなどの他の鉱物が見つけられれば天然の証なのですが、フラックス法で作られた合成スピネルの液状のようなインクルージョンは顕微鏡で形状やフラックスの欠片を慎重に見なければ、天然の液状と見間違えてしまいます。次回はコランダム以外でスピネルと間違えられやすい鉱物について紹介します。

片山新子、FGA

個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載「Ragems」  http://www.ragems.com/

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