東京商工リサーチによると、10月29日、(株)全国宝石学協会(全宝協)が事業を停止し破産を申請する準備に入った。
平成22年3月期末時点の負債総額は約4億1800万円。
平成4年3月期の年商は約13億円でこれがピーク。その後は減収傾向に転じ22年3月期の年商は6億6400万円で赤字決算だった。
今年5月に発覚したダイアモンドのカラー グレードのかさ上げ問題の影響があるものと思われる。
全宝協の宝石鑑別技術は国際的に高く評価されており、国内鑑別機関として色石の取扱数は最大であっただろうから、ジュエリー業界への影響は大きい。
またGGとならぶ宝石学専門家としての国際的資格FGAの日本語による教育活動は同社が行っているから、現在受講中の方はどうなるのか気になるところだ。
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23年前市場に登場してジュエリー愛好家の注目を集めたウィンザー公爵夫人のジュエリー。その後幾度かオークションに出品され(※)高額落札が話題を呼んだが、来月30日に再び20ロットがサザビーズで競売にかけられる。
このジュエリーが市場に出る度に大きな話題となるのは作品群のクォリティーの高さはむろんだが、“王冠を賭けた恋”として世界に喧伝(けんでん)されたゆえの知名度の高さだろう。以下、ご存じない方のためにこの“恋”について簡単に。
ウィンザー公爵とはエドワード8世がイギリス国王を退位した後の称号だが、この国王の在位期間は1936年1月から12月までと極めて短い。1937年に控えていた戴冠式を経ずに退位している。
退位の原因は1931年頃からつき合いがあったとされるアメリカ人女性ウォリス・シンプソン(後のウィンザー公爵夫人)との結婚問題。
ウォリスには離婚歴があり、さらにウィンザー公爵(1931年当時はプリンス・オブ・ウェールズ)との交際期間中の大部分も人妻であった(離婚を巡る裁判でウォレスが勝訴したのは1936年10月)。このような女性を離婚を禁じているイングランド国教会が認めるはずもなくイギリス世論も結婚を支持しなかった。
そしてウィンザー公爵(当時はエドワード8世)は
「…私は国王として重大な責任と義務を果たすことが到底不可能である。
愛する女性の助けと支えなしでは…」
という有名な文書をBBCを通じて読み上げ、退位したのである。
今回のオークションに出品される作品からいくつか紹介する。
●ゴールドとダイアモンドを用いたネセセア
・1947年フランス製(カルティエの刻印)
・サイズ:150mm x 55mm x 45mm(長さ X 幅 X 深さ)
・落札予想価格:5-7万英ポンド(650万円 - 900万円)
ダイアモンドはメレーで、1900年代中頃のメレーらしくシングル・カット。
ウィンザー公爵から夫人への結婚10周年記念の品。
●ブローチ(写真最上段右)
・使用宝石:ダイアモンド、エメラルド、ルビー
ダイアモンドをパヴェで留めて全体のハートシェープを作り、エメラルドでウィンザー公のWを書き、ルビーが王冠をかたどっている。
・結婚20周年記念の品
・1957年カルティエ
・サイズ:34mm x 38mm x 10mm
・落札予想価格:10-15万英ポンド(1300万円 - 2000万円)
●クリップ(ブローチの一種)
・使用宝石:
ダイアモンド(パヴェ・セッティング)
エメラルド、ルビー、サファイア(チャンネル・セッティング/レール留め)
シトリン
・フラミンゴ モチーフ
・1940年カルティエ
・サイズ:95mm x 65mm x 22mm
・落札予想価格:100-150万英ポンド(1億3000万円 - 2億円)
●ブレスレット
・使用宝石:ダイアモンド、ブラック・カルセドニー、エメラルド
・パンサー モチーフ
・1952年カルティエ
・長さ:195mm
・落札予想価格:100-150万英ポンド(1億3000万円 - 2億円)
過去に登場したウィンザー公爵夫人のジュエリー
>> 天然真珠ネックレス - 4億円で落札 - 2007年
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商品[product]戦略(3)
個客・消費者を魅了する商品開発
いま宝飾品市場が低調で、どの小売店に行っても「売れない」「買わない」と嘆きます。確かに一昨年のサブプライムローンの破綻をきっかけに、世界同時不況という大きな波が日本にも押しよせました。92年のバブル以降長い間不況のどん底にあった宝飾品業界が、やっと上向きになるかと思われた矢先でした。
バブル崩壊の時までは、小売店にとって本当に大切な客でなくても、ジュエリーは売れた時代でした。それがバブル崩壊とともに一過性の客は店から離れていき、浮動票狙いの商品は在庫がかさみ、宝飾品業界も例外なくデフレに突入したのです。中価格帯のモノは売れなくなり、低価格帯のモノは海外勢に押されるといった傾向は21世紀まで続きました。
日本のモノづくりが窮地に立たされたのです。しかしバブル以降15年、もう一度小売店頭に客を引き戻す事が叫ばれ始め、真剣に小売店がこれに取り組み始めました。それが「SHOPブランド」なのですが、サブプライムローン問題は無惨にもこれを打ち砕く事になってしまいました。個客や消費者は生半可なモノには手を出さなくなってしまったのです。
一方では日本のモノづくりはコストがかさみ、地金の高騰と相まって、ルックス・フォー・バリューとしてのジュエリーの存在感が低くなってしまったのです。
ではどうしたら個客・消費者を魅了する商品を作れるかということですが
の4点を挙げたいと思います。勿論メーカーによって環境は異なるでしょうから、具体的な計画についてはここでは触れません。
(1)モノづくりの出発点で利益を考えない事=企業は利益を追求するのが当たり前ですから、奇異に感じるかも知れませんが、ものづくりのスタートではこの発想は禁物です。どうしたら個客・消費者に感動して貰えるか。そのためにはどのようなモノづくりをしたら良いか。ジュエリーは売れるモノではなく感動させるモノという考え方が先ずは必要です。
(2)海外ブランドと競争して充分に戦えるアイデアを練る事=海外ブランドは日本の市場を良く研究しています。そしてそれぞれのターゲットに対して、的確なジュエリーを送り込んできます。日本のメーカーが体力をなくし、優秀なクラフトマンを手放したのを見逃さず、彼らをダイレクトに抱え、デザインの面、造りの面の開発をやっています。ルックス・フォー・バリューの面からみると、意外に安い印象を持つのはこのためです。日本のモノづくりが市場という概念をしっかり把握する事が出来なければ、競争力あるモノづくりは出来ないと思います。
(3)試作の段階でテストマーケティングを行う事=日本のモノづくりにとって一番遅れているのはこの点かも知れません。例えばジュエリーショーに照準を合わせて商品を企画したとした場合、恐らく殆どのモノづくりはジュエリーショー間近にならないと商品が上がってこないでしょう。企画、デザイン、製造に充分時間をかけても、出来上がったジュエリーが、販売の窓口である営業に充分消化されずに、買い手のところにいく。日本の作り手の多くが自分が作るのは絶対だと云う過信から来ているようですが、この点を改める必要があります。
(4)ターゲットを絞り狙い撃ちするプロモーション戦略を実践する事=プロモーションはある程度お金がかかりますが、自分たちの出せる範囲で良いのです。それよりも売れるなら誰でも良いという安易な発想から、商品のコンセプトを平気で拡大解釈してしまうという事が問題です。自分たちが狙った獲物は必ず仕留めるという強い意志と実行がないと、消費者・個客はこちらに目を向けてくれません。
商品開発に格好の参考書を紹介します。1冊は「プレミアム戦略」で遠藤功さんという方が書いています。早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)教授。MBA/MOTプログラムディレクター。株式会社ローランド・ベルガー日本法人会長の肩書きを持っています。この人の本は大変分かり易く読み易いので結構頭に入ります。もう1冊は奥山清行さんの「伝統の逆襲」です。奥山さんは長年世界の車業界のデザイナー、ディレクターとして活躍した人で、日本のモノづくりが世界で戦うにはどうしたら良いかを、非常に良い視点で書いています。
増渕邦治(ますぶち くにはる)
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アーノルド・シュワルツェネッガー カリフォルニア州知事は、子供用アクセサリーへのカドミウム使用に関する規制法案に署名した。
同法案は2012年1月より施行され、これによりカリフォルニア州で製造や販売される子供用アクセサリーやジュエリーに含まれるカドミウムは重量比で0.03パーセント以下に規制される。
子供用アクセサリーに含まれるカドミウムに関しては、その毒性が問題視されていた。
>> 中国製の安価なジュエリー・アクセサリーからカドミウム検出される
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