“王冠を賭けた恋”ウィンザー公爵夫人のジュエリー11月にサザビーズに出品
23年前市場に登場してジュエリー愛好家の注目を集めたウィンザー公爵夫人のジュエリー。その後幾度かオークションに出品され(※)高額落札が話題を呼んだが、来月30日に再び20ロットがサザビーズで競売にかけられる。
このジュエリーが市場に出る度に大きな話題となるのは作品群のクォリティーの高さはむろんだが、“王冠を賭けた恋”として世界に喧伝(けんでん)されたゆえの知名度の高さだろう。以下、ご存じない方のためにこの“恋”について簡単に。
ウィンザー公爵とはエドワード8世がイギリス国王を退位した後の称号だが、この国王の在位期間は1936年1月から12月までと極めて短い。1937年に控えていた戴冠式を経ずに退位している。
退位の原因は1931年頃からつき合いがあったとされるアメリカ人女性ウォリス・シンプソン(後のウィンザー公爵夫人)との結婚問題。
ウォリスには離婚歴があり、さらにウィンザー公爵(1931年当時はプリンス・オブ・ウェールズ)との交際期間中の大部分も人妻であった(離婚を巡る裁判でウォレスが勝訴したのは1936年10月)。このような女性を離婚を禁じているイングランド国教会が認めるはずもなくイギリス世論も結婚を支持しなかった。
そしてウィンザー公爵(当時はエドワード8世)は
「…私は国王として重大な責任と義務を果たすことが到底不可能である。
愛する女性の助けと支えなしでは…」
という有名な文書をBBCを通じて読み上げ、退位したのである。
今回のオークションに出品される作品からいくつか紹介する。
●ゴールドとダイアモンドを用いたネセセア
・1947年フランス製(カルティエの刻印)
・サイズ:150mm x 55mm x 45mm(長さ X 幅 X 深さ)
・落札予想価格:5-7万英ポンド(650万円 - 900万円)
ダイアモンドはメレーで、1900年代中頃のメレーらしくシングル・カット。
ウィンザー公爵から夫人への結婚10周年記念の品。
●ブローチ(写真最上段右)
・使用宝石:ダイアモンド、エメラルド、ルビー
ダイアモンドをパヴェで留めて全体のハートシェープを作り、エメラルドでウィンザー公のWを書き、ルビーが王冠をかたどっている。
・結婚20周年記念の品
・1957年カルティエ
・サイズ:34mm x 38mm x 10mm
・落札予想価格:10-15万英ポンド(1300万円 - 2000万円)
●クリップ(ブローチの一種)
・使用宝石:
ダイアモンド(パヴェ・セッティング)
エメラルド、ルビー、サファイア(チャンネル・セッティング/レール留め)
シトリン
・フラミンゴ モチーフ
・1940年カルティエ
・サイズ:95mm x 65mm x 22mm
・落札予想価格:100-150万英ポンド(1億3000万円 - 2億円)
●ブレスレット
・使用宝石:ダイアモンド、ブラック・カルセドニー、エメラルド
・パンサー モチーフ
・1952年カルティエ
・長さ:195mm
・落札予想価格:100-150万英ポンド(1億3000万円 - 2億円)
過去に登場したウィンザー公爵夫人のジュエリー
>> 天然真珠ネックレス - 4億円で落札 - 2007年