宝石学的に言えば、ムーンストーンは長石(英語名Feldspar)に分類されます。長石の化学組成はカリウムとアルミニウム珪酸塩で地球上の造岩鉱物の中でも一般的です。この長石の中でもスリランカで豊富に産出されるのはムーンストーンです。特に青い光が表面に浮かぶシラーは、まるで、本当に月から来た宝石なのではないかと不思議に感じます。
この青いシラーは学術的にはアドゥラレセンス(Adularescence)と呼ばれ、その光の仕組みはレイリー散乱(空がどうして私たちには青く見えるのか?)と同じです。簡単に言えば、ムーンストーンはふたつのタイプの長石がサンドイッチのように互いに層をなしており、そこに入った光の干渉により青く見えまるのです。
http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki/diary/200611230000/
(レイリー散乱とムーンストーンについて書いた個人ブログ)
ブルー・ムーンストーンは通常の乳白色のものと比べて値段がかなり高いです。スリランカでは産出量が減ってきていると言われています。乳白色のものの中にはキャッツアイのように白い光が目のように浮かぶものもありますがブルー・ムーンストーンに比べればかなり安いです。
残念ながら硬度が6と真珠と同じ低さですので、ジュエリーとしてはペンダントトップなどにするのが無難でしょう。普通はカボションにカットされますが、細長く大きさもあるカットが多いので、存在感のあるジュエリーになると思われます。
レインボー・ムーンストーンと呼ばれる赤や黄色、青などが浮かび上がるものがありますが、正式には透明のラブラドライトのことで、残念ながらスリランカでは産出されません。
片山新子(かたやま しんこ) FGA
スリランカ産非加熱サファイアの記事も掲載しています↓
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14日、ジュネーブで開催されたクリスティーズのジュエリー オークション[EVENING GLAMOUR]に出品されたブルー ダイアモンドを用いた指輪がおよそ9億1700万円(9,233,000スイス フラン)で落札された。
このブルー ダイアモンドは13.39キャラットあり、パヴェ セッティングされたピンク ダイアモンドのメレーが取り巻いている。添付されたGIAのレポートによるファンシー カラーの表記はファンシー インテンス ブルーで、クラリティはVS1、蛍光反応はない。
高額落札されたブルー ダイアモンドの例としては、2007年10月8日のサザビーズ オークションで約9億3500万円(61,927,500香港ドル)で落札された6.04キャラットのエメラルド カットのブルー ダイアモンドがある。
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ジュエリースクール、GIA JAPANの東京教室において、宝石関連書籍を10〜70%割引で販売するブックフェアを開催する。毎年1回開催されるこのイベントには宝飾図書に特化した柏書店松原も協力している。
割引になるのは洋書を含む本・雑誌のほか、宝石鑑別のための器具など。
開催日時は2008年5月29日(木)が11:00〜19:00、5月30日(金)は10:00〜16:30。
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Tokyo Jewelers発行人 松原 信
コンプライアンス、略して「コンプラ」という言葉がおおはやり大流行(おおはやり)である。 Complianceを日本語に訳して「法令順守」というそうだ。企業経営者たるもの、「法律」を舐めてかかるととんでもない事になる、つまり、とんでもない目に遭ったかつての”名経営者”堤義明や最近のホリエモンらの失脚劇あたりから、この言葉がはやり出した。しかしこれが、実はトンデモない誤訳なのである。―――その言葉の原形complyは、外資系企業或いは貿易業経験者なら日常的に使っていたコレポン(通信文書)上の常套句で、「相手の意志に従う、尊重する」といったソフトな言葉だ。更には、レターの書き出しにIn compliance with〜とタイピングすれば、「〜の要求に応じて」という意味の慣用表現に過ぎない。
影も形もない「法律」の意味を最初にこの言葉に被せたのは、一体どこのどいつだろう? 大方、法当局の意を汲んだ大マスコミの誰かが、ハードな意味を伝えるのにソフトなオブラートで包んだつもりで、カッコよくカタカナ・マスコミ語に変えたのに違いない。この意味不明の言葉使いを聞いた外国人からは、”パードゥンミー?”と聞き直されるのがオチだろう。とも角とんだ和製英語である。
ルールや法律は破られるためにある、と皮肉られたのは古き良き昔の話で、どっこい今は、法律は腕づくでも・・・・守らせるためにあるようである。「コンプライアンス」なる和製英語は、そんな匂いがプンプンする嫌な言葉だ。
「犯罪収益移転防止法」なるキッカイな法律が、この3月から発効した。通称「マネロン法」と呼ばれるこの法律は、マネーロンダリングやテロ資金流入防止という大義の名の下に、当局が一体何を狙っているのか極めて不可解な新法である。偽装設計完全排除の名の下に、昨年6月施行された「改正建築基準法」が、結果的に新築着工件数の激減を招き、日本の基幹産業・建設業界をどん底に陥れた例を引くまでもなく、さじ匙加減を心得ない政治家・役人どもの浅知恵が、正直でまっとうな民業までも区別なく厳しい法規制でじわじわ縛り、猛烈な淘汰の嵐が吹き荒れている業界例は、枚挙に暇がない。民業を支援すべき公僕たる諸官庁が、あろうことか率先して民業圧迫に走り、あちこちで”官製不況”の主役を演じているのだ。
我が宝飾業界も例外ではない。利息制限法及び出資法見直し・グレーゾーン金利撤廃、特定商取引法(特商法)改正の動きで、頼みのローン販売に急ブレーキがかかった矢先の宝飾界は、矢継ぎ早に今度は上記マネロン法の標的になった。一見まともに聞こえる“200万円以上の商取引に客の本人確認が必須”という条項一つとっても、考えようによっては、これは宝飾ビジネスの根幹を揺るがしかねない一大”事件”である。
決して安価ではない宝飾品という商材は、良くも悪くも「見栄の代償、虚栄の産物」としての付加価値を伴って、歴史的に人々の生活の陰日向で絶妙な役回りを演じて来たからだ。特に百万単位の買い物をキャッシュですますリッチな人々にとって、本人確認だ、取引記録だ、などといった無粋な購入手続きは馴染まない。宝飾品は通常の消費財とは別の価値次元で動いて来たからこそ、古今東西、人類史上決してすた廃れることなく営々と続いてきた産業なのである。
しかし、人類史の永さに等しい永久不滅の宝飾産業も、この国では少々事情が違うようだ。ただでさえ、空前の地金相場高騰、吹き荒れる輸入品攻勢の嵐、といった大難題を背負う今日の宝飾界に対して、まさに追い討ちをかけるように、次々と繰り出してくる新法ラッシュは、宝飾界の民をますます窮地に追い込む。また不幸にも、それらの新法に対抗して、超法規的救済策としてのセーフティネットの構築を試みようなどという、殊勝な政治家や政治勢力、官僚は一向に現れない。
新法によって壊滅の危機にある貸金業界やパチンコ業界のように、この宝飾界も最早社会から見捨てられる運命にあるのか? 宝飾業界は法やモラルに逆らう輩が相対的に多いのは事実だが、だからといって、社会貢献度や公的存在意義が薄いという短絡的な理由で、いずれ上からの力で息の根を止められる命運にあるのか? 考えるだけでコワイ話である。
法の力に克つには、同じく法の力しかない。それは、法令さえ守れば何をしてもいい、という“コンプラ悪用”のすすめではない。―――今そこにある法律を”悪法”と指弾するためには、それに勝る”良法”を作る側に回るほかない。特定利権に偏る政治権力とそこに・・・つるむ行政権力との間で、得てして悪法は醸成されるが、だとすれば、その両者の間を断ち切るのがもっか目下の最短の道だ。他でもない、それは市民公選による政権交代への道である。 (季刊Tokyo Jewelers誌 第52号掲載)
■本稿は、雑誌TokyoJewelersの毎号巻末頁に掲載する、発行人書き下ろし記事からの転載です。第50回以前の「松原レポート」をご希望の方は、同誌バックナンバーをご購入いただくか、同誌編集部まで問合せ下さい。
Tokyo Jewelers編集部
by 柏書店松原
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スリランカで産出されるトパーズの大半は無色です。稀に黄色や青、青みがかった緑が取れる場合があります。しかしその青は限りなく透明に近く、一般的に「ブルートパーズ」としてコロンボの店頭で売られているものは、無色のトパーズを照射し、更に加熱して青にしたものばかりで、おそらく海外から入ってきたものだと思います。自然界にこのような色は存在しないだろう?と思われるような青さのトパーズから、アクアマリンに似せて作ったのでは?と疑ってしまうような青まであり、値段もアクアマリンと比べて大変お手頃となっています。アクアマリンとトパーズを見分ける方法は、最初の段階ではチェルシー・カラー・フィルターを使い、色の反応(アクアマリンなら緑っぽく見え、トパーズは無色)を簡単に調べます。しかし中にはトパーズでも緑っぽく見えるものもあるので注意が必要です。また比重に関して言えば、アクアマリンは2.65から2.80、トパーズの場合は3.5から3.6とトパーズの方が重いのですが、これは多くの裸石を取り扱った経験がなければ、手で持っただけで判断するのはやはり難しいでしょう。ルーペなどで内包物を見ることも可能ですが、これも経験が必要です。
トパーズは宝石学では斜方晶系に属し、一方向に完璧な劈開(へきかい)があります。つまり衝撃が加わりヒビなどが入る場合は、真っ二つに割れることがあります。(通常のジュエリーとしての使用では問題ないと思います。) その点を理解した上であれば、トパーズは硬度が8と高く輝きもきれいなので、ジュエリーとしてペンダントトップにするなど、大きさを楽しめる宝石になると思います。
希少性が高いトパーズとして、ピンクやシャンペンカラーのインペリアル・トパーズが有名ですが、残念ながらスリランカでは産出されません。(これらは主にブラジルで産出されます。)
片山新子、FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」
個人WEB「Ragems」
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