ジュエリーブログ,ニュース / ジェムランド

2011/2/15 火曜日

グーグル、ウエディング支援サイトを開設

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーとIT — ジェムランドeditor @ 17:42:20

グーグル(Google)はウエディングプランナーの協力を得て、結婚式の準備に役立つ支援サイトの運営を開始した(現在は英語版のみ)。

提供されるサービスは既にウェブアルバム(ピカサ(Picasa))やスケジュール帳などを無料で提供しているグーグルらしく次のようなもの。

・新郎新婦のプロフィール公開
・結婚式の日時、式場付近のホテル情報
・出欠確認リスト
・ゲストリストや座席表
・結婚式の料理メニュー
・予算管理
・写真はウェブアルバムサービス「ピカサ(Picasa)」に保管・共有可能。

今回のサービス、グーグル側のメリットはウェディング関連に最適化できる広告掲載だろうが、ジュエリー業界的にウエディング支援というと婚約指輪や結婚指輪の販売を想像する。このウエディング支援サイトが広く受け入れられるようになれば、発展途上にあるグーグル・ショッピングと組み合わせて、ITリテラシーの高い宝飾事業者にとっては思わぬビジネスチャンスを生み出すかも知れない。

[宝石学の世界]発行人 謹啓

Filed under: ジュエリーコラム, ジュエリーリフォーム — ジェムランドeditor @ 17:07:03

昨日のバレンタインデーで思いだしたのは、初めてアメリカでバレンタインデーを過ごした日の驚き。当地では男性から女性へのプレゼントが主流だった。バレンタインデーとは女性から男性にプレゼントをする日という私の常識を覆しただけに驚きが大きく、それから20年以上を経た今もこの日を迎えると当時ビックリした記憶が蘇る。

常識とは社会一般が広く同意している事柄と言い換えて良いだろう。バレンタインデーの件でいえば私の常識は日本国内でのみ当てはまって国際的には当てはまらなかった訳だから、自分の“常識”が他者からは必ずしも常識ではないという教訓になった。ジュエリー制作においても然り。常識に捕らわれると失敗する可能性がある。例えばガラス充填されたサファイア※を加工する際などで起こりえる失敗だ。

カラード ストーンに加工用バーナーの炎を当てると、ある種の宝石の色が変わることがある。ブルー トパーズは退色するし、ブルー サファイアも空気中で加熱すれば退色する。職人はこの事を知っているから宝石に直火が当たるような加工方法は採らない。しかし、ブルー サファイアが少し炎に晒されただけで直ぐに退色する訳ではなし、爪の修理などで、仮にちょこっと石に火が当たる程度では問題がないという常識に寄りかかると、キャビティ(石表面にある穴)にガラスが充填されていた場合、熱に強いサファイアと異なり、ガラス部分は表面がただれたり、ガラス中の気泡が熱で膨張して破裂する可能性がある。

こちらに掲載しているガラス充填処理が施されたサファイアは、業者向けに裸石を販売する店で、処理の情報は開示されずに販売されていたもの。パビリオンにガラス充填大きなキャビティがある。枠に留まっていたら、うっかりすると見落としかねない)

石留め中の割れが代表だろうが、ジュエリーの修理やリフォームに携わる方は、かなり高い確率で修理中の石の破損で苦労をした経験をお持ちなのではないだろうか。石の破損は、宝石の耐久性や処理の知識を持ってそれに適した対応を取ることで減らすことができるが、ジュエリーリフォームやリモデルの知識を啓蒙する役割を果たしているのが一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会であり、同協議会の実施する[ジュエリー・リモデル・カウンセラー検定]では知識を吸収しながら資格を得ることができる。この度、第二回目の試験が実施される。

また同協議会ではこの度、ジュエリー・リモデル、修理に関わるリスクをカバーする保険をスタートさせるという。ニーズは高かったが職人や宝石店が個々に損害保険会社と交渉しても門前払いの保険だっただけに歓迎できる取り込みだ。

[宝石学の世界] 発行人 福本

ジュエリー・リモデル、修理に関わるリスクをカバーする保険がスタート

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーリフォーム — ジェムランドeditor @ 16:58:27

一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会は、ジュエリーのリモデルや修理に際して顧客から預かった品物の盗難や火災、また加工中の破損事故をカバーする賠償責任保険をスタートさせると発表した。以下、同協議会のプレスリリースを紹介する。


この保険は、ジュエリー・リモデルや修理業務に携わる関係者の間で長年切望されていたにもかかわらず、実現してこなかった待望の賠償責任保険となります。

近年ジュエリーのリモデルや修理に取り組む企業は増加しておりますが、この受託品にまつわるリスクを放置したままでは、この分野の経営安定化と伸びは期待できません。消費者の信頼という点からも、こうした保険があるかないかは、安心してジュエリー・リモデルや修理を頼む際の重要なポイントとなります。

現状では、滅失や損傷が発生した場合、一般的におこなわれている弁済の方法は「滅失・損傷した品物と同等の品物」を“代替品として提供する”というものです。

この代替品を提供する際の損害金額を実際に負担しているのは、受注当事者である宝飾店や加工会社であり、その分担比率は、各々の話し合いと力関係のなかで決定されています。

今回の保険の対象となるのは、ジュエリーのリモデル(リフォーム)や修理(リペア)にともなう受託品について、

特定の保管施設内に保管している間、および加工過程において、
滅失・損傷・汚損したり盗取された場合、

保険金支払いの対象とする、というものです。

具体的には、預かり時点のチェック作業がルールに基づいて厳正に遂行され、顧客との間で相互確認されたあと、顧客から了解された受託品について、

盗まれた場合
(火事等によって)滅失した場合
加工中にキズがついたり、割れ、変質が生じた場合

お預りした品物と同等の品物で弁済するにあたって、その品物を手当てするに要した金額を、受託賠償責任保険の対象として認定し、支払うというものです(加工中の危険担保については資格取得者等の条件を満たす事が必要となります)。
本来、損害保険の支払いは、預けた人(顧客)と預けられた会社との間で損害金額が特定され、それに基づいて金額が支払われるというものです。しかしジュエリーのリモデル(リフォーム)や修理(リペア)では、顧客の自己申告額はほとんどが不正確であることが多く、ジュエリーという品物の性格上からも金額を特定するのが困難となります。
したがって今回は、宝石種別毎の業界における業者間取引価格を基準として金額を算定することで、それを弁済額にあてはめることで、受託賠償責任保険適用の運びとなっています。

一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会は、ジュエリーのリモデルや修理に際して顧客から預かった品物の盗難や火災、また加工中の破損事故をカバーする賠償責任保険をスタートさせると発表前提として、保険が適用される資格、条件、並びに対象となる保険は先とおりとなっています。

なお、この保険が適用されるためには、(社)日本リ・ジュエリー協議会指定の「品物お預り書」に洩れなく記載され、事故発生時対応等の要点がお客に伝えられ、お客様の了解を得ていることが前提となります。

今回の受託賠償責任保険は、取扱代理店:ヒューリック株式会社、引受保険会社セコム損害保険株式会社によって成立しています。

保険金と支払い保険料は地域、保管状況によって若干異なりますが、加工中の損傷までをカバーした場合の保険料は、東京地区で、支払い限度額100万円のとき、約33,000円(年額)となっています。

詳細については(社)日本リ・ジュエリー協議会、保険担当者までお問い合わせください(Tel.03-6806-0013)。

第2回ジュエリー・リモデル・カウンセラー検定試験が開催

Filed under: ジュエリースクール情報, ジュエリーの資格 — ジェムランドeditor @ 16:38:16

一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会が行う、第2回ジュエリー・リモデル・カウンセラー検定試験が開催される。検定日は二級が4月20日、一級が6月15日。子細は以下の通り。

第2回ジュエリー・リモデル・カウンセラー二級検定試験概要

日時:平成23年4月20日(水)13:00〜16:30

検定場所:

  • 東京ファッションタウン 会議室908号室
    〒135-8071 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル9階
    (「ゆりかもめ」にて国際展示場正門駅で下車し、左側にあるビル。りんかい線国際展示場駅徒歩5分)

スケジュール:

  • 集合時間:13:15までに着席。
  • 検定
    • 13:30〜14:50 セミナー            
    • 14:50〜15:00 休憩
    • 15:00〜16:30 ペーパーテスト

セミナーの詳細

  • 講師:横川道男氏(諏訪貿易社長)
  • テーマ:「ジュエリー・リモデルの基本姿勢と注意点」
  • 内容:
    • 宝石は還流し、受け継がれる
    • 装身具の3分類(宝石の装身具、貴金属の装身具、その他の装身具)
    • 宝石の見極めと価値判断(身につけられてこそ宝石)
    • リモデルに持ってこられるジュエリー
    • お預かりする時の注意点(お客様に安心感を持っていただくために)
    • リモデルの基本(宝石の美しさが引き出されているか、付け心地が良いか、10年後、30年後、50年後に使われているか)

ペーパーテストの内容

ペーパーテストでは、セミナーの内容から40点、ジュエリー・リモデル・カウンセラー・テキストから60点が出題され、合計100点。

受験手続

1. 「ジュエリー・リモデル・カウンセラー資格検定申込書」を、下記までFAXかEメール、または郵便にて申込みい。到着次第郵送。

(宛先)
Fax.03-6806-0014  E-Mail info@re-jewelry.net
〒110-0015 東京都台東区東上野1-26-2 オーラムビル208
(社)日本リ・ジュエリー協議会内、
ジュエリー・リモデル・カウンセラー資格検定係
Tel.03-6806-0013 http://www.re-jewelry.net

2.「ジュエリー・リモデル・カウンセラー資格検定申込書」に必要事項を記入。この申込書は二級検定が合格された場合、一級検定でもそのまま有効となる。リモデル作品、オリジナル作品経歴書については十分な点数の提出のこと。

3.同封されている払込用紙を利用して検定料7,000円を払い込み、受領書のコピーを検定申込書の指定欄に貼付。

4.ジュエリー・リモデル・カウンセラー資格検定申込書を、所定の封筒に入れて送る。 受験応募受付の締切りは平成23年3月末日(木曜日、当日消印有効)。

5.ジュエリー・リモデル・カウンセラー資格検定申込書に記載された内容の書類審査をおこない、パスした方には、 ジュエリー・リモデル・カウンセラー検定試験の受験票ならびに試験詳細を受付順で、順次送付。
残念ながらパスされなかった方にも連絡がくる。 

6.合格者には4月30日までに、合格の通知を、郵送にて通知。

7.その際、登録料30,000円の払込取扱票が送付されるので手続きを行う。払込の確認が取れ次第、「ジュエリー・リモデル・カウンセラー二級検定認定証」、ならびに「認定ピンバッジ」が送付。

8.認定された方は(社)日本リ・ジュエリー協議会ホームページ上に資格認定者として掲載される。

9.二級ジュエリー・リモデル・カウンセラーに合格された方は次に一級ジュエリー・リモデル・カウンセラーに挑戦することができる。 一級ジュエリー・リモデル・カウンセラーの検定試験は2011年6月15日(水曜日)を予定。



ジュエリー・リモデル・カウンセラー二級資格検定用テキスト

希望者は前述の、(社)日本リ・ジュエリー協議会内(住所等前述)まで、名前、住所、電話番号を明記のうえ、FAXかE-Mail、または郵便にて申し込む。到着次第、請求書が添付して送られてくるのでテキスト到着後振り込み手続きをする。

料金は2,000円(送料はサービス。



第2回ジュエリー・リモデル・カウンセラー一級検定試験概要

日時: 平成23年6月15日(水) 9:45〜19:30

場所:
東京ファッションタウン 9-A
〒135-8071 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル9階
    (「ゆりかもめ」にて国際展示場正門駅で下車し、左側にあるビル。りんかい線国際展示場駅徒歩5分)

スケジュール

09:45:現地集合し、受験者は指定番号の机に着席

09:50〜09:55:検定に関するスケジュール、注意事項の説明

10:00〜11:00:セミナー(1)

講師:GIAジャパン チーフインストラクター・田近一隆氏
テーマ:「色石処理の現状・検知と限界」
宝石業界で処理はごく一般的におこなわれている。一部の宝石では大半が処理されている。処理事実が検知できる石、疑わしいが検知できない石、信用できる鑑別機関に持込まなければならない石など多様だ。「宝石鑑別ミニハンドブック」 第11章:処理宝石鑑別と第12章:確信がもてないときの対応—ダイアモンドの色起源と色処理—を基礎知識として平易に説明。 

10分休憩

11:10〜12:10:セミナー(2)

講師:日本宝飾クラフト学院理事長 露木 宏氏
テーマ:「明治以降流行した宝飾品と宝石」
指輪その他の装身具の変遷と、その時代時代に流行した宝石や歴史的宝飾品を解説。
同時に、戦前に使われていた著名メーカー刻印を紹介し、残すべきジュエリーを見分ける力を養う。

12:10〜13:00:昼食(館内にて各自とること)

13:10〜14:10:
二つのセミナーのうちどちらかを選択し、1,000〜1,200字のレポートを作成する。レポート・テーマについては各セミナーの後にセミナー講師が出題。
ノート・パソコン持込可。パソコンで作成する方は、ウインドウズ、オフィス・ワードで作製し、オフィス2003以前のバージョンで自分の名前を記入したUSBメモリーに保存し、このUSBメモリーを提出する。パソコンの電源はない。筆記用具は各自持参する。

14:20〜19:30:
面接(日本リ・ジュエリー協議会が依頼する一級ジュエリー・リモデル・カウンセラー、及び協議会理事を含めた3名による面接)。一人10分程度で、地域順(遠隔地から)で実施。

※ 事前に、下記二冊がテキストとして指定されているので試験日までに入手・読了しておく。

1.「日本装身具史」 編・著 露木 宏  美術出版社刊

注文はFAXで、氏名、住所、電話番号を明記して日本宝飾クラフト学院(FAX番号03-3833-2002)まで申込む。書籍は請求書同封にて発送されるので、到着次第振込む。書籍代金は2,625円(税込、送料は別途)です。

2.「宝石鑑別ミニハンドブック」 編集制作 田近一隆 監修 土居芳子 GIAジャパン刊

注文はFAXまたはE-Mailで、氏名、住所、電話番号を明記してGIA JAPANへ(FAX番号03-3834-6589。電子メールアドレスはこちら参照)まで申込む。書籍はお振込み確認後に発送される。書籍代金は3,150円(税込み)+送料300円です。郵便代引きもあるので詳細はGIA JAPANに問い合わせる

2011/2/11 金曜日

ジュエリーの研究グループ、AZClub(エージークラブ)が定例会を開催

Filed under: ジュエリー イベント, ジュエリースクール情報 — ジェムランドeditor @ 16:47:52

ジュエリーの研究グループ、AZClub(エージークラブ)が4月に定例会を開催する。

テーマは「ジュエリーの歴史入門」。

今後エージークラブでは数回にわたりジュエリーの歴史講座を開講するが、今回の定例会では歴史を学ぶにあたりどのような基礎知識を身につけておけば良いか、またジュエリーの歴史がよく判るポイントなどについて学ぶ。

以下、エージークラブ4月定例会の案内より。

私たちが携わるジュエリーは何千年という歴史の積み重ねの上にあります。

しかしヨーロッパの人たちと違い、本物のジュエリーを観る機会は少なく、また歴史を知らないでジュエリーを語る事はできません。

ジュエリーの歴史入門を理解しておけば、今後のジュエリーの歴史講座は面白い程よく理解できます。

エージークラブのジュエリーの歴史入門では、紀元前4000年頃の、エジプトやメソポタミアを始めとする、古代オリエント文明からスタートします。ジュエリーの歴史6000年の悠久とした流れを一緒に学びませんか。

ご興味のある方は、是非ご応募ください。

[AZClub/エージークラブ4月定例会]

  • テーマ:「ジュエリーの歴史入門」
  • 講師:増渕邦治氏
  • 日時:2011年4月2日(土)17時〜19時
  • 場所:銀座ルノアール会議室
  • 会費:正会員は無料。非会員(ビギナー)は2500円(飲み物含む)
  • 定員:15名
    (参加希望者は集計の都合上3月20日までにお申し込みください。 なお参加者は正会員を優先とし、定員になり次第締め切らせて頂きます)
    * 新しく入会または定例会に参加希望の方は、c-taka@t-mode.biz 勝呂までお問い合わせください。

2011/2/8 火曜日

日本宝飾クラフト学院 - 卒業制作合同展 開催

Filed under: ジュエリー イベント, ジュエリースクール情報 — ジェムランドeditor @ 12:47:34

日本宝飾クラフト学院では、東京校の卒業制作展と名古屋校、大阪校、福岡校の選抜卒業制作展を開催いたします。

当日は、卒業作品の他、多数のジュエリーコンテスト入賞作品も同時に展示いたします。

この機会に、ぜひご来場いただき、ジュエリー・アクセサリーを学んだ成果をご覧いただければ幸いです。

※2月17日(木)17:00〜オープニングにあたって簡単なお茶会を開きます。

会場:日本宝飾クラフト学院 東京本校 B1ギャラリー
   〒110-0016 東京都台東区台東3-13-10
会期:2月17日(木)〜19日(土)
時間:11:00〜19:00(最終日16:00)

東京本校に続き、名古屋校、大阪校でも開催いたします。

会場:名古屋校
会期:2月25日(金)〜26日(土)
時間: 11:00〜19:00(最終日17:00)
※名古屋校では、卒業生2名によるオリジナルブランドの展示会も同時開催いたします。

会場:大阪校
会期:3月4日(金)〜5日(土)
時間: 11:00〜19:00(最終日17:00)
※大阪校では、シルバー雑誌の読者投票で1位になった卒業生平山さんのブランド「BORAM」の展示や、天然石のセールも行います。

FROM 日本宝飾クラフト学院

21世紀の提言 - IJT雑感

Filed under: ジュエリーコラム — ジェムランドeditor @ 12:40:07

 

26日から開催されていたIJT。今年は何年かぶりで4日間通いました。会場は昨今の宝飾品市場の影響もあってか、やや手狭になり、その上高級雑貨と時計のパビリオンができたので、ますます宝飾品業界の貧困さが浮き彫りになったように思います。

しかし入場者は反対に4日間通じて、増えたのではないでしょうか。相変わらず真珠や色石関連のブースには人だかりが多く、製品のブースにはよほど興味が無いと人だかりはしていなかったように感じられました。

今回の展示会でいくつか興味を引いたものがありました。ひとつは甲府のメーカーKが「JIZAI」というブランドで、面白いジュエリーを展示していました。私はこのところ自在置物に傾倒しており、その関連で何人かの方とも知り合う事ができたのですが、流石に同じような事を考えている人はいるもので、完全に先を越された感は否めません。
しかしながら、仔細に商品を観察する事ができたのですが、私が考えている自在ジュエリーとは些か世界が違うような気がしたのは幸いでした。現在何人かの作家の方に自在のテイスト含めたジュエリーの制作を依頼しており、それらの形が見えるようになってくると、はっきりしてくると思います。

自在置物は昆虫や虫の超リアルな世界を金属で表現したものです。この超リアルと同じレベルで写実という視点で見ると、千葉県に日本で初めての写実美術館ができたのですが、私はまだ訪れていません。最近色々な分野で、写実が見直されてきているように感じます。ジュエリーの世界も、一頃のリアリズムが影を潜めていたのですが、もしかするとリバイバルの兆しが出てくるかも知れません。もっとも写実的なジュエリーの制作はそんなに簡単にはいかないので、誰でもできるというものではありません。似て非なるものはCADの発展もあり、数限りなくでてくるでしょうが、精度の高いものは果たしてどうでしょうか。

今回製品で面白いと感じたのはKのブースでした。大手の企業だけあって、現在のトレンドを調べ、いくつかの観点から提案型の新作を展示していましたが、いくつか参考になるものがありました。

真珠ではやはり天然真珠でしょう。コンクはもはや貴重品ではなくなりつつあり、今回もいくつかのブースで見る事ができました。その中でもレベルの高かったのは御徒町のM真珠のコレクションでしょうか。タイラギやアワビ、ホタテなどの逸品が陳列されていました。アワビはカリフォルニアとニュージーランドで産出されますが、貝の種類が些か異なります。

変わったところでは、S真珠がマベのラウンド、ゴールデンを陳列していました。お気づきの方もいらっしゃるでしょう。マベはご存知のように半円(半径)真珠ですが、何年か前からラウンドに近いものを養殖するようになりましたが、色とテリの無さと云う点で私はあまり評価していません。今回のゴールデンも貴重品と云う点では見るべきものがありましたが、真珠の品質と云う点になると、首を傾げざるを得ません。

ところで先ほどのM真珠のブースでは、淡水のバロックを見る事ができました。このバロックはテリといい、色といいかなりのものです。中国産の淡水もここまで良いものができるようになった事は驚きです。また神戸のPEが唯一ケシの品揃えをしていました。この会社は香港でも常連ですが、IJTでは初めて見ました。現在品質の良いケシは市場からなくなってきており、このようなケシの良いものが見られるのは幸運です。

反対にダイヤモンドや色石は殆ど見るべきものがなかったように思います。香港やバンコクなどに行くと、ものすごい逸品ものが展示されていますが、残念ながら日本では殆ど見る事ができませんでした。海外からの出展もみな小さなところばかりだったような気がします。ダイヤモンドや色石は完全に市場が違うのではないか。このようなところにも日本が国際競争力から取り残されているのを感じます。

海外のブースでは、やはりイタリアブースの製品が目に留まりました。全体にジュエリーのデザインは一歩先んじていると思います。しかしながらイタリアは日本の市場に対してどのような認識を持っているのか。2、3のブーで聞いてみましたが、私の意図を理解していないのか、はっきりした返事はもらえませんでした。

ドイツやフランスは小さくまとまっており、まだまだ日本の市場で競争するレベルではないようです。香港や韓国なども日本市場をそれほど重視しているとは思えず、それは大手企業が出展していない事でも判ります。

デザイナーブースでは一人の作家と出会う事ができました。これからどのような付き合いができるか、楽しみの一つです。しかしながら全体に低調で、人を唸らせるような提案をしているデザイナーと出会う事はできませんでした。

今回のIJTは初日、二日は中国人の招待客でごった返していたと云っても過言ではないでしょう。その中には半分以上が一般の消費者が混じっており、ブースでは明らかに小売で、値切りの交渉が声を大にして行われていた事も見逃せません。

数年前から日本の小売店の個客でしょうか、一般消費社の入場が目立ち、業界内では物議を醸し出していますが、これは完全に既成事実になっています。私は時代の流れからして止むを得ないと思いますが、このようななし崩し的なやり方は如何なものでしょうか。そろそろ宝飾品業界のはっきりした方針が出てくるべきではないかと思うのです。

IJTは相変わらずバイヤーの姿は少なかったように思います。数年前からこのような展示会には海外からのバイヤーが精力的に動き回っていなければ、真の国際競争力が身に付いたとは云えず、その事は事ある毎に様々な場面で云ってきましたが、完全に伸び悩みでしょう。苦肉の策が中国からの団体観光客では、本末転倒と云わざるを得ません。

確かに現在の世界をリードしているのは中国とインドですが、こと宝飾品ビジネスになるとまだまだ弱小企業の日本が出る幕はありません。日本の大手企業がビジネスとして本格的に乗り出していかなければ、将来性は無いと思います。中国やインドのダイナミズについていけないからです。

日本の宝飾品市場もどんどん縮小化傾向にあり、入場者は多いけれど素材や特価品などの半端な買い物しできない、いまの宝飾品市場。将来が明るモノとなるのはいつの事でしょうか。それまで私たちは何を考えどうしていけば良いのでしょうか。この答えは、今回のIJTでは見つける事はできませんでした。

増渕邦治(ますぶち くにはる)
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