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2011/2/15 火曜日

[宝石学の世界]発行人 謹啓

Filed under: ジュエリーコラム, ジュエリーリフォーム — ジェムランドeditor @ 17:07:03

昨日のバレンタインデーで思いだしたのは、初めてアメリカでバレンタインデーを過ごした日の驚き。当地では男性から女性へのプレゼントが主流だった。バレンタインデーとは女性から男性にプレゼントをする日という私の常識を覆しただけに驚きが大きく、それから20年以上を経た今もこの日を迎えると当時ビックリした記憶が蘇る。

常識とは社会一般が広く同意している事柄と言い換えて良いだろう。バレンタインデーの件でいえば私の常識は日本国内でのみ当てはまって国際的には当てはまらなかった訳だから、自分の“常識”が他者からは必ずしも常識ではないという教訓になった。ジュエリー制作においても然り。常識に捕らわれると失敗する可能性がある。例えばガラス充填されたサファイア※を加工する際などで起こりえる失敗だ。

カラード ストーンに加工用バーナーの炎を当てると、ある種の宝石の色が変わることがある。ブルー トパーズは退色するし、ブルー サファイアも空気中で加熱すれば退色する。職人はこの事を知っているから宝石に直火が当たるような加工方法は採らない。しかし、ブルー サファイアが少し炎に晒されただけで直ぐに退色する訳ではなし、爪の修理などで、仮にちょこっと石に火が当たる程度では問題がないという常識に寄りかかると、キャビティ(石表面にある穴)にガラスが充填されていた場合、熱に強いサファイアと異なり、ガラス部分は表面がただれたり、ガラス中の気泡が熱で膨張して破裂する可能性がある。

こちらに掲載しているガラス充填処理が施されたサファイアは、業者向けに裸石を販売する店で、処理の情報は開示されずに販売されていたもの。パビリオンにガラス充填大きなキャビティがある。枠に留まっていたら、うっかりすると見落としかねない)

石留め中の割れが代表だろうが、ジュエリーの修理やリフォームに携わる方は、かなり高い確率で修理中の石の破損で苦労をした経験をお持ちなのではないだろうか。石の破損は、宝石の耐久性や処理の知識を持ってそれに適した対応を取ることで減らすことができるが、ジュエリーリフォームやリモデルの知識を啓蒙する役割を果たしているのが一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会であり、同協議会の実施する[ジュエリー・リモデル・カウンセラー検定]では知識を吸収しながら資格を得ることができる。この度、第二回目の試験が実施される。

また同協議会ではこの度、ジュエリー・リモデル、修理に関わるリスクをカバーする保険をスタートさせるという。ニーズは高かったが職人や宝石店が個々に損害保険会社と交渉しても門前払いの保険だっただけに歓迎できる取り込みだ。

[宝石学の世界] 発行人 福本

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