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2008/11/11 火曜日

スリランカ宝石便り〜その16〜英国宝石学協会100周年に出席して

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 5:20:40

英国宝石学協会の宝石学会が10月26日、27日ロンドンのヒルトンホテル(ケンジントン)で開催されました。今年は英国宝石学会設立100周年ということで、学会も二日間にわたり、13名のスピーカによるレクチャーがありました。

一日目は「宝石学の基盤」というテーマで、宝石学の歴史、インクルージョンの発見に関する歴史、ジュエリーの歴史などを科学的根拠だけではなく、その時代の人々に支持されていた考え方、当時の流行などを交えながら話が進みました。

中でも、宝石学の生みの親と呼ばれ、インクルージョンの世界を広めたスイス、ギュベリン宝石ラボラトリー(GGL)の(故)Mr. E.J.Gubelinと共に「Photoatlas」を出版されたGIAカリフォルニアのMr.J.I.Koivulaの話は大変興味深かったです。彼は46年間に渡りインクルージョンの写真を撮り続け、800を超える記事を発表されており、今回はその研究の一部でも話が直接伺えたのは、とても良い刺激になりました。鑑別にインクルージョンが大変重要であるということは承知していますが、やはり数を多く見て、自分の目を確かなものにしていかなければならないと思いました。
またあらためて、宝石の中に広がる潜在的な世界は美しいと思いました。

17世紀のスウェーデン王室のジュエリーの話は大変華やかな世界であり、当時の王室の権威と宝石が王室にとってどれほど重要なものであったかを伺い知ることができます。

sweden-crowm-jewel.jpg18世紀以降は宝石の産出量が増えたことで、世界のジュエリーの概念が変わってきます。ジュエリーが大量に作られ、王室だけではなく一般の人(と言っても上層階級を中心とした)も宝石を身につける機会が増えました。

アメリカの宝石として、ティファニー社のクンツ博士(Dr.G.F.Kunz)の人生や宝石学に対する姿勢について、またティファニー社が如何に市場を開拓してヨーロッパとは違ったアメリカならではのスタイリッシュなジュエリーを生み出したかといった話も興味深かったです。

二日目は「現在の宝石学」というテーマで、鑑別を如何に確かでスムーズに行うかといった技術的な話がされました。「磨いて輝くのは宝石だけではなく、自分の鑑別技術も」といった話から始まり、既存の屈折計を如何に活用していくか、ポータブルな鑑別器具を如何に使いこなして行くか(モバイル化していく近未来の話も含め)と興味はつきません。

また最近市場に増えてきた緑、黄緑、紫がかった青のクオーツについての最新報告も行われました。

英国宝石学会は毎年10月下旬にロンドンで開かれます。英語ということで、私も全てを把握するのは正直申して・・・大変です。しかし、同じく宝石学を学んだ世界各地の仲間に会える機会であり、先輩方の話を伺うことができる点は大変勉強になりました。

写真上:学会の会場。
写真下:スゥエーデン王室ジュエリーの話をされたMs.Sandra M.Brauns (Bukowski Auction House, Stockholm)と一緒に。

片山新子(かたやま しんこ) FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語
(↑英国宝石学協会・学会に参加した個人的な出来事をブログに書いています。)
個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載 「Ragems

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