デビアスの大株主アングロ アメリカン買収提案受ける
先に共にダイアモンド鉱山を所有するBHPビリトンとリオ ティントによる鉄鉱石事業の統合についてお伝えしたが、今度はスイスの資源大手エクストラータによるイギリスの資源大手アングロ・アメリカンに対する合併提案がなされた。
合併が実現すればおよそ6兆5,000億円の規模の会社となり、BHPビリトンに匹敵する。
アングロ・アメリカンはジュエリー業界に馴染み深い資源会社だ。傘下のアングロ・プラチナは新産プラチナ(市場から回収されて再流通するのではなく、新たに鉱山より産出されたプラチナ)の40%弱を産出している他、デビアスの株式を45%保有している。
ちなみに、アングロ・アメリカンはアーネスト・オッペンハイマーによって創設された会社だ。同氏はデビアスの創業者セシル・ローズの死後、社業が落ち込んだデビアスを建て直し、その基盤を確固たるものとしたことで知られており、現在のデビアス会長ニコラス オッペンハイマーはその孫にあたる。
なお、デビアスは2001年にある種のMBO(マネジメント・バイアウト:経営陣による買収)を実施している。オッペンハイマー一族が45%、アングロ・アメリカンが45%、デブズワナが10%の株式を所有するデビアス・インベストメント(DBI)を設立し、同社がデビアスの発行済み株式を買収して、私会社(※)へと移行したのだ。この改革によりデビアスとアングロ・アメリカンは従来の株式の持ち合い関係がなくなり、アングロ・アメリカンはデビアス株を持つが、デビアスはアングロ・アメリカンの株を失った。この経営改革の理由は新しい事業計画への株主の介入を防ぎ、経営計画の迅速な実施を可能にするため、など諸説あるが、根底には非デビアス系のダイアモンド原石の流通が強まり、ダイアモンド業界におけるスーパーパワーだったデビアスの体力が落ちていることに対応するためであることは間違いないだろう。
※:私会社
イギリスの会社法では、会社は、公開会社(public company)と私会社(private company)のふたつに大別される。私会社に有価証券の公募は許されていないが、公開会社のような経営上の情報開示は求められていない。