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2009/3/16 月曜日

スリランカ宝石便り その21 〜コーネルピンとエンスタタイト〜

宝石の中でもあまり聞きなれない二つの宝石を今回はご紹介します。

どちらも希少石として、宝石質のものがスリランカで産出されます。しかし色合いや硬度の低さを考えるとジュエリーには難しく、コレクターとして研摩される程度です。こちらでも市場に出てくることは少ないのですが、このふたつを比べた場合コーネルピンの方が見かける機会が多いです。スリランカ産のコーネルピンは鉄分が多く、ブラウンや暗緑色、黒っぽいものが主流です。

 

エンスタタイトもコーネルピンに似たような色合いのものが多いのですが、中にはクロムを起因とした美しい緑色、ダイアモンドのように無色のものがあります。どちらの宝石も一条の光の帯が出るキャッツアイも存在します。 無色のエンスタタイト

スリランカではこの二つの宝石は同じ漂砂鉱床から産出されます。宝石学的特徴から見れば、どちらも比重が近く屈折率も同じです。

コーネルピン  比重3.32、屈折率1.66-1.68(複屈折量0.013) 硬度6.5

エンスタタイト 比重3.27、屈折率1.66-1.67(複屈折量0.010) 硬度5.5

 このように見た目も屈折率も近い宝石をどのように区別したら良いでしょうか?

まずは丁寧に屈折率を計り、複屈折量の違いを見ます。しかしこの数値も近いので、これで確実な鑑別とはいかないのが現実です。顕微鏡の拡大検査では、コーネルピンはルチル、アパタイト,ジルコンといった鉱物が見られます。またコーネルピンは多色性が強く、方向によって色相が違うと言われています。(しかし私の経験では、それほどはっきりとは多色性が確認できないことが多いです。)その他の確実な鑑別としては、エンスタタイトは特徴的なスペクトラムを持ちます。緑の部分(506nm)に光の吸収が確認できます。

あまり見かけることのない宝石ですが、共通点の多い宝石を比べてみるのも楽しいものです。

片山新子、FGA

個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki

 

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