スリランカ宝石便り その23 〜スリランカに平和が戻った〜
今日は宝石の話ではないのですが、スリランカにとって歴史的に大切な日なので、その話を書きます。
これまでこの国にとって、「平和」とは絵に描いた餅のようなものでした。
今年に入り政府は大規模な戦闘を北部・東部で行い、ついに今月16日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)を制圧したという勝利宣言をしました。
多くの避難していた一般人が巻き込まれ、そのような政府のやり方に国際社会からも批判が出ていました。話合いによる「平和協定」より、徹底的に相手を壊滅させる選択を政府は選んだのです。その結果、LTTEは壊滅状態で敗北を宣言しました。コロンボ市内でも17日の日曜日の朝は、街の至るところで終戦を祝う爆竹が鳴り響きました。
スリランカには、仏教を信仰する多数のシンハラ人、ヒンドゥー教を信仰する少数民族のタミール人、そしてモスリムの人たちが住んでいます。宝石ビジネスの多くはモスリムで、その次にシンハラ人です。(そう言えばタミール人の宝石商は会ったことがないですね。)
スリランカにいるタミール人が全てLTTEを支援していたというわけではありません。多くのタミール人はLTTEのゲリラ活動に批判的でした。戦闘地から離れているコロンボでも自爆テロが繰り返され、道路閉鎖や検問、市民生活には多くの支障がありました。観光が国の重要な財源であり、ビジネスにも影響されるので、早く戦争が終わり、観光客が戻ってくることをスリランカ人は強く願ってきました。
宝石店が多く入った、国の産業事業のひとつであるワールド・トレード・センターも多くの宝石店が店を閉めている状態です。(気の毒なくらい客がいません。)LTTEは壊滅状態ですが、個人的な自爆テロの危険性はまだ指摘されています。
多民族をどう平等に扱っていくのかという多くの課題がある政府ですが、25年続いた内戦が終わり、本当の平和続くことを祈ります。
終戦を祝う為、街中に国旗が飾られています。
片山新子(かたやま しんこ)、FGA
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