ジュエリーブログ,ニュース / ジェムランド

2008/7/2 水曜日

コーティングを施したタンザナイトが増加基調

Filed under: 宝石への処理, カラード ストーン — ジェムランドeditor @ 8:25:36

コーティングを施したタンザナイトが増加基調にある。

このコーティング処理は、色の薄いファセット加工済みタンザナイトをコバルト色因の被膜で覆うというもの。

この処理によるタンザナイトもコーティング処理石に見られる一般的な特徴を備えているから、タンザナイト買い付けの際、コーティングの可能性さえ頭に入っていれば識別を誤ることはないだろう。

コーティング処理石に見られる一般的な特徴とは、主としてパビリオン上のファセット面から観察されるイリデッセンス(虹色 / コーティング被膜と石の隙間に起因)や、ファセット稜線及びキューレット付近の被膜の剥がれである。剥がれた部分の色は薄く見える。

被膜の剥がれを検査する最も良い方法は、検査石を白色の拡散板(あるいは通常のコピー用紙のような白く薄い紙)の上に置き、拡散板の下から強い照明を当てた状態での観察である。石を浸漬した状態で拡大すれば最適の検査環境となるが、浸漬せず、裸眼で判断できる事も多いはずだ。

その他このコーティング石固有の識別特徴としては、弱い多色性と青みが強い不自然な色を挙げることができる。未処理で色の深いタンザナイトの場合、その色は強い多色性に起因しブルーとパープルカラーが混在しており、石を観察する角度を変えるとブルーとパープルの出現場所と比率が変化するものだが、コーテッド タンザナイトの場合にはそのような変化が見られない。これは処理に用いられた元々のタンザナイトの地色が弱い(すなわち多色性が強く認識できない)ことに加え、ブルーに発色する被膜自体が多色性を持たない為である。

>> IGI、コーテッド タンザナイトの簡易鑑別サービス開始

スリランカからの宝石便り 〜その13〜 スリランカの宝石産地

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 4:06:53

コランダムスリランカの宝石の歴史は、紀元前250年頃までさかのぼることができると云われています。その太古の時代から今日に至るまで、これまで紹介したような様々な宝石が産出されています。もういい加減、産出量も減っただろうと推測しても、現地の地質学者は、まだ宝石層のある地質の数パーセントしか採掘されていないと言います。この小さな島国にまだまだ可能性があるのか?と頼もしく思ったりもしますが・・・。

さて、スリランカの地質は北西地域以外、主にプレカンブリア時代の岩石で構成されています。その時代のスリランカは、アフリカのマダガスカルと陸でつながっていたと云われていて、現在産出される宝石の種類の類似性を考えても大変興味深く、まさに「宝石」がその歴史の「生き証人」になっています。

宝石が産出される主な地域は、島の中心から下のあたり(Highland Southwestern Complex)に集中しており、「宝石の街」という意味を持つ「ラトゥナプラ」がもっとも多くの種類を産出しています。この辺りは漂砂鉱床で、長い年月にわたり風雨や洪水などにもまれ、その結晶は形を失い、まるで小石のような状態です。それらが、川などに流され、また地中に埋もれ、比重が大きい為一箇所に集まって宝石鉱床となります。地中15メートルから30メートルくらいを井戸のように掘る(Pits)とその鉱床にたどり着きます。また川に流れ込んだ宝石は、川底をさらう感じで採掘します。    

 

機械を導入して大規模な採掘を行う業者もいますが、昔ながらの方法(穴を掘っていき、水をくみ出す)を人力でしている場所も多いです。採掘現場は、穏やかな田園風景が広がり、大変のんびりとした感じが私は好きです。今は爆弾テロなどで、スリランカ全体の治安がよくないのですが、将来、平和になったらぜひスリランカの採掘現場をいらして下さい。

 

 

(写真・採掘されたサファイアは結晶の形はなくなり、小石のよう。色が美しい)

 

 

片山新子(かたやま しんこ) FGA
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スリランカ宝石留学物語
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2008/6/17 火曜日

日本宝飾クラフト学院 -「江戸時代〜昭和初期の伝統装身具」展を開催中

Filed under: ジュエリー イベント — ジェムランドeditor @ 7:03:17

美術出版社刊の「日本装身具史〜ジュエリーとアクセサリーの歩み」に掲載された学院所蔵の装身具や関連の品々約270点を展示した、「江戸時代〜昭和初期の伝統装身具」展が始まりました。
江戸時代の櫛、笄、簪といった古い髪飾りや、日本髪用の髪飾り、束髪用の髪飾りなど、時代とともにどのように変遷していったのか一目で分かります。

髪飾り以外にも、指輪やネックレス、大変細かい細工が施された彫金小物など、さまざまなアイテムがあり、当時の職人の技術力の高さもわかります。

また、大変貴重な、明治時代の加工机も展示されています(加工机の展示は8月7日まで)。

下記日程で開催していますので、ぜひご来場下さい。

 内容:「日本装身具史」(美術出版社刊)掲載の本学院所蔵作品と関連資料を展示
 場所:日本宝飾クラフト学院 本校B1ギャラリー
 日程:前期 2008年6月10日〜8月7日 火・水・木曜日
    後期 2008年9月9日〜11月6日 火・水・木曜日(祝日休み)
 時間:午前11時〜午後6時(観覧無料)
 特別講演:6月27日(金)午後2時〜4時(要予約)
      講師 関昭郎(東京都現代美術館学芸員)

by 日本宝飾クラフト学院
http://www.jj-craft.com/

日本宝飾クラフト学院-夏期宝飾実務講座 開催

毎年恒例となりました、夏期宝飾実務講座(サマーセミナー)を今年も開講します。

今年は従来の東京本校に加え、一部講座を横浜校、名古屋校、大阪校でも開催します

開催日程の予定は、以下になります。

ホームページからのお申し込みも可能です。
講座によっては、すぐに定員になってしまうものもありますので、ご注意下さい。

●東京本校
JC3級対策             7月12日(土)19日(土)  \20,000
宝石鑑別(ダイヤ・パール) 7月23日(水)24日(木)  \29,000
金箔テクスチャー         7月25日(金)          \12,000
鍛造によるスプーン制作   7月25日(金)26日(土)  \22,000
宝石デザイン 基本        7月28日(月)29日(火)  \29,000
彫り留め 基本            7月28日(月)29日(火)  \29,000
彫り留め 上級            7月30日(水)31日(木)  \29,000
べっ甲アクセサリー       7月30日(水)31日(木)  \20,000
ワックス彫刻             7月30日(水)31日(木)  \29,000
インチジオーネ(洋彫り)   7月31日(木)8月1日(金)\29,000
宝石鑑別(カラーストーン) 8月1日(金)2日(土)    \29,000
宝石研磨 (水晶)          8月2日(土)           \12,000
宝石デザイン 上級        8月4日(月)5日(火)    \29,000
木目金                   8月4日(月)5日(火)    \29,000
ワックスジュエリー検定対策 8月4日(月)          \9,000
色上げペンダント(緋銅)   8月6日(水)7日(木)    \29,000
ハンドメイドチェーン     8月6日(水)7日(木)    \22,000
みつろうテクニック       8月7日(木)           \12,000
線象嵌                   8月8日(金)9日(土)    \29,000
リペア                   8月8日(金)9日(土)    \29,000
ジュエリーデザイン画検定対策 8月8日(金)        \9,000
ゴムきりテクニック       8月8日(金)           \12,000
ガラス工芸(とんぼ玉制作)初級  8月8日(金)      \12,000
ガラス工芸(とんぼ玉制作)中級  8月9日(土)      \12,000
アンティークジュエリー   8月9日(土)           \12,000
かんたんレリーフ         8月9日(土)           \12,000
有線エナメル(七宝)       8月11日(月)12日(火)  \20,000
爪留め                   8月11日(月)12日(火)  \29,000
パール糸替え             8月11日(月)12日(火)  \29,000
インディアンジュエリー   8月11日(月)12日(火)  \22,000
CAD3Dデザイン(3DESIGN) 8月11日(月)12日(火) \50,000
CAD3Dデザイン(ライノ)  8月19日(火)20日(水) \29,000
チタンの色上げ           8月20日(水)          \12,000
レティキュレーション     8月21日(木)          \12,000
宝石研磨 (メノウ)        8月23日(土)          \12,000
●横浜校
ソフトワックス           7月28日(月)          \10,000
ゴールドフォイルオーバーレイ  7月30日(水)     \12,000
純銀粘土アクセサリー     8月1日(金)            \9,000
彫り留め基本             8月4日(月)5日(火)    \29,000
ロストワックス基本       8月8日(金)9日(土)    \29,000
●名古屋校
パール糸替え             7月30日(水)31日(木)  \29,000 
CAD3Dデザイン(3DESIGN) 8月1日(金)        \30,000
リングデザイン画         8月2日(土)           \12,000
宝石鑑別(ダイヤ・パール)  8月4日(月)5日(火)    \29,000
ゴールドフォイルオーバーレイ 8月18日(月)      \12,000
●大阪校
純銀クロシェ             7月29日(火)          \12,000
ゴールドフォイルオーバーレイ  8月6日(水)      \12,000
かんたんレリーフ         8月22日(金)          \12,000
ペンダントデザイン画     8月22日(金)          \12,000
みつろうテクニック       8月23日(土)          \12,000

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お申し込み・講座内容・資料請求は、
http://www.jj-craft.com/

消費者がジュエリーテレビジョンを5億円の損害賠償提訴

Filed under: ジュエリーニュース, カラード ストーン — 福本 @ 5:30:42

米大手テレビ通販会社ジュエリー テレビジョンが、宝石販売に関する不当広告で提訴された。訴えたのはカリフォルニア在住の女性で、請求した損害賠償額はおよそ5億4千万円。

この女性によると、ジュエリー テレビジョンが稀少な赤色または緑色のアンデシン ラブラドライトとの広告に基づき購入をした宝石が、実際には化学的に処理された無色または黄色のフェルドスパーであったという。

処理を意図的に隠して販売をしたとは思わないが販売者責任が問われる時代である。宝石の販売者は、プロフェッショナルとして処理を知らなかったで済まされるものではない。自らの知識を磨き、供給者の情報だけに頼ることなく適切な情報を開示して販売することが肝要だ。

公正取引委員会には消費者を保護する観点から宝石・ジュエリーの広告に関する規制を強化してもらいたい。 規制緩和の潮流に逆行するとの考えもあるかもしれないが素人も簡単にインターネットで販売が可能な時代。その広告には目を覆いたくなる不当表記を目にすることもあり、歯止めの必要性を感じている。

販売者の立場からすると規制強化はうっかり知らずに処理石を売ってしまったらどうするのだという不安を持つかも知れない。しかし、自らの知識を蓄え、必要に応じて宝石鑑別機関を利用して、適切な表記で消費者が安心して宝石・ジュエリーを購入できる環境を整えればマーケットはより大きなものとなり、ビジネスに良い影響を与えるものと信じる。

参考までに記すと、FTC(米連邦取引委員会)ではジュエリー、貴金属業界向けに広告の文言を細かく定めたガイドラインを設けている。

 

GIA JAPAN、フィリッピンのゴールデン・パールに関するセミナーを開催

Filed under: ジュエリースクール情報, 真珠 / パール — ジェムランドeditor @ 3:58:19

白蝶真珠宝石鑑定士の事実上の世界標準いえる資格、GGプログラムの実施で知られるGIA JAPAN大阪教室で、フィリピン西端パラワンのタイタイ地方の無人島にある白蝶貝養殖真珠場で養殖されるゴールデン・パールに関するセミナーを開催する。

開催日は7月30日(水)で聴講費は一般3,000円(受講生無料)。

同養殖場を先頃訪れた土居芳子GIA JAPAN理事長が講師を務める。

真珠科学研究所[パールトレーニング10時間]のスケジュール発表

Filed under: ジュエリースクール情報, 真珠 / パール — ジェムランドeditor @ 3:42:52

真珠科学研究所は、“パールトレーニング10時間”セミナーの次回開催は8月6日、7日と発表した。

実務に即した実習中心のこのセミナーは、直ぐに販売に応用できる技能・知識が習得出来ることで定評がある。

惜しむべきはサンプル セットの関係で毎回5名しか受講できない事。このため直ぐに定員に達してしまう。しかし、この6月17日現在では、まだ空きがある。ご希望の方は、以下に公開されているページを印刷し、ファックスで申込みできる。

受講を終了するとパールインストラクターの資格称号が授与される。

>> パールトレーニング10時間申込み用紙

>> パールトレーニング10時間パンフレット

主催:真珠科学研究所
会場:真珠科学研究所セミナールーム(東京都台東区)
開催日:2008年8月6日、7日

2008/6/16 月曜日

スリランカからの宝石便り 〜その12〜 水晶(クオーツ)

クオーツクオーツの結晶の形は先端が尖がった感じの六角柱状になっています。化学組成は二酸化珪素。割れると貝殻状の断口をしています(まっすぐ割れない)。無色透明のものを「水晶(ロック・クリスタル)」と呼び、スリランカでは現地のシンハラ語で「Palingu」と呼び、仏教徒は記念碑などの上に置き、とても神聖に扱っています。

茶色や黒っぽい色の「スモーキー・クオーツ(ブラウン・クオーツ)」は地中で天然の放射能を浴びたと考えられています。無色の水晶に照射し色を茶色にする技術もあります。スリランカではスモーキー・クオーツは大きなものが産出されますが、あまり宝石レベルの美しいものは少ないのが残念です。

クオーツの中でも有名なアメジストは赤紫の美しいものから薄い紫のものがスリランカの広範囲な地域で産出されます。中には部分的に紫と黄色のシトリンが同じ石に現れるものもあり、「アメトリン」と呼ばれています。シトリンは黄色がかったクオーツを指しますが、残念ながらスリランカで宝石レベルのシトリンは産出されにくいです。コロンボの店頭に並ぶ多くのシトリンはアメジストを加熱してシトリンにしたものです。これらクオーツのトリートメント(処理)はスリランカでは一般的にされていません。おそらく多くのアメジストやシトリンは海外から輸入されたものでしょう。

ローズクオーツピンクのかわいらしい色あいの「ローズ・クオーツ」は世界的にも美しい結晶で見つかることは大変稀です。少しもやのかかったようなピンクで、これは、内包物の微細なデュモルチエ石結晶によるという説や微細なルチルによるものという説があります。このルチルが、正しく方向を持って並ぶと、石の上に3本の光の帯が現れます。このスター・ローズクオーツは、スターサファイアと違い、ライトを宝石の真上から当てるのではなく、宝石の後ろ(下)から光を通過させることでスターを見ることができます。また、一条の光の帯が見える「クオーツ・キャッツアイ」があります。この場合は光を上から当てて見ます。

私自身、クオーツを買う時に合成か天然か鑑別に悩む時があります。はっきりと内包物を確認できればいいのですが、クリアーなものの場合その判断は大変に難しいです。アメジストの特徴的な内包物として、虎縞模様のものや色むらがあります。ただ、天然ものも値段が安いので、かなり大きめのサイズを購入することができます。その大きさから大変インパクトのあるジュエリーとなるでしょう。

片山新子(かたやま しんこ) FGA
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2008/5/31 土曜日

スリランカからの宝石便り 〜その11〜 ムーンストーン

ムーンストーン

宝石学的に言えば、ムーンストーンは長石(英語名Feldspar)に分類されます。長石の化学組成はカリウムとアルミニウム珪酸塩で地球上の造岩鉱物の中でも一般的です。この長石の中でもスリランカで豊富に産出されるのはムーンストーンです。特に青い光が表面に浮かぶシラーは、まるで、本当に月から来た宝石なのではないかと不思議に感じます。

この青いシラーは学術的にはアドゥラレセンス(Adularescence)と呼ばれ、その光の仕組みはレイリー散乱(空がどうして私たちには青く見えるのか?)と同じです。簡単に言えば、ムーンストーンはふたつのタイプの長石がサンドイッチのように互いに層をなしており、そこに入った光の干渉により青く見えまるのです。

http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki/diary/200611230000/
(レイリー散乱とムーンストーンについて書いた個人ブログ)

ブルー・ムーンストーンは通常の乳白色のものと比べて値段がかなり高いです。スリランカでは産出量が減ってきていると言われています。乳白色のものの中にはキャッツアイのように白い光が目のように浮かぶものもありますがブルー・ムーンストーンに比べればかなり安いです。

残念ながら硬度が6と真珠と同じ低さですので、ジュエリーとしてはペンダントトップなどにするのが無難でしょう。普通はカボションにカットされますが、細長く大きさもあるカットが多いので、存在感のあるジュエリーになると思われます。

レインボー・ムーンストーンと呼ばれる赤や黄色、青などが浮かび上がるものがありますが、正式には透明のラブラドライトのことで、残念ながらスリランカでは産出されません。

片山新子(かたやま しんこ) FGA
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2008/5/17 土曜日

ブルーダイアモンドを用いた指輪が9億円余りで落札-クリスティーズ オークション

14日、ジュネーブで開催されたクリスティーズのジュエリー オークション[EVENING GLAMOUR]に出品されたブルー ダイアモンドを用いた指輪がおよそ9億1700万円(9,233,000スイス フラン)で落札された。

このブルー ダイアモンドは13.39キャラットあり、パヴェ セッティングされたピンク ダイアモンドのメレーが取り巻いている。添付されたGIAのレポートによるファンシー カラーの表記はファンシー インテンス ブルーで、クラリティはVS1、蛍光反応はない。

高額落札されたブルー ダイアモンドの例としては、2007年10月8日のサザビーズ オークションで約9億3500万円(61,927,500香港ドル)で落札された6.04キャラットのエメラルド カットのブルー ダイアモンドがある。

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