スリランカからの宝石便り 〜その13〜 スリランカの宝石産地
スリランカの宝石の歴史は、紀元前250年頃までさかのぼることができると云われています。その太古の時代から今日に至るまで、これまで紹介したような様々な宝石が産出されています。もういい加減、産出量も減っただろうと推測しても、現地の地質学者は、まだ宝石層のある地質の数パーセントしか採掘されていないと言います。この小さな島国にまだまだ可能性があるのか?と頼もしく思ったりもしますが・・・。
さて、スリランカの地質は北西地域以外、主にプレカンブリア時代の岩石で構成されています。その時代のスリランカは、アフリカのマダガスカルと陸でつながっていたと云われていて、現在産出される宝石の種類の類似性を考えても大変興味深く、まさに「宝石」がその歴史の「生き証人」になっています。
宝石が産出される主な地域は、島の中心から下のあたり(Highland Southwestern Complex)に集中しており、「宝石の街」という意味を持つ「ラトゥナプラ」がもっとも多くの種類を産出しています。この辺りは漂砂鉱床で、長い年月にわたり風雨や洪水などにもまれ、その結晶は形を失い、まるで小石のような状態です。それらが、川などに流され、また地中に埋もれ、比重が大きい為一箇所に集まって宝石鉱床となります。地中15メートルから30メートルくらいを井戸のように掘る(Pits)とその鉱床にたどり着きます。また川に流れ込んだ宝石は、川底をさらう感じで採掘します。
機械を導入して大規模な採掘を行う業者もいますが、昔ながらの方法(穴を掘っていき、水をくみ出す)を人力でしている場所も多いです。採掘現場は、穏やかな田園風景が広がり、大変のんびりとした感じが私は好きです。今は爆弾テロなどで、スリランカ全体の治安がよくないのですが、将来、平和になったらぜひスリランカの採掘現場をいらして下さい。
(写真・採掘されたサファイアは結晶の形はなくなり、小石のよう。色が美しい)
片山新子(かたやま しんこ) FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」
個人WEB「Ragems」