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2008/6/16 月曜日

スリランカからの宝石便り 〜その12〜 水晶(クオーツ)

クオーツクオーツの結晶の形は先端が尖がった感じの六角柱状になっています。化学組成は二酸化珪素。割れると貝殻状の断口をしています(まっすぐ割れない)。無色透明のものを「水晶(ロック・クリスタル)」と呼び、スリランカでは現地のシンハラ語で「Palingu」と呼び、仏教徒は記念碑などの上に置き、とても神聖に扱っています。

茶色や黒っぽい色の「スモーキー・クオーツ(ブラウン・クオーツ)」は地中で天然の放射能を浴びたと考えられています。無色の水晶に照射し色を茶色にする技術もあります。スリランカではスモーキー・クオーツは大きなものが産出されますが、あまり宝石レベルの美しいものは少ないのが残念です。

クオーツの中でも有名なアメジストは赤紫の美しいものから薄い紫のものがスリランカの広範囲な地域で産出されます。中には部分的に紫と黄色のシトリンが同じ石に現れるものもあり、「アメトリン」と呼ばれています。シトリンは黄色がかったクオーツを指しますが、残念ながらスリランカで宝石レベルのシトリンは産出されにくいです。コロンボの店頭に並ぶ多くのシトリンはアメジストを加熱してシトリンにしたものです。これらクオーツのトリートメント(処理)はスリランカでは一般的にされていません。おそらく多くのアメジストやシトリンは海外から輸入されたものでしょう。

ローズクオーツピンクのかわいらしい色あいの「ローズ・クオーツ」は世界的にも美しい結晶で見つかることは大変稀です。少しもやのかかったようなピンクで、これは、内包物の微細なデュモルチエ石結晶によるという説や微細なルチルによるものという説があります。このルチルが、正しく方向を持って並ぶと、石の上に3本の光の帯が現れます。このスター・ローズクオーツは、スターサファイアと違い、ライトを宝石の真上から当てるのではなく、宝石の後ろ(下)から光を通過させることでスターを見ることができます。また、一条の光の帯が見える「クオーツ・キャッツアイ」があります。この場合は光を上から当てて見ます。

私自身、クオーツを買う時に合成か天然か鑑別に悩む時があります。はっきりと内包物を確認できればいいのですが、クリアーなものの場合その判断は大変に難しいです。アメジストの特徴的な内包物として、虎縞模様のものや色むらがあります。ただ、天然ものも値段が安いので、かなり大きめのサイズを購入することができます。その大きさから大変インパクトのあるジュエリーとなるでしょう。

片山新子(かたやま しんこ) FGA
スリランカ産非加熱サファイアの記事も掲載しています↓
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