ジャパン・プレミアム・プロジェクト、京都法然院にてジュエリー展開催
小売業と作り手をコラボレートさせるジャパン・プレミアム・プロジェクトは、京都法然院にて7人の作り手によるジュエリー展を開催する。
日時:4月12日 - 14日 13:00〜16:00
場所:京都 法然院 大書院
小売業と作り手をコラボレートさせるジャパン・プレミアム・プロジェクトは、京都法然院にて7人の作り手によるジュエリー展を開催する。
日時:4月12日 - 14日 13:00〜16:00
場所:京都 法然院 大書院
卓越したデザイン力と技術を持って活躍しているジュエリー・デザイナー6人による展示会が東京・自由が丘の宝飾店「プレシャスクローマ」にて開催される。
出品デザイナー:河野裕治、種澤和彦、中島 凪、永坂景子、彦根美代、松田充弘
日時:3月19日(金)〜3月25日(木)11:00am〜7:00pm(水曜定休)
場所:プレシャスクローマ
敬称を略しました。
昨年9月にカリナン鉱山※で採れた507キャラットのダイアモンド原石“カリナン・ヘリテージ”(Cullinan Heritage)が約32億円で販売された。
発表をしたペトラ ダイヤモンズ社によると、ダイアモンド原石の販売価格としては市場最高値。
購入したのは香港のChow Tai Fook Company Limited。原石の加工方法などの方針はまだ示されていないという。
※カリナン鉱山
南アフリカ。宝石品質のダイアモンド原石としては史上最大で、他の追随を許さない3,106ctsの重量であったカリナン・ダイヤモンド(現在はカットされており、原石状態では存在しない。この原石からカットされたダイアモンドの中で最も大きい研磨石カリナンIと呼ばれ、イギリスのクラウン・ジュエルとしてロンドン塔にある)をはじめ、幾多の著名ダイアモンドが産出されている。
・マスクの大きさは?
・マスクの重さは?
・マスクの金の純度は?
・マスクの製法技法は?
・黒目の正体は?
・メネス(頭巾)の青い縞模様の成分は?
・頭のコブラの下の空色はトルコ石?
・胸飾りの青緑色の石は?
1922年、イギリスのハワード・カーターによって発見されたツタンカーメンの墓から発掘された黄金のマスクは、全世界の古美術品の中でも、超逸品と言われる。
その見事な工芸品は、写真だけでも金細工をしている我々にも想像を絶する作品であることがわかる。
早稲田大学の宇田応之教授、吉村作治教授、桜庭祐介教授、理研計器蠅寮从蟆校忙瓠∋害実臺綮瓩蕕蓮2006年6月にこのマスクを調査する機会を得た。
調査は宇田教授らが開発したX線回折と蛍光X線分析を同一場所で行えるXRDF(X-Ray Diffractometer equipped with X-Ray Fluorescence spectrometer)を用いて行われた。
その調査報告書からデータの一部を紹介し、私のコメントを加えた。
■黄金のマスクの金細工
大きさ
高さ54cm
幅39.3cm
重さ11kg
製法
金板からの鍛金技法
表層に、微細な金粉にニカワを加えて薄く塗っている
品位
内部平均 Au+Ag 95%以上 Cu 5% 以下
表層平均 Au+Ag 88% Cu12%
唇部分 内部 Au96.6% Ag1.0% Cu2.4%
表層 Au76.8% Ag11.2% Cu12.0% 厚さ28nm
頭巾部 内部 Au97.8% Ag1.4% Cu0.8%
表層 Au93.8% Ag3.2% Cu2.9% 厚さ30nm
材料
Au金 ナイル川上流ヌビア(現スーダン)産と推定
Ag銀 輸入(エジプトでは産出されていなかった)
金の板をロールかハンマーで延ばし、部分ごとに鍛金で成型したものをろう付で継ぎ足して一体にしたと思われる。マスク板の表層に、微細(ナノメートル単位)な金粉にニカワを混ぜ、薄い膜として覆っている。この膜は薄いため光を透過し、また反対色の作用でマスク本体の色調を純金色に補正している。
顔面の成型、ろう付、粉末の製法、ニカワの膜の薄い塗装法や、透過性の膜で色調を補正するなど、現在でも及ばない技巧着想が凝らされている。
■宝石鉱物類
眼(黒目 オブシディアン(黒曜石) 研磨
眼(白目) マグネサイトの粉砕を固形して接着
アイライン ラピスラズリを粉砕してニカワで成型、接着
頭のコブラの赤色 カーネリアン(発色は、Mn,As) 研磨物を接着
胸飾りの赤色 カーネリアン(発色は、Fe,As) 研磨物を接着
胸飾りの青緑 マイクロクリン(微斜長石:アマゾナイト) 研磨物を接着
色部分はガラスとの説もあったが、これらの部分は天然の鉱物、宝石であることが判明した。材料の入手にも世界中から集めたことなど、当時のエジプトの交易が偲ばれる。
(Mnマンガン Asヒ素 Fe鉄)
■人工の色
頭巾(ネメス)の縞の青
90%以上の非晶質相で、エジプシアンブルー(エジプト古代の顔料:CaO・CuO・4SiO2)と、正長石(オーソクレース)、石英(クォーツ)、透輝石(ダイオプサイド)、塩(ナトロン)のほか、アマナルブルー(多元素系コバルト・スピネル:Co(M)Al2O4, M=Mn,Fe,Ni,Zn)が含まれる可能性がある材料を焼き、粉砕してニカワで成型した。
宇田教授らは、ツタンカーメン・ブルーと命名し、発表した。
(Caカルシウム Cu銅 Si珪素 Coコバルト Niニッケル Zn亜鉛)
■髭の灰緑色
人工ガラス(析出は長石(マイクロクリン、インターメディエイト、ネフェリン)、珪酸ナトリウム)
■コブラの空色
銅を発色剤とするガラス。
古代から特有の青い顔料(エジプシアンブルー)を用いてきたエジプトで、ツタンカーメンの時代、さらにラピスラズリの色に近い、紺青色の顔料が開発された。
従来ではない元素を含み、黄金のマスクのメネス(頭巾)の特有の青色を際立たせている。
この色の再現は、現代の課題であろう。
出典資料
「金属」Vol.77 癸后11別冊 ツタンカーメン黄金のマスク
(1) 金細工の巧み (2) きれいな天然鉱物 (3) 人工の色
宇田応之 吉村作治 桜庭祐介 石崎温史 山下大輔 共著
文 川崎 猛
Understanding Jewellery
ジュエリーの歴史6000年 [第2回]
メソポタミア文明
現在古代文明と呼ばれるものにはメソポタミア文明、エジプト文明、黄河文明、インダス文明の4大文明が一般的ですが、エーゲ文明、ケルト文明、長江文明、四川文明、メソアメリカ文明、古代アンデス文明などを加える学者もいます。私は素人ですが人類の進化をみていると、地球上のあちこちで4大文明以外にも文明が発生したとみる方が妥当のような気がします。
クロマニヨン人を祖先に持つ新人は、5万年前頃にアフリカを起点として世界各地に散らばり、紀元前4000〜3000年頃に複数の地域で高度な文明を築きます。今後科学の発達と遺跡の発掘が進むと、私たちの祖先についてはもっといろいろなことが解ってくるかも知れませんが、どの文明も共通して云える事は、兎も角肥沃な土地と豊富な水を源泉として文明が生まれているということです。
またメソポタミア、エジプト、小アジア(現在のトルコ)を包括する地域をオリエントと云いますが、メソポタミア文明は現在のイラクを流れるチグリス、ユーフラテス川に挟まれた肥沃な土地に発生した世界最古の文明です。メソポタミアという名前は二つの大河にはさまれた土地を意味する古代ギリシア語からきています。この二つの河の河口付近ウルやウルクなどの都市にシュメール文明が生まれました。今から1万年前になると、この地に住む先住民たちによって、羊や山羊などの飼育が始められたようです。文明が起きるには、この農耕牧畜生活と村から都市が生まれることがとても重要です。
その後この地にシュメール人がやってきます。シュメール人は紀元前2700年頃までに、麦からパンやビールを作りまた冶金青銅器を使い金、銀の細工モノなどを作っています。もともとメソポタミアでは鉱物、木材、宝石、金などは取れませんでしたから、農耕牧畜による余剰品と交換にこれらの天然資源を輸入する交易が盛んになってきます。
メソポタミは河口付近から奥に広がり、小アジアからシリア辺までの広大な地域をカバーしています。川を奥に遡るとアッカド王国、古代バビロニア王国、ミタンニ王国、ヒッタイト王国、アッシリア王国などが時代と共に乱立し、アッシリアのサルゴン2世がエジプトを含む全オリエントを統一する前8世紀まで、様々な民族国家が興亡を繰り返していきました。
古代文明の発生には、農耕牧畜と定住生活(都市化)の他に、大きな川とそれに挟まれた肥沃な三角州が必要です。インダス文明、黄河文明、エジプト文明、メソポタミア文明、みな豊かな川と肥沃な大地があったればこそです。そしてもう一つの要因は私たち人間がどんな時代でも富と権力の象徴として憧れる「金」があります。川があればそこに流れてくる砂金が目に留まらない訳がありません。人々は川の底にキラキラと輝く金に目をつけ、さまざまな加工を施し権力の象徴として、或は身を飾るものとして活用することを覚えました。
ジュエリーの歴史を紐解けば、そして古代に遡れば上るほど、眩いばかりの金の装身具や工芸品が登場してきます。しかし金は古代文明の時代から私たち人類と密接な関係にあったにも関わらず、歴史学の上ではそれほど重要視されていないのはどうした訳でしょう。青銅器時代とか鉄器時代とともに、金についても歴史学上でもっと扱い方はあるのではないでしょうか。
人類がいままでに手にした金の量は一体どのくらいあったでしょう。専門家によってまちまちですが大体13〜15万トン、オリンピックプール3杯分強といったところでしょうか。今後現在の技術や採算を考えた時に、地球でとれる埋蔵量はわずかに6、7万トンといわれています。それほど貴重な金は、何千年という悠久の時を経て私たちを魅了し続けてきたのです。
メソポタミアにおける金細工の特徴はレポゼ技法(金属の板を裏から打出す)やチェイシング技法(金属の板を鏨やポンチなどで表から線刻模様などを打ち込む)です。写真はウルから出土された金の兜です。現在イラク博物館に収蔵されているこの兜はメス・カラム・ドゥグ王の黄金の兜といわれ、1920年代から30年代にかけてイギリスの考古学者であるサー・チャールズ・レナード・ウーリー卿が発掘しました。この冠は最近になって祭礼や儀式の際に用いる金製の鬘であるらしい事が判った)、1枚の金の板を裏と表から打出して作られています。接合部分が全くなく作られており、今から2600年前後の頃に作られたことを考えれば見事の一言です。ウーリーの『カルデアのウル』には、発掘のときの感動が以下のように記されています・・・骨は朽ち果てていたので、骸骨の薄気味悪さはまったくなく、ただ砕けた褐色の細片が数条筋を引くように残り、死者の姿勢を伺わせていたが、何よりも目を惹くのは黄金であり、まるで墓に入れられた時のように美しかった。朽ちた頭骸骨の断片をまだ覆っているその兜に視線はほとんど釘付けになった。兜は金の打出し細工で、頭から深く被るように作られ、頬当てがついていた。この兜はカツラのような形をしており、髪の巻き毛は打ち出しで浮き彫りにされ、髪の毛1本1本が繊細に毛彫りされている。中央で分けられた髪は、平たくうねった巻き毛をなして頭部をぴったりと覆い、捩った1本の髪紐でぐるりと縛ってある。髪の後方は束ねて小さな髷に結ってあり、髪紐の下ではきちんとした巻き毛が列をなして耳の周りに垂れ下がり、耳は高浮き彫りで表わされ、音を聞く妨げにならぬよう穴が開いている。頬当ての部の同じような巻き毛は頬髯を表わしている。兜の縁に沿って紐を通す小さな穴があるが、この紐は内側で詰め物を入れたキャップを固定させていたもので、キャップの痕跡もまだいくらか残っていた。金細工の作品の実例として、この兜は我々が墓地で発見したもののうち最も美しく、金の短剣や牡牛の頭部よりも見事なものである。もし古代シュメール人の芸術を判断しうる材料が他に全くないとしても、ただこの兜だけをもってしても、我々はやはりシュメール人が古代文明民族の中でも高度な文明を誇っていたと考えるべきだろう・・・と。
この発掘を通して見えてきた事は、メソポタミアの王たちは金細工師たちを雇い、レポゼやチェイシングなどの技術を使って、メス・カラム・ドゥグ王の黄金の兜の他にシェプ・アド女王の冠やロンドンの大英博物館に収蔵されている工芸品「木をかじる山羊(これは頭部と胸部には琥珀金[エレクトラム]、腹部には銀箔が施されている、何とも奇妙な像で、一説には楽器と云われている)」など高度なレベルのものが造られたという事です。
この時代から金細工師たちは王の近くにいて、王の気に入るように、様々な金の加工をしていたようで、かなりの地位があったと思われます。
またシュメールから出土されるシェプ・アドのヘッド飾りやネックレスなどにはカーネリアンやサードオニックス、ラピスラズリ、トルコ石などの色石が使われていますが、これらの石はイラクでは産出しません。お隣のイランやアフガニスタンなどから運ばれてきました。これはエジプト文明においても同じで、古代から現代に至るまで、交易を上手にやる国が栄えました。自国だけでやろうとすれば限界があり、発展はありません。それよりも他国から侵略を受ける可能性も大きいのです。スケールは違いすぎますが、なにやら現在の日本の宝飾品市場にも同じ事が云えるようです。
増渕邦治(ますぶち くにはる)
デビアス、BHPビリトン、リオティント。これらダイアモンド生産者三巨頭の業績で明暗が分かれている。
デビアスは2008年の決算で約80億円の純利益を計上したが、2009年は一転して約670億円の純損失を出した。この理由としてはカナダでデビアスが所有するスナップ・レイク・ダイアモンド鉱山及びヴィクター・ダイアモンド鉱山の赤字補填に約630億円を繰入れた事が響いたが、様々な事業部門の成績も軒並み良くない。モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)と合弁で展開する小売り部門、デビアス・ダイヤモンド・ジュエラーズ(De Beers Diamond Jewellers:DBDJ)の売上は前年対比30%減、工業用ダイアモンドを扱うエレメント・シックス(Element Six)は同34%減、原石販売のダイアモンド・トレーディング・カンパニー(Diamond Trading Company:DTC)の売上は同45%減の約2,900億円だった。
オーストラリアのアーガイル鉱山やカナダのダイヴィック・ダイヤモンド鉱山、ジンバブエのムロワ(Murowa)鉱山を所有するリオティントのダイアモンド事業の売上は前年対比46%減の約400億円で、約61億円の純損失。昨年は120億円の黒字だった。需要低迷によりアーガイルとダイアビックの操業を停止した期間もあり、生産量は前年対比33%減の1400万キャラットだった。
一方、カナダ最初のダイアモンド鉱山エカティを所有するBHPビリトンの中間決算は好調だった。ダイアモンド部門の半年間の売上は76%増加して約340億円、税引前利益は前年の中間決算時の約13億円から大幅に増え約160億円だった。半年間の生産量は13%増の154万キャラット。好決算の理由は探鉱への投資の抑制、より効率的な採掘作業などと発表されている。
テハラ・ダイヤモンド社(TAHERA DIAMOND CORP.本社オンタリオ州トロント)は、ジェリコ・ダイアモンド鉱山(Jericho Diamond Mine)を売却する方針を明らかにした。
同鉱山はカナダ、ヌナブト準州で最初のダイアモンド鉱山として2006年に操業を開始し、78万6千キャラットのダイアモンド原石を産出している。この内1,100石は10ctsを越え、58キャラットを越える原石も1石発見されたが2008年以来施設の保守を理由にしているが、事実上資金難から操業を停止している。
テハラ・ダイヤモンド社はジェリコ・ダイアモンド鉱山を保有する他、金鉱山や卑金属鉱山の他、フィンランドのダイアモンド探鉱事業に権益を持つ。
Understanding Jewellery
ジュエリーの歴史6000年 [第1回]
ジュエリーの起源
ジュエリーの起源を考える前に、人類の進化についてみてみましょう。ヒトとサルの決定的な違いは「2本の足で歩ける=直立歩行」でしょう。440万年前にアウストラルピテクス(猿人)がサルから枝分かれしてヒトとしての道を歩み始めます。アウストラルピテクスの仲間にアファール猿人がありますが、1974年にエチオピア北部で発見された、アファール猿人のほぼ完全な標本は「ルーシー」という愛称がついています。キャンプ地で研究者が聴いたビートルズの名曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンド」に由来するそうです。
その後50万年前くらいになるとホモ・エレクトゥスという原人が現れます。ピテカントロプスという名で有名なジャワ原人や北京原人などがそうです。彼らの中でも北京原人は火を使う事を覚えます。そして20万年前くらいになると、旧人のネアンデルタール人、ザンビアのローデシア人、ジャワのソロ人が出現します。彼らは死者の埋葬を始めたり、呪術を行うようになります。ネアンデルタール人と次の世代の新人であるクロマニヨン人は、同じ時代に生きていたようですが、やがてネアンデルタール人は何らかの理由で滅びてしまいます。
どうも私たちの祖先はクロマニヨン人であるらしいのですが、人類の起源については他地域連続進化説とアフリカ単一起源説があります。どちらも起源はアフリカなのですが、前者はアフリカで誕生しユーラシア大陸に分散して原人に進化、さらに同時発生的に新人になったというもの。後者はアフリカで旧人に進化してユーラシア大陸に分散していった。これは今から20年前に遺伝子のルーツを母系で遡る研究で明らかになったのです。二人の人間のミトコンドリアDNAの差を調べると、いま生きている人類はすべて15-20万年前にアフリカにいた一人の女性、ミトコンドリア・イブの子孫になるというのです。
2003年にエチオピアのヘルト村近くで発見された化石から16万年前のものと確認され、オモ・キビシュから出土したホモ・サピエンスの化石の年代測定で解剖学的に見た現世人類の起源は19万5000年前まで遡れる事が解ってきました。そして現世人が理解、認識、意思伝達の能力を持つようになったかについては、「創造の爆発」といわれる4、5万年前とされています。フランスのショベ洞窟の絵画は炭素14法という年代測定法で3万2000年前のものと確認されており、ラスコーの南西約30kmにあるキュサック洞窟の線刻絵画は3万5000年前まで遡れると云います。
ところが2005年に、南アフリカのケープタウンから約240kmのところにあるブロンボス洞窟で7万5000年前の地層から発見された複数の巻貝は、貝の口とは反対側に小さな孔が開けられており、ビーズ飾りのネックレスではないかと云われています(写真右。人類最古のアクセサリーと云われる貝製のビーズ。装身行為の起源を3万年もさかのぼらせた重要な発見)。また同じ洞窟で、骨器で模様が掘られたオーカー(ベンガラとも呼ばれ、酸化鉄が主成分の赤鉄鉱)が発見されています(写真左。“人類最古の模様”が刻まれたオーカー。シンボルを使った創造的活動がはじまった最古の証拠。)。これは肌を赤く化粧する時などに使ったと考えられ、いわゆるお洒落をする装身行為とみる事ができるのです。このような行為は偶然にできたのではなく、精神的な意志が伴うもので、やがてメソポタミアやエジプトなどの高度な文明の発達に繋がってくるのです。
この装身行為をジュエリーの起源といってよいかも知れません。そして6、7千年前頃からメソポタミアやエジプトをはじめとする古代文明が生まれますが、この時代になるとジュエリーはかなりはっきりした形となってくるのです。
ジュエリーの起源については護符説や、ホモルーデンス説、自己異化説、自己同化説などいくつかありますが、護符説というのはお守り、外敵から自分を守ってくれるモノといえます。人間とは元来弱いものです。人間よりも強いモノを身につける事によってパワーが体の中に蓄積されエネルギーとして発揮されるといわれています。ホモルーデンス説は、人間は本来遊んだり楽しんだりする生き物ですが、そのためには鳥の羽など美しいもので飾り立てようとします。あるいはセックスアピールで自分に注意を向けようとします。人間が本来持ち合わせている根源的な行為といったら良いかも知れません。自己異化説は、人間はとかく他人と違っていたいという傾向があります。装身具を身につける或は入れ墨等をして自分との差別化を図るなど、他人と同じになる事を避ける、個性的という事もこの範疇に入るでしょう。自己同化説は、これとは反対に一種の帰属意識といえます。集団で生活する場合、同じものを身につける事により、団結心が強まり大きなパワーが生まれます。
私はこれらが複合的に作用してジュエリーが生まれてきたと考えています。私たちの祖先は精神的な意志を持つ事ができたのです。その意志によって生活や自分自身を飾るものなどの道具や行為が発達してきました。現在も私たちはこのような原始的ともいえる行為を大事にして生活しています。それは古い、稚拙と云うものではなく、人間が本来持っている根源的なものであるはずです。ジュエリーをつける行為は、しごく自然な行為であるといえるでしょう。
増渕邦治(ますぶち くにはる)
一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会は、ジュエリー・リフォームに関わるセミナーを、次の日程で開催する。
新品仕上げ加工セミナーは12月2日、9日の2回に渡って実施したものの、定員オーバーで多くの方が受講できなかった為に今回で第三回目の開催となったもの。
1)「ジュエリー・リフォームはここを押さえろ!」
│
│ ジュエリー・リフォームで豊富な実績を築いている横浜・ワコー宝飾代表の
│ 山岸昇司氏(JC1級取得者、日本リ・ジュエリー協議会理事)を招き、自らの
│ 経験に基づくジュエリー・リフォーム成功のポイント、ノウハウを聞く。
│
├─◆日時:平成22年1月28日(木、IJT二日目)13:30〜15:00(受付は13:00〜)
│
├─◆場所:東京ファッションタウンビル904号室-国際展示場駅を降りて左側のビル
│
├─◆参加費:4,000円
│
├─◆申込み締切:1月20日(水)※定員に達し次第締切。
│
└─◆申込方法:Fax(03-6806-0014)かE-Mail(info@re-jewelry.net)にて。
2)「新品仕上げ加工セミナー」コース
│
│ 汚れ落し、変色直し、小キズ取り=洗浄器、リューター、バフ研磨機を使った
│ 新品仕上げ加工のプロの仕事の過程を研修する。その後、実際に機械の種類
│ と使い方、細かいテクニックの実技を学ぶ。
│
├─◆日時:平成22年2月3日(水)、13:00〜17:00
│
├─◆場所:(社)日本リ・ジュエリー協議会&工房
│
├─◆参加費:5,000円(材料費込み)
│
├─◆募集人員:5名
│
├─◆申込み締切:1月20日(水)※定員に達し次第締め切。
│
└─◆申込方法:Fax(03-6806-0014)かE-Mail(info@re-jewelry.net)にて。
3)「新品仕上げ加工セミナー」コース
│
│ テクスチュア直し=梨地、ヘアラインが施されたジュエリーの表面の復元法を
│ 学ぶ。
│
│ マスキングの技法を含むメッキ直し、完成度の高い総合的な新品仕上げの技法
│ についても学ぶ。
│
├─◆日時:平成22年2月10日(水)、13:00〜16:00
│
├─◆場所:(社)日本リ・ジュエリー協議会&工房
│
├─◆参加費:5,000円(材料費込み)
│
├─◆募集人員:5名
│
├─◆申込み締切:1月20日(水)※定員に達し次第締め切。
│
└─◆申込方法:Fax(03-6806-0014)かE-Mail(info@re-jewelry.net)にて。
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