昨年9月にカリナン鉱山※で採れた507キャラットのダイアモンド原石“カリナン・ヘリテージ”(Cullinan Heritage)が約32億円で販売された。
発表をしたペトラ ダイヤモンズ社によると、ダイアモンド原石の販売価格としては市場最高値。
購入したのは香港のChow Tai Fook Company Limited。原石の加工方法などの方針はまだ示されていないという。
※カリナン鉱山
南アフリカ。宝石品質のダイアモンド原石としては史上最大で、他の追随を許さない3,106ctsの重量であったカリナン・ダイヤモンド(現在はカットされており、原石状態では存在しない。この原石からカットされたダイアモンドの中で最も大きい研磨石カリナンIと呼ばれ、イギリスのクラウン・ジュエルとしてロンドン塔にある)をはじめ、幾多の著名ダイアモンドが産出されている。
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デビアス、BHPビリトン、リオティント。これらダイアモンド生産者三巨頭の業績で明暗が分かれている。
デビアスは2008年の決算で約80億円の純利益を計上したが、2009年は一転して約670億円の純損失を出した。この理由としてはカナダでデビアスが所有するスナップ・レイク・ダイアモンド鉱山及びヴィクター・ダイアモンド鉱山の赤字補填に約630億円を繰入れた事が響いたが、様々な事業部門の成績も軒並み良くない。モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)と合弁で展開する小売り部門、デビアス・ダイヤモンド・ジュエラーズ(De Beers Diamond Jewellers:DBDJ)の売上は前年対比30%減、工業用ダイアモンドを扱うエレメント・シックス(Element Six)は同34%減、原石販売のダイアモンド・トレーディング・カンパニー(Diamond Trading Company:DTC)の売上は同45%減の約2,900億円だった。
オーストラリアのアーガイル鉱山やカナダのダイヴィック・ダイヤモンド鉱山、ジンバブエのムロワ(Murowa)鉱山を所有するリオティントのダイアモンド事業の売上は前年対比46%減の約400億円で、約61億円の純損失。昨年は120億円の黒字だった。需要低迷によりアーガイルとダイアビックの操業を停止した期間もあり、生産量は前年対比33%減の1400万キャラットだった。
一方、カナダ最初のダイアモンド鉱山エカティを所有するBHPビリトンの中間決算は好調だった。ダイアモンド部門の半年間の売上は76%増加して約340億円、税引前利益は前年の中間決算時の約13億円から大幅に増え約160億円だった。半年間の生産量は13%増の154万キャラット。好決算の理由は探鉱への投資の抑制、より効率的な採掘作業などと発表されている。
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2009年12月1日香港で開催されたクリスティーズのジュエリー・オークションに出品されたビビッド・ピンク・ダイアモンド(Vivid pink)が83,540,000香港ドル(約9億6千万円)で落札された。
石目は5.00キャラットで、GIAのレポートによるとタイプIIaでクラリティはVS1、カラーはファンシーヴィヴィッドピンク。リングにはグラフの刻印がある。
1キャラット当たりでは約1億9300万円であり、これはダイアモンドの歴代世界最高記録。
>> 関連:1キャラット当たり1億5500万円のブルー ダイアモンド
>> 関連:ピンク ダイアモンド史上最高値38億円で落札される
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12月10日ニューヨークで開催されたクリスティーズのジュエリーオークションに出品された39キャラットのイブニング・スター ダイアモンドが5,402,500米ドル(約4億8千万円)で落札された。1キャラット当たりでは13万9千米ドル(約1240万円)。アネンバーグ ダイヤモンドには及ばなかったが、高値での落札だった。
イブニング・スターはプラチナ枠に留められ、ペンダントトップに加工されている。
グベリン ジェムラボによれば、イブニング・スターはインドの歴史上名高いダイアモンドを産出しているゴルコンダ鉱山で採れた可能性が極めて高いといい、タイプIIa。
ほとんどのダイアモンドには不純物として窒素が含まれており、ダイヤモンドの地色に黄色味を持たせるが、稀に検出できる不純物が含まれない、非常に純粋なダイアモンドがあり、これをタイプIIaに分類する。
タイプIIaにはザ・ゴールデン・ジュビリーにその座を奪われるまで世界最大の研磨済みダイアモンドとして長く知られたカリナンIやプレミア ローズなど、著名な大型ダイアモンドが多い。
・石目:39.00キャラット
・カラー:Dカラー
・クラリティ:VVS1(ポテンシャリー インターナリーフローレス※)
・カット:ペア シェイプ ブリリアント
※ポテンシャリー インターナリーフローレス
軽度な再研磨でインターナリーフローレスへとクラリティを向上させられることが見込まれるの意。
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カリフォルニア州パサデナにあるカリフォルニア工科大学は、半導体集積回路などに微細な回路を刻むプラズマ エッチングの技術をダイアモンドに利用し、ファイア(石が放つ虹色の光)を強める技術を開発した。
原理は簡単だ。ファセットに微細な溝を刻むことで回折作用によって虹色を作り出すというもの。
溝は通常パビリオン側に付けられ、GIAの検査結果によると10倍で確認できるというから、この処理石の検知は簡単だ。
このカットが施されたダイアモンドの写真は右側。合成ルチルを思わせるほどのファイアを放っている。
“ナノポリッシュ”や“ナノカット”として商標登録された今回の技術だが、ジュエリー・ユーザの心を捉えるかは不明。ダイアモンドが放つファイアは少な過ぎず多過ぎず、ちょうど良いあんばいだと私は感じている。 強すぎるファイアは伝統的なダイアモンドのファイアが馴染んだ目からするとあざとい印象を受けるのだが、さりとて好みは千差万別。魅力を感じる方もおられるだろう。
>> カリフォルニア工科大学の研究者による関連論文(英語)
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デビアスが先頃発表した Everlon Diamond Knot Collection 。この新しいダイヤモンド ジュエリーのデザインはヘラクレス・ノット(ヘラクレスの結び)をモチーフとしており、結び目に象徴された愛の強さを表現したものだという。
デビアスでは“Everlon”の商標とエヴァロン・ダイアモンド・ジュエリーの販売、ならびにエヴァロンを元に各社が独自に開発するデザインのジュエリーの販売をサイトホルダー、またはこのジュエリーの販売の為に協賛金を支払った小売業者に限定すると発表しており、“Everlon”ブランドの保守のためには断固たる法的手段を採る方針のようだ。
ただデザインの知的所有権がもし法廷闘争に持ち込まれることがあれば、司法当局は難しい判断を迫れることになるだろう。発表されたエヴァロン・ダイアモンド・ジュエリーのように、デビアスがヘラクレス・ノットを洗練されたジュエリーデザインとして昇華させている点は立派だが、ヘラクレス・ノット自体は最も基本的な結び方のひとつである「本結び」のこと。古本の束ねるときなど日常的に用いている方も多かろう。
ジュエリーモチーフとしての本結びは紀元前から登場しているし、私自身も2本のワイヤーワックスを使って本結びモチーフの指輪を作ったことがあるほどに一般的なものだ。また花嫁衣装を自分が解くという暗示を込めて本結びが描かれる結婚指輪もある。
ともあれ、この、いわばソフト(デザイン)販売にも力点をおいた方針は、かつては世界の8割(現在は5割弱とされる)に及ぶダイアモンド原石の生産を支配したデビアスの姿勢からはかけ離れている。
ダイアモンドが売れる事がデビアスの利益に直結した時代は既にフォーエバーマークをひっさげて小売りに参入した時に終焉を迎えていたが、それでも従来はスリーストーンがオープンであったように、デビアスがプロモートしたデザインを独占し且つ自社の売上に加えようという姿勢はなかった。
自らの顧客と競合するというデビアスの在り方は、今後も続くだろう。
※写真右上はユーチューブに公開されているゼール(北米最大の宝飾品小売商)のエヴァロン・ダイアモンド・ジュエリーのコマーシャル。クリックで再生。
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アングロアメリカンは、デビアスのダイアモンド原石の第三四半期の生産高は40%減の790万キャラットだったと発表した。
カナダ、ノースウェスト準州にあるダイアモンド鉱山、ダイアヴィックはダイアモンドの需要が伸びないことから、鉱山のメンテナンスに合わせて6週間操業を停止するまた12月にもやはり6週間操業を停止するという。
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デビアスのダイアモンド ブランド戦略、“フォーエバーマーク”。同社は6月4日『フォーエバーマーク ダイヤモンド グレーディング レポート』を発表した。
このレポートにはカット、カラー、クラリティ及びキャラット重量の4Cの他、ダイアモンドに記した識別番号に加えてホログラムを記載して同一性の確認に配慮している。
同社の発表によると、グレーディングはForevermark Diamond Institute(フォーエバーマーク ダイヤモンド インスティチュート)が担う。
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資源大手、BHPビリトンとリオ・ティントがオーストラリア西部での鉄鉱石事業統合で合意した。
2007年以来BHPビリトンはたびたびリオ・ティントの買収を提案しており、鉄鉱石の寡占化を心配する日本の公正取引委員会から買収計画の提出を求める命令書が発令されるなどの経緯があった。リオ・ティントはこの買収提案を拒否し、2009年2月に中国アルミへの鉄鉱石事業権益の一部譲渡や出資比率引き上げで合意したと発表していたが、今回のBHPビリトンとの鉄鉱石事業統合に発表に合わせて中国アルミとの提携を撤回した。
BHPビリトンとリオ・ティントは共に鉄鉱石事業が本業だが、ダイアモンド鉱山を所有しているという点で共通している。BHPビリトンはカナダのエカティ ダイアモンド鉱山を、リオ・ティントはやはりカナダのダイアヴィックの60%(残り40%はハリーウィンストン。旧アバー)ならびにオーストラリアのアーガイル鉱山を所有しているのだ。今回の提携は鉄鉱石事業に限定されるが、将来両社が合併すれば、ダイアモンド原石の寡占化が進む事となるだけに、提携の行方が注目される。
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