ジュエリーブログ,ニュース / ジェムランド

2011/3/30 水曜日

[宝石学の世界]–Vol.408-20110331,初めて100万ドル超えを果たしたダイアモンド - テイラー・バートン

Filed under: ジュエリーニュース, 宝石学の世界バックナンバー — ジェムランドeditor @ 20:19:33

1. 初めて100万ドル超えを果たしたダイアモンド - テイラー・バートン
2. ジェムランド、被災者様向けにレンタルサーバーを3年間無償提供
3. ジェムランド加盟店でも被災者支援広がる

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1. 初めて100万ドル超えを果たしたダイアモンド - テイラー・バートン

23日に亡くなったエリザベス・テーラー。訃報に“最後の大女優”といった表現が散見されるが、所有したダイアモンドが多数の心を惹き、展示すれば6千人以上もの行列まで出来たといった影響力の点でも“最後の大女優”だったのではないか。

このダイアモンドは今日テイラー・バートン(The Taylor-Burton Diamond)と呼ばれるダイアモンド。初めて100万ドルを超える価格で取引されたダイアモンドである。

発見されたのは南アフリカのプレミア鉱山で1966年。240.80キャラットあった原石をハリー ウィンストンが購入し、クリーバー※のポスター コロン ジュニア(Pastor Colon Jr)と共に半年間検討をしてカットを実施し、最大の石は69.42ctsのペア・シェープに研磨された。

ハリー ウィンストンからこのダイアモンドを購入したのはニクソン大統領に駐英大使として任命されていたウォルター・アネンバーグの女兄弟ハリエット・アネンバーグ・エイムズ夫人だったが、2年後、恐らく年間3万ドルにのぼる保険料の支払いを彼女の夫が高すぎると判断したためと推定されているが、競売にかけるべくニューヨークのパーク バーネット ギャラリーに送られた。この際、購入者はダイアモンドに名前を付ける事ができるとされた。

1969年10月23日、20万ドルからはじめられたオークションにはエリザベス・テーラーの当時の夫、リチャード・バートンの代理人であるフランク ポラック社のアル ユグラーも応札していたが途中で脱落、落札したのはカルティエ社のオーナー、ロバート・ケンモアだった。落札価格は105万ドル。100万ドルを超えて取引された最初のダイアモンドとなった(従来の記録はロヴェンスキーの遺産に含まれていたダイアモンド ネックレスで、30万5,000ドル。1957年だった)。

カルティエではダイアモンドを“カルティエ”と命名。

しかし、あきらめきれなかったリチャード・バートンはその後ロバート・ケンモアに接触して買取を交渉、遂に買い取る事に成功し、“テイラー・バートン・ダイアモンド”と改名をした。

売買に際してケンモアは“テイラー・バートン・ダイアモンド”を一定期間ニューヨークとシカゴのカルティエで展示するという条件をつけていたが、ニューヨークでの展示には毎日6千人もの人々が行列を作ってこのダイアモンドを見に来たという。こうなると一種の社会現象である。

1978年、リチャード・バートンと離婚した後テーラーはテイラー・バートンを売却し、その収益の一部でボツワナに病院を建てると発表している。慈善活動家としても知られたエリザベス・テーラーらしい行動といえよう。

1979年6月、ニューヨークのヘンリー・ランバートが約500万ドルで購入し、同年12月までには現在の所有者であるロバート マウワードに売却している。

テイラー・バートン・ダイアモンドはリチャード・バートン購入前に実施されたGIAによるグレーディングでクラリティ グレードはIF(インターナリーフローレス)、カラーグレードはFと判断された。その後エリザベス・テーラーが数年間身につけた後はVVS2にグレードが落ちている。エリザベス・テーラーが売却した後、クラリティ グレードの向上を目的にリカット(再カット)が実施され、石目は68.09ctsとなった。

ロバート マウワードと聞いてピンときた業界関係者もいるかもしれない。彼の名はカリフォルニア州カールスバッドにあるGIA本校の“ロバート マウワード キャンパス”(※3)によっても知られている。

今回の記事を書くのにマウワード社のウェブサイト(※4)を参照したが、同サイト中では69.42ctsとリカット前の重量が、またカラーはD(無色が「D」。以下色目(通常黄色味)を増す毎にE、F、G…となる)と記載されていた。リカット後のグレーディング・レポートは見ていないので不明だが、一般にリカットでカラーが1グレード稀にあがる事はあっても、2グレードあがる事はなかなかに考え難いのだが。

ともあれ、エリザベス・テーラーのような大女優とその身を飾るテイラー・バートンのようなダイアモンドは大いに世間の話題に上り、消費者のダイアモンド・ジュエリーに対する憧れを助長しマーケットの拡大に寄与した事は間違いがない。現在ジュエリー市場の拡大に寄与できるファッション・リーダーはいるだろうか。豪華なジュエリーで話題に上る著名人も若干あるもののエリザベス・テーラーに比べると小粒。多数は奇抜なファッションが話題を提供するという状況であり心許ない。なるほど生肉を身にまとえば話題にはなるが宝石愛好家としてはチト寂しい。

最後の大女優エリザベス・テーラー。ご冥福をお祈りしたい。
※クリーバー:
クリーバーとはダイアモンドのカッティング工程のひとつ、クリービングを実施する職人のこと。ダイアモンドカッターの中でも特に重要な役割を担う。クリービングとは、ダイアモンドの劈開を利用して原石を割る作業を指す。

(※3)ロバート マウワード キャンパスの写真。
上記のGIA JAPANのオンライン資料サイトの冒頭の動画に登場しています。

参照:
GIA Diamond教科書、5課
(※4) http://www.mouawad.com/
Famous Diamonds (Ian Balfour)

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2. ジェムランド、被災者様向けにレンタルサーバーを3年間無償提供

ジェムランド(総務省届出 電気通信事業者(B-21-00379)運営:有限会社フクモト・ロジスティック・システム)では、被災者の皆さま向けの情報発信・コミュニケーションに供する目的で団体や各種法人様が用いる場合、弊社ホスティング・サービスを2014年3月末まで無償で提供致します。

データベースはMySQLを提供可能です。ご希望の場合にはこちらからお問い合せ下さい。

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3. ジェムランド加盟店でも被災者支援広がる

GIA JAPAN、安否確認実施中。被災地地域の受講生への配慮
震災に遭った地域の受講生、卒業生の安否確認を実施中。該当地域の受講生、卒業生にGIA JAPANへの連絡を呼びかけている。
また、こ震災にて教材や修了証などが紛失、破損等の被害に遭った場合新しい教材や修了証等を用意するとのこと。

株式会社アイダ朝香真珠
日本赤十字社に義援金寄附を実行。今後も売上げの一部を寄付。

ベルデライト
東北地方太平洋沖地震への送料募金を年内実施。

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携帯でお読み下さっている方が増えてきましたので、少しレイアウトを変えました。

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※敬称を省略しました。

宝石鉱物小事典は国立国会図書館データベース(Dnavi)に収録されています。

バックナンバー: http://www.gem-land.com/about_mail_magazine.shtml

宝石に関するご質問や弊紙に対するご希望などをお寄せ下さい。
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/otayori.html
※画像をお送り頂いても宝石鑑別はできませんのでご遠慮下さい。
   
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2011/3/8 火曜日

ジュエリーニュース - LVMH、ブルガリを買収で合意と発表

Filed under: ジュエリーニュース — ジェムランドeditor @ 11:02:04

フランスのモエヘネシー・ルイヴィトンLVMH)は、ブルガリを買収することで両社が合意したと発表した。

LVMHの株式と交換でブルガリの経営者一族から同社株の51%を取得し、残りは株式の公開買い付け(TOB)を実施して取得を目指す。これにより、ブルガリの経営者一族はLVMHの2番目の株主となる。

買収金額は日本円で最大4200億円程度に達するとみられる。

LVMHが傘下に持つ時計・宝飾関連ブランドにはタグ・ホイヤーゼニス(ZENITH)、ウブロ(HUBLOT)、ショーメの他、デビアスとの合弁会社、デビアスダイヤモンドジュエラーズがある。日本では2003年9月以降「デビアス」ブランドで展開している小売り事業は、ダイアモンド原石供給会社であるデビアス社の最終顧客への直販として宝飾業界に衝撃を与えた。

2011/2/15 火曜日

グーグル、ウエディング支援サイトを開設

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーとIT — ジェムランドeditor @ 17:42:20

グーグル(Google)はウエディングプランナーの協力を得て、結婚式の準備に役立つ支援サイトの運営を開始した(現在は英語版のみ)。

提供されるサービスは既にウェブアルバム(ピカサ(Picasa))やスケジュール帳などを無料で提供しているグーグルらしく次のようなもの。

・新郎新婦のプロフィール公開
・結婚式の日時、式場付近のホテル情報
・出欠確認リスト
・ゲストリストや座席表
・結婚式の料理メニュー
・予算管理
・写真はウェブアルバムサービス「ピカサ(Picasa)」に保管・共有可能。

今回のサービス、グーグル側のメリットはウェディング関連に最適化できる広告掲載だろうが、ジュエリー業界的にウエディング支援というと婚約指輪や結婚指輪の販売を想像する。このウエディング支援サイトが広く受け入れられるようになれば、発展途上にあるグーグル・ショッピングと組み合わせて、ITリテラシーの高い宝飾事業者にとっては思わぬビジネスチャンスを生み出すかも知れない。

ジュエリー・リモデル、修理に関わるリスクをカバーする保険がスタート

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーリフォーム — ジェムランドeditor @ 16:58:27

一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会は、ジュエリーのリモデルや修理に際して顧客から預かった品物の盗難や火災、また加工中の破損事故をカバーする賠償責任保険をスタートさせると発表した。以下、同協議会のプレスリリースを紹介する。


この保険は、ジュエリー・リモデルや修理業務に携わる関係者の間で長年切望されていたにもかかわらず、実現してこなかった待望の賠償責任保険となります。

近年ジュエリーのリモデルや修理に取り組む企業は増加しておりますが、この受託品にまつわるリスクを放置したままでは、この分野の経営安定化と伸びは期待できません。消費者の信頼という点からも、こうした保険があるかないかは、安心してジュエリー・リモデルや修理を頼む際の重要なポイントとなります。

現状では、滅失や損傷が発生した場合、一般的におこなわれている弁済の方法は「滅失・損傷した品物と同等の品物」を“代替品として提供する”というものです。

この代替品を提供する際の損害金額を実際に負担しているのは、受注当事者である宝飾店や加工会社であり、その分担比率は、各々の話し合いと力関係のなかで決定されています。

今回の保険の対象となるのは、ジュエリーのリモデル(リフォーム)や修理(リペア)にともなう受託品について、

特定の保管施設内に保管している間、および加工過程において、
滅失・損傷・汚損したり盗取された場合、

保険金支払いの対象とする、というものです。

具体的には、預かり時点のチェック作業がルールに基づいて厳正に遂行され、顧客との間で相互確認されたあと、顧客から了解された受託品について、

盗まれた場合
(火事等によって)滅失した場合
加工中にキズがついたり、割れ、変質が生じた場合

お預りした品物と同等の品物で弁済するにあたって、その品物を手当てするに要した金額を、受託賠償責任保険の対象として認定し、支払うというものです(加工中の危険担保については資格取得者等の条件を満たす事が必要となります)。
本来、損害保険の支払いは、預けた人(顧客)と預けられた会社との間で損害金額が特定され、それに基づいて金額が支払われるというものです。しかしジュエリーのリモデル(リフォーム)や修理(リペア)では、顧客の自己申告額はほとんどが不正確であることが多く、ジュエリーという品物の性格上からも金額を特定するのが困難となります。
したがって今回は、宝石種別毎の業界における業者間取引価格を基準として金額を算定することで、それを弁済額にあてはめることで、受託賠償責任保険適用の運びとなっています。

一般社団法人 日本リ・ジュエリー協議会は、ジュエリーのリモデルや修理に際して顧客から預かった品物の盗難や火災、また加工中の破損事故をカバーする賠償責任保険をスタートさせると発表前提として、保険が適用される資格、条件、並びに対象となる保険は先とおりとなっています。

なお、この保険が適用されるためには、(社)日本リ・ジュエリー協議会指定の「品物お預り書」に洩れなく記載され、事故発生時対応等の要点がお客に伝えられ、お客様の了解を得ていることが前提となります。

今回の受託賠償責任保険は、取扱代理店:ヒューリック株式会社、引受保険会社セコム損害保険株式会社によって成立しています。

保険金と支払い保険料は地域、保管状況によって若干異なりますが、加工中の損傷までをカバーした場合の保険料は、東京地区で、支払い限度額100万円のとき、約33,000円(年額)となっています。

詳細については(社)日本リ・ジュエリー協議会、保険担当者までお問い合わせください(Tel.03-6806-0013)。

2010/11/25 木曜日

ピンク ダイアモンド史上最高値で落札される

ザ・グラフ・ピンク11月16日ジュネーブで開催されたサザビーズのジュエリーオークションMAGNIFICENT JEWELSで、およそ25キャラットのピンク ダイアモンドが約38億円(45,442,500スイス・フラン)で落札された。

この落札価格はガイ(1キャラット当たり)でおよそ1億5300万円。昨年12月にガイで約1億9300万円で落札されたビビッド・ピンク・ダイアモンドには及ばなかったものの、38億円という落札価格は、1石の宝石の落札価格としては史上最高値となった。

落札したのはローレンス グラフ氏。石はThe Graff Pink(ザ・グラフ・ピンク)と通称されるようになったが、この石は前回ハリーウィンストンによって1950年代に販売されている。

1石の宝石の落札価格として従来の最高記録であったのは、やはりグラフ氏が2008年にクリスティーズのオークションで落札した35.56キャラットのブルーダイヤモンド、The Wittelsbach-Graff Diamond(ザ ウィッテルスバッハ グラフ ダイアモンド)で落札価格は約2430万米ドル(当時の為替レートで約22億7000
万円)だった。このダイアモンドはその後リカットされ現在は31.06キャラット。

ザ・グラフ・ピンクのスペックは次の通り。

・石目: 24.78 キャラット
・カット:レクタンギュラー ステップ カット
・カラー:ファンシー インテンス ピンク(GIA)
・クラリティ:VVS2(ポテンシャリー プローレス※)
・タイプ:IIa

・落札予想価格:22億6000万円-32億円

※:ポテンシャリー フローレス
軽度な再研磨でフローレス・グレードに成り得るの意。

2010/11/8 月曜日

GIA取扱史上最大の合成ダイアモンド持ち込まれる

Filed under: 宝石への処理, ジュエリーニュース, ダイヤモンド, 海外ジュエリー事情 — ジェムランドeditor @ 16:48:29

GIA(ジーアイエー)のGems & Gemology e-Briefによると、GIAのニューヨークラボラトリーに4.09ctsある合成ダイアモンドが持ち込まれた。GIAに持ち込まれた合成ダイアモンドとしては最大サイズであるという。

この合成ダイアモンド、天然ならばファンシー ビビッドとグレードされようかというイエロー オレンジ(イエローとオレンジの色相を同じような強さで呈する)カラーだった。

カットはレクタンギュラー。

色の分布はHPHT高温高圧処理)に典型的な不均一なものだった。

合成ダイアモンドにHPHTを施した石であった。

2010/11/1 月曜日

5300万年前の琥珀

Filed under: ジュエリーニュース, カラード ストーン, 宝飾品の歴史・考古学 — ジェムランドeditor @ 14:43:11

琥珀インド北西部、グジャラート州(Gujarat province)で2年前より調査を進めていたドイツのボン大学、インドおよびアメリカの研究チームは、少なくとも55種類におよび700匹以上のアリ、ハチ、ハエ、クモや花や葉、花粉などの生物が閉じこめられた約5300万年前の琥珀アンバー)を発見したと伝えた。

プレートテクトニクスによるとマダガスカルから分離したインド亜大陸は約4000万年前にユーラシア大陸に激突してヒマラヤ山脈を形成した。今回発見された琥珀が形成された5300万年前、現在のインドはマダガスカルから分離し北上を続ける孤立した大陸であったと想定されるが、琥珀から発見された昆虫は、類似したものがヨーロッパや中央アメリカの化石から見つかっているとうから不思議だ。

今回発見された琥珀はフタバガキ科の樹木の樹脂から形成されたもの。この植物、従来の研究で2500年前には広く分布していた事が分かっていたが、琥珀のおかげでそれを大幅に遡る、5000万年前には分布していた事が判明したことになる。

参照:ボン大学プレスリリース(写真も)

2010/10/30 土曜日

全宝協が破産申請を準備

Filed under: ジュエリーニュース, ダイヤモンド, 海外ジュエリー事情 — ジェムランドeditor @ 7:09:14

東京商工リサーチによると、10月29日、(株)全国宝石学協会(全宝協)が事業を停止し破産を申請する準備に入った。

平成22年3月期末時点の負債総額は約4億1800万円。

平成4年3月期の年商は約13億円でこれがピーク。その後は減収傾向に転じ22年3月期の年商は6億6400万円で赤字決算だった。

今年5月に発覚したダイアモンドのカラー グレードのかさ上げ問題の影響があるものと思われる。

全宝協の宝石鑑別技術は国際的に高く評価されており、国内鑑別機関として色石の取扱数は最大であっただろうから、ジュエリー業界への影響は大きい。

またGGとならぶ宝石学専門家としての国際的資格FGAの日本語による教育活動は同社が行っているから、現在受講中の方はどうなるのか気になるところだ。

2010/10/5 火曜日

加州カドミウム含有ジュエリーに規制

Filed under: ジュエリーニュース — ジェムランドeditor @ 14:25:54

アーノルド・シュワルツェネッガー カリフォルニア州知事は、子供用アクセサリーへのカドミウム使用に関する規制法案に署名した。

同法案は2012年1月より施行され、これによりカリフォルニア州で製造や販売される子供用アクセサリーやジュエリーに含まれるカドミウムは重量比で0.03パーセント以下に規制される。

子供用アクセサリーに含まれるカドミウムに関しては、その毒性が問題視されていた。

>> 中国製の安価なジュエリー・アクセサリーからカドミウム検出される

2010/7/13 火曜日

パールハンズ、プラチナの“血統書”にこだわったPT900の地金を開発

Filed under: ジュエリーニュース, 貴金属 / 金・プラチナ等 — ジェムランドeditor @ 14:23:17

ル・グラン・プラチナ株式会社パールハンズ(山梨県中巨摩郡。電話055−228−8036)は割金にイリジウムを10%使用したPT900の地金、ル・グラン・プラチナを新たに開発し、OEM受注を開始した。主として小売店からのブライダル系の受注を見込んでいる。

同社の開発したル・グラン・プラチナはIRIDPLATの刻印が押せる唯一のプラチナ合金であるのみならず、ビッカーズ硬度はHv130と、日本で主流のパラジウムを割金とするPT900の硬度Hv70と比較して圧倒的に高い。この為、従来のPT900ジュエリーを日常的に使用した際に発生しやすい爪の磨耗によるメレーの飛びや、重い荷物を持ち上げただけで腕下が変形するといった消費者にとっての不利益を防ぎやすいという利点がある。

日本のPT900ジュエリーでパラジウム割りが一般的なのは、イリジウム割りと比較して加工が容易なのが理由。パラジウムの融点は1554℃だがイリジウムは2443℃だから500℃の以上高い温度の炉が必要であり、また硬度が高いル・グラン・プラチナの吹き上がりを加工する際には技術と時間が必要となるからだ。同社では高い技術力でこれらの問題を克服し、今回の発表となった。

パールハンズによれば、この合金で宝飾品を作っている会社は国内では同社のみで、取り扱っている地金商もないはずだという。

宝飾品需要が伸び悩む中、メーカーらしく技術力で勝負をする同社のル・グラン・プラチナが小売店の、ひいては消費者の心を捉えることができるか注目される。

>> ル・グラン・プラチナの補完情報や山梨県工業技術センターによる硬度試験の結果(pdf)

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