X字の勾玉が出土-米子市博労町
米子市教育文化事業団は、珍しいX字をした勾玉(まがたま)を米子市博労町(ばくろうまち)遺跡で発掘したと発表した。同時に出土した土器などから、古墳時代前期(四世紀頃)の作と推定した。
大きさは縦21mm、横26mm、厚さ8mmでタルク(滑石)製。
宝石学の世界でタルクはモース硬度1の標準鉱物として知られているが、それ以外では馴染みがないとお考えかも知れない。しかし加工しやすい硬度の低さを利用し、工芸に用いられる例も多い。例えばカナダ先住民はタルクの集合体であるソープストーンを全体に丸みを帯びたデザインで動物などに彫刻しており、カナダの土産物店を訪ねたことのある人ならば、かなり高い確率で眼にしているはずだ。
人が最初に身に着けた装身具のひとつは動物の牙であったとされる。強い動物の牙を身に着けることで動物の力を自らに宿し、魔除けにする意味もあったのではないかと考えられている。勾玉の柔らかな弧を描いた形状は、動物の牙が元になったとうい説がある。あるいは胎内にいる胎児の形を表すともいわれる。
勾玉は、古書に曲玉と記載されている例もある。