スリランカからの宝石便り 〜その7〜 ガーネット
ガーネットと言えば、あの深紅の薔薇のような赤色をイメージする人が多いと思います。
宝石学的にガーネットは6種類に分けられます。
結晶系は同じですが、基本となる珪酸塩に含有する成分(元素)が違います。
- アルマンディン → 鉄とアルミニウム
- パイロープ → マグネシウムとアルミニウム
- スペサルティン → マグネシウムとアルミニウム
- グロシュラー → カルシウムとアルミニウム
- アンドラダイト → カルシウムと鉄
- ウバロバイト → カルシウムとクロム (宝石としてはあまり扱われない)
その為、赤だけに限らず、オレンジやピンクがかった紫、緑色まであり、中でもデマントイド(アンドラダイト)と呼ばれる緑のガーネットはダイアモンドよりも分散が高い為、とても強い輝きがあります。同じ緑でも一般的に「ツァボライト」(グロシュラー)は、デマントイドよりも多く市場に出回っていますが、どちらも赤いガーネットと比べて値段がかなり高いです。スリランカでは残念ながら緑のガーネットは産出されません。しかし、アフリカで産出されたものが輸入されて店頭で売られています。同じグロシュラーで、スリランカで代表的に産出されるものに「ヘソナイト」があります。シナモンストーンとも呼ばれ、褐色のオレンジが暖かみのある色あいを出しています。特徴的な内包物として、スワールと呼ばれる渦のような、糖みつのようなものが見られます。良質なものは赤味と透明度が強く、魅力的でカラット当たりの値段も通常のヘサナイトと比べて高いです。スペサルティンも黄色味が強いオレンジから赤味のあるオレンジまであり、ヘサナイトと様相が似ているものもあります。スリランカの南部、ハンバントタは塩業で有名ですが、その海岸は山間部から流されてきたヘサナイトガーネットの粒(砂のような状態)が多く混じって砂浜が赤っぽく見え、大変おもしろいです(その時のブログ)。
鉱物名ではないのですが、「薔薇の花びら」という意味を持つ、ロードライトガーネット(鉱物的にはアルマンディンとパイロープの中間的なもの)は紫がかったピンク色をしており、中にはピンクサファイアと見間違えてしまうものもあります。簡単な鑑別の方法は、二色鏡でのぞくと、ガーネットは単屈折の為1色しか見えないけれど、サファイアは複屈折で2色に見えます。
さて、緑以外は産出量も多いガーネットですが、珍しいものとしては、カラーチェンジガーネットがあります。これはパイロープとスペサルティンが混ざったもので、自然光の下では緑がかった色、白熱光では紫から赤のような感じになります。高級なアレキサンドライトに比べたら値段は下がりますが、希少性が高いものです。また、同じ種類で、青色に色変わりするものが1996年、スリランカから発見されたそうです。(自然光で暗い青、白熱光では青紫)でも、その後の産出がないので、まさに青いガーネットは「幻のガーネット」ですね。
片山新子、FGA
最近、産地ラトゥナプラに行った経験も書き込んでいます。
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」
個人WEB「Ragems」