スリランカからの宝石便り 〜その3〜 クリソベリル
クリソベリルという名前は聞き慣れないかもしれませんが、これは鉱物名で、その中でも宝石の真ん中に一条の光が現われるものを「キャッツアイ」、色変わりを見せるものを「アレキサンドライト」と呼び、大変に高級な宝石として扱われています。
スリランカではこのどちらの宝石も産出されますが、アレキサンドライトは、産出量も少なく、特有のカラーチェンジも太陽の下では若草色、ライトの下では赤紫かラズベリーの赤といった色変わりを見せます。残念ながら顕著に色が変わるものは少ないです。もしはっきりカラーチェンジするものが店頭で売られていたとしても、
- それは本当にスリランカ産なのか?
- カラーチェンジタイプの合成サファイアではないか?
- カラーチェンジガーネットではないか?(これも希少ではありますが)
といった点を疑ってしまいます。しかし、ブラジル産のような高級アレキサンドライトは大変高価な為、少しでもカラーチェンジのするスリランカ産が予算内で購入できるのであれば手にいれてみるのもいいのではないでしょうか。
スリランカのお店で、日本人観光客が熱心に勧められる宝石のひとつに、キャッツアイがあります。猫目石として有名な宝石です。石の真ん中にひとつの光の帯が現われ、本物の猫の目のようでおもしろいです。クリソベリル・キャッツアイは細長い液体のチューブ状の含有物が同じ方向に並んでおり、それをカボションにカットして上から光をあてると、一条の光となって現われます。このことを「シャトヤンシー効果」と呼びます。この効果はクリソベリルに限らず、クオーツやトルマリンなど、多くの宝石にも見られますが、市場で、キャッツアイと単独で呼ばれる場合はこのクリソベリルのことを指します。最高級品は蜂蜜の色をしており、過去に展示会で見たことがありますが、深みのある茶色の宝石の真ん中にくっきり光が一条現われ、カラットも大きかった為か威厳にみちた宝石でした。また、アップルグリーンと呼ばれる緑色も希少性が高く、高級品として扱われています。もし、本当に良いキャッツアイをお探しであれば、スリランカで見つけることができます。高級品ではないのですが、よく見かける色に、うすい黄色、褐色した茶色のものがあります。1カラット未満の小さいものでも、目がはっきり現われ、値段も手頃ですし、若い人にも似合うジュエリーになるのではないでしょうか。余談ですが、先日クリソベリルに似たキャッツアイを見つけました。10カラットほどあったのですが、値段が安く、一条の光がぼんやりとしています。鑑別をしてみると、ジルコンでした。
アレキサンドライトにシャトヤンシー効果の現われる「アレキサンドライト・キャッツアイ」というものがあります。(残念ながらまだ見たことがありませんが)
さて、高価なふたつの宝石を説明致しましたが、カラーチェンジもしないで、猫のような目もでないものを、そのままの鉱物名「クリソベリル」と呼びます。色は緑、黄色、茶色がかった黄色、黄金のような色があります。クリソベリルは硬度が8.5とコランダム(サファイア・ルビー)に次ぐ硬さがあり、輝きが強く、大変魅力的な宝石です。残念ながらスリランカ産のクリソベリルは鉄分を多く含んでいて、色がやや褐色した感じのものが多いです。しかし中には美しいゴールドのような輝きのものもあります。それぞれの色を比べてみると、微妙に色が違って味わいがあります。自分の好みに合うものを探して、それを指輪にするととても印象の強いものが出来上がると思います。
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スリランカ宝石留学物語
片山 新子、FGA