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2007/12/12 水曜日

宝石便り〜その2〜スリランカのコランダム

チャールズ皇太子が婚約の時にダイアナに贈った指輪はスリランカ産サファイアといわれています。ブルーサファイア(コランダム)はスリランカの代表的な宝石のひとつで、観光客を相手にした宝石店では、目につくところにブルーサファイアのジュエリーやルースが置かれています。しかし、非加熱サファイア(ブルーの色に限らず)の産出量は減っており、ギウダと呼ばれるガソリンのような茶、黄色味かかった白いコランダムを加熱して色を出しているものが大半です。この加熱処理はその宝石に潜在的にあった能力を引き出し、色も安定します。宝石の産地であるラトゥナプラ近郊では、加熱工場が多くあり、家庭内工業といった感じで昔ながらの機械(Toda Furnace, Lukmini Furnace)を使って、1700−1800度の温度で熱処理を行っています。加熱業者の研究と努力で、本来ならば宝石として扱われないギウダが、美しい色に変わっていくのは感慨深いです。

しかし、中には表面を拡散処理されたものやベリリウム処理をしているのではないかと思われるサファイアを見かけることもあります。これらは、海外から持ち込まれるケースもあり注意が必要です。また最近では、マダガスカル産(アフリカ)の非加熱のブルーサファイアや加熱処理されたものも増えており、ベルワラ(宝石のディーラーが多く集まる街)の業者も定期的にマダガスカルまで買付けに行くとのことです。

スリランカのルビーは、ピンクに近いものが多く、ミャンマー産のような赤(ピジョン・ブラッド)を見かけることはありません。この明るくチェリー色がかったルビーは、どの世代の女性にも合いそうな色合いだと思います。また、かなりレベルの低いルビーが海外から入ってきており、中にはガラスや鉛の含浸処理されたものも扱われています。これらは低価格で販売されていますが、そのような処理がされているという説明はまずないでしょう。

「蓮の花」という意味のシンハラ語から由来のある「パパラチア」ですが、コロンボの高級宝石店に行っても「非加熱パパラチア」を見つけるのは難しいです。大体の店では、加熱処理されたものを並べています。色もピンクとオレンジの中間の理想的な色もありますが、茶色がきついもの、ピンクサファイア(もしくはオレンジサファイア)をパパラチアとして表示して販売している店などもあります。パパラチアというだけで高額になる為、かなり無理のある色みのサファイアを並べており、正しく買う為にも買い手の知識が必要でしょう。  

片山 新子 FGA

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