小売店での接客に際しては、一度に一つずつ見せるのが基本
2012年5月13日に松坂屋名古屋店の「デビアス松坂屋名古屋店」で4908万円のダイアモンド・リングが盗まれた事件は全国ネットで流れたので多くの人の耳に届いたことだろう。
要約すると次のような事件だ。
閉店間際の後7時45分頃に「明日買いに来る商品を見に来た」と東南アジア系に見える40歳過ぎの男性二人組が現れ、女性店員一人が接客。午後8時の閉店時間を過ぎて二人が帰った後に同店で最も高額な指輪ひとつがなくなっているのに気が付き、8時25分頃に110番通報した。防犯カメラで確認すると、店員が目を離したすきに男の1人が盗まれた指輪に手を伸ばす場面が映っていた。
驚いたのは盗難事件そのものというよりも、一流とされるショップで働く従業員がセキュリティの基礎知識を有していないことに対してだった。
『接客で宝飾品を見せる際は一度に一つずつにする』、『手を伸ばせば届く場所に複数のジュエリーをおいてはいけない』。これは小さくて高額な商品を扱う販売員が従業員研修で学ぶべき基礎中の基礎といえよう。もしこれが守られなければチームを組んだ泥棒の一人が販売員の目線を受け止めている隙に他の一人が今回のような犯行に及ぶことは難しくない。
さらに今回は“閉店間際”という宝飾店が狙われやすいと統計にある、従って多くのセキュリティ関連の本に記されているキーワードまでが揃っていたにも関わらず起きてしまっている。
相対的に善意の人が多くて安全な日本にいるとセキュリティ意識も薄らぐが、中国人観光客の国内における消費額は今後も増え続けるだろう。多くの中国人が街を闊歩すれば外国人犯罪者の存在は目立たなくなり活動がし易くなることだろう。小さくて高額な宝飾品は運搬に便利なだけに外国人犯罪者に狙われやすい。この手の犯行は続く傾向があるので注意したい。