[宝石学の世界]-高品質メレーは入手困難になる?
[宝石学の世界]–Vol.409-20110412
1. メレバンク・カフェ(19)高品質メレーは入手困難になる?by 佐野 良彦
東北‧関東大震災が発生するや日本国内のインド人は続々と国外に脱出、日本に残り続けたのは1,2割に過ぎませんでした。震災から3週間を過ぎ、地震,津波からの復旧は始まったものの原発の状況は必ずしも好転しているとは言えませんが、かなりのインド人が戻ってきています。しかし、日本でのビジネスは回復の糸口が見えません。
3月のサイトでデビアスはメレーサイズ(研磨後)原石の価格を25%値上げしました。これはその上のサイズ(ポインターから大粒石まで)の7-8%に比べてもかなりの値上げですが、このサイズの原石は実勢30-40%のプレミアで流通していましたから、供給価と実勢価格の差を埋める措置と理解されています。
メレーの中で価格的に最も上昇しているのはマイナス2(1/120ct以下)、続いてマイナス4(1/80,1/100ct)のところです。研磨工不足と工賃の上昇で小さいサイズの研磨量が極端に減少し、需要に供給が追い付かない状態です。特にインド国内の需要はすさまじく、小さいサイズの高品質メレーはインド一国で生産のすべてが消費される勢いのようです。年初に1,000ドル/ctを超えたマイナス2のトップ品質は3カ月で1,200ドル/ctを突破して、まだまだ上がりそうな状況です。1個のダイヤを研磨する手間は1/200ctでも1ctでも極端には違いませんから効率の悪い小さなサイズをインド人が研磨したがらないというのは当然という気もします。ポインターやキャラアップのダイヤもインド国内で飛ぶように売れているのですから。
ビジネスも大きく変わりました。品質やサイズの選択が難しい40数年前の商形態に戻り、完全な売り手市場になっています。サイズや品質に細かく値段も出さない日本人バイヤーは殆ど相手にされなくなりました。東南アジア、中国市場は好調な上に、インド国内の好況のせいでインドから十分なメレーが入ってこず、メレーは不足気味です。その不足を補っているのが日本のリサイクル・メレーです。3月の香港ショーに出品された日本のリサイクル・メレーは殆ど完売だったようです。日本国内の古物市場でのリサイクル・メレーの価格も2-3割上昇しています。いまや、インド人バイヤーが現金を持って日本にメレーを買いに来る時代になっています。日本に居るインド人も手間と経費をかけて展望のない日本でビジネスを続ける意味があるのか、撤退を考え始めるところも出始めました。日本の在庫を香港に送れば数日で日本より高い価格で現金化できる、と豪語するインド人もいます。
国内で必要なメレーのうち中低価格帯の商品はリサイクル・メレーでカバー可能でしょうが、高品質のメレーは小さいサイズを中心に価格が上昇するだけでなく、調達が徐々に困難になってゆくと思われます。
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※敬称を省略しました。
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