ロスチャイルド家のファベルジェのイースターエッグ18億円で落札
11月28日、ロンドンで開催されたクリスティーズのオークション[RUSSIAN WORKS OF ART INCLUDING THE ROTHSCHILD FABERGE EGG]でロスチャイルド家のファベルジェのイースターエッグがおよそ18億円(800万ポンド)で落札された。落札予想価格は14億から21億円だった。
この価格は、2002年のクリスティーズ ニューヨークに出品されたファベルジェのインペリアル ウィンター エッグ(1913年にニコラス二世から皇太后マリア・フョードロヴナに送られたもの)の落札価格12億円(960万ドル)を抜き、絵画を含めたロシアの芸術作品につけられた史上最高価格。クリスティーズへの手数料を含めた落札者の支払総額は20億円を超える金額となる。
入札者は二人だけで、入札開始からおよそ10分での落札となった模様。落札したのはロシアのアレキサンダー イワノフ氏で、モスクワに建設するプライベート美術館のコレクションに加えるという。
このイースターエッグは1902年の制作で、カール ファベルジェ56歳の時の作品。銀の本体に波状の細く間隔の詰まった平行線を刻み、半透明のピンク色の釉薬を施している。これによって半透明の釉薬を通して平行線が独特の柔らかな光沢を放つようになる。これはギヨッシュ(英語読みはギローシュ)と呼ばれるエナメル(七宝)技法で、ファベルジェの作品に多く用いられている。
依頼者はロスチャイルド家のアゼルバイジャンにおける石油権益の代理人であったエドゥアルド エフリュッシ(Edouard Ephrussi)だが、彼の妹のベアトリスが1905年に結婚をしたエドゥアルド ロスチャイルド(Edouard de Rothschild)とジュルメーヌ アルファン(Germaine Halphen)の婚約祝いに贈り、ロスチャイルド家の所有となっていた。
長く個人所有であり、公開されることもなかったため、このロスチャイルド ファベルジェ エッグ(THE ROTHSCHILD FABERGE EGG)の存在は研究者にも知られていなかった。