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2009/11/5 木曜日

宝飾業界に於けるITの活用について25-インターネット利用状況2009

Filed under: ジュエリーコラム — ジェムランドeditor @ 10:05:57

先頃発表された平成21年版情報通信白書(総務省による)から、宝飾業界に関連する最新のIT統計などを紹介したい。御社業務に役立つIT事情を俯瞰する一助となれば幸いである。

br_point.gif ITの活用で成長する潜在性あり

今回の白書で力説されているのは、経済再生における情報通信の重要性だ。「情報通信と経済性成長は統計的に相関が高い」とし、「日本復活になぜ情報通信が必要なのか」を検証している。この中では情報化投資を飛躍的に高める事で事業者間や消費者の「協働」を促し、信頼できる「電縁」社会を構築することが日本復活に必要であるとしている。

「電縁」という耳慣れない言葉は地縁・血縁という人間関係にネットを通じた“縁”を加えた、ネットと現実(対面)がバランス良く重なる社会を示している。確固とした電縁社会はネットが社会に溶け込む安心な社会を作るとしている。

「ネットが社会に溶け込む安心な社会」という概念が重要視されているのは、社会に於けるネットのあり方が、今後一層密接になることが想定されている事を意味する。事業者は将来の社会像を想定し、それに事業を適合させなければ存続が危ぶまれる事例が数多いことは、多くの名門企業が時代の流れに取り残されて姿を消した歴史が実証している。ネットと密接につながった社会における自社ビジネスの在りようを考察し、対策を講じることは経営者の責務だろう。あらゆるビジネスとは社会と共にある。社会が変わる以上、対応を必要としないビジネスなどありはしない。

br_point.gif 不況下に育つイエナカ需要

不況による売上減少や給与抑制を受けた消費者は、消費の抑制に走る。すなわち国内外への遠出を控え、通信販売といった自宅にいながらにして利用できるサービスに対する消費(いわゆる“イエナカ”消費)の増大が見込まれる。

ジュエリー産業に於けるイエナカ需要の増大の意味は、ネットを介した製品小売りの重要性増大を意味しているといえよう。

「ネットでジュエリーを売ってみたが、ほとんど売れない」という声は良く耳にする。しかしながら一方では、卸売りからネットを利用した小売りへと軸足を移して成功した裸石輸入会社をはじめ、ネット販売の売上が売上構成上年々増し、売上の重要な柱として成長させている企業、またネットを通じて起業をして成功を収めているジュエリーデザイナーが数多くいることも事実だ。

ネットで売れない会社と売れる会社。成功の秘訣を考えるには、消費者がネットで商品を購入する理由に着目しなくてはならない。

br_point.gif 消費者がネットで商品を購入する理由

 インターネット上での商品購入経験

図1はインターネット利用者を対象としたネット上での商品購入経験。インターネット利用者のおよそ半分が経験をもち、平成20年末で前年対比で微増している。

インターネットで商品を購入する理由

図2はネットで商品を購入する理由を示している。購入理由として多いのは「店舗の営業時間を気にせず買い物できるから」(55.9%)、「店舗までの移動時間・交通費がかからないから」(50.1%)、「様々な商品を比較しやすいから」(49.3%)、「一般の商店ではあまり扱われない商品でも購入できるから」(47.0%)、「価格を比較できるから」(45.0%)。

「価格を比較できるから」、つまり安く買いたいというニーズを持つ顧客層にターゲットを合わせることは薄利を意味し、読者諸氏の求めるところではないだろう。ただし、無在庫での販売が可能な場合は低価格追求戦略も意味を持つ。

注目したいのは「一般の商店ではあまり扱われない商品でも購入できるから」をネットでの購入理由にしている利用者が半数近くを占める点だ。個性的な製品を求める消費者ニーズが浮かび上がる。商品開発力のあるジュエラーや職人、デザイナーは、ユニークなジュエリーを提供することでインターネット利用者の半数近くに興味をもってもらい得るのである。もちろん個性的で魅力的な製品開発の重要性はネット上に限ったことではなく実店舗でのリアル・ビジネスにおいても同様であるが、ネット上ではCGM(Consumer Generated Media)とも呼ぶ口コミ(ブログ、掲示板、ソーシャルネットワーキングシステムなど)を製品プロモーションに組み込むことで、店頭に並べることと比較して遙かに多くの見込み客に訴求することができるという特徴がある。

br_point.gif 日本人は「安全」が「安心」につながらない

「電縁」社会を浸透させるパソコンを使用している際の安心感が伴わなければならない。不安が有れば個人情報をネット経由で伝達することができず、電子商取引が成り立たなくなる。

パソコンに侵入された経験率

図3を見ると、日本人はパソコンに侵入された経験率が最も低いにも関わらず、個人情報の安全性には最も不安を感じていることが分かる。情報通信分野に於いて、日本人は「安全」が「安心」につながっていないのである。電子商取引をはじめとするウェブサイトの運営に際してはこの点を考慮し、クレジットカード情報といった安全性への配慮がクリティカルに重要な情報以外でもSSL(暗号化通信)を介するなどの工夫が求められていると読むことができる。

個人のインターネット利用端末の種類

利用端末別のインターネット利用目的

出典
平成21年版情報通信白書(総務省)
平成20年通信利用動向調査(総務省)
Norton Online Living Report 2009(Symantec)

本稿はジェモロジスト ニュース(発行GIA JAPAN)66号に出稿した弊社原稿を同校了解の元転載した。

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