ジュエリー・ビジネス・トレーニング[初級講座]第3回:マーケティング概論(3)
これからジュエリービジネスをとお考えの方
本格参入したけれど、どうも上手くいかない
ビジネスの壁に突き当たっている方のための
ジュエリー・ビジネス・トレーニング
[初級講座]第3回: マーケティング概論(3)
マーケティングのトライアングル(3P)の戦略とは何か
前回、マーケティングのトライアングルのお話をしましたが、今回はその続きです。私が推奨するマーケティング理論はCRMマーケティングといって、マスマーケティングとは明らかに違います。何処が違うかを簡単にいいますと、マスマーケティングは大勢の人に対して的確にメッセージを伝達するのに適しているのに対して、CRMマーケティングは1人の個客とのインタラクティブ(相互に作用する)な関係を築き、販売に繋げるということです。そしてそのために商品(product)と販売(place)、宣伝広告(promotion)の3つの戦略を円滑につないで効果的な運用を計ることです。
それでは
商品[product]戦略からはじめましょう
(1)ジュエリーの起源 今更ながらと思われるかも知れませんが、改めて一番基本的なことから考えてみたいと思います。宇宙に地球が誕生したのが45億年前ですが、現代人の祖先をミトコンドリアDNAを抽出し分析していくと約20万年前に中アフリカにいた一人の女性(イヴ)にたどり着くという説があります。また、新人(現世人類:ホモ=サピエンス=サピエンス)が地球上に登場してくるのは約5、6万年前です。クロマニヨン人、グリマルディ人、周口店上洞人、三ヶ日人と呼ばれる人たちです。そして1万年前の最後の氷河期が終わると人類に文明が生まれてきます。何を持って文明というかというのは難しいのですが、一般的には農耕牧畜と集落による都市社会といわれますが、ここに貴金属の使用を加えたいと思います。メソポタミア(シュメール)やエジプトの古代遺跡から夥しい量の貴金属の装身具が出土されますが、自らを飾り立てる装身具は文明の証の一つと言えるのではないでしょうか。 人類の文明として最も古いのは紀元前3500年前のメソポタミア(シュメール)ではないかと考えていますが、現代の科学の発達で世界で同時発生的に20くらいの文明があったともいわれます。そしてそれ以前から人類は自分を表現するために何らかの装身行為をしてきました。この装身行為そのものがジュエリーの起源でしょう。 ジュエリーの起源としては護符説(人間が体験或は想像できない道なるものから守るため身につける行為)、ホモ=ルーデンス説(人間が本来持っている「遊び心」)、自己異説化説(他人と区別、差別する)、自己同化説(同じものを身につけることによっておきる共同意識)などがありますが、入れ墨などは最も古い或る意味でのジュエリーかも知れません。
現代のポリネシアの原住民の中にはこのような装身行為を行っている人たちもいる。胸元には動物の角か牙をネックレスに、耳元には何かの模様を書き込んでいる。昔の人は入れ墨を野蛮だと言ったが、何千年という人類の歴史の賜物であるという理解が必要である。
「日用品のような必需品ではない」「なくても生活する上で別に困らないもの」という人がいますが、果たしてそうでしょうか。はじめに話しましたように、ジュエリーは「女性にとって必要品である」というのが私なりの結論です。女性が生き生きと輝くためにはなくてはならない存在の一つがジュエリーであると思うのです。天の邪鬼ではない限り、ジュエリーを前にすれば女性の目は輝きます。女性が輝けば男性も頑張るし、そうすれば世の中が活性化するのです。では女性にとって必要品であるジュエリーとはどういうものかということですが、「女性を感動させるもの」であるべきです。感動させる要因は「美しいこと」「希少であること」そして「その人にとって意味を持つ存在であること」でしょう。ジュエリーはその人が所有するに十分な理由がなくてはなりません。現在のジュエリーに「この意味を持つ存在」が備わっているかというと甚だ疑問です。利益だけを考えたリスクの伴わないジュエリーに魅力があるとは思えません。世の中の不景気のせいばかりでなく、消費者・個客にとってジュエリーは魅力のないモノになってきていることに問題があると思うのです。
増渕邦治(ますぶち くにはる)