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2009/3/4 水曜日

故イブ・サンローラン氏が所蔵、ムガル帝国時代の宝飾バックル

Filed under: ジュエリーニュース, ジュエリーオークション ニュース — ジェムランドeditor @ 6:14:28

イブ・サンローランのムガール朝時代のブローチクリスティーズが主催し、2月23-25日(日本時間24-26日)にパリで開催されたフランスの服飾デザイナー、故イブ・サンローラン氏が所蔵していた美術品類のオークション。出品されたネズミとウサギの銅像※が大きく報道されたから、ご承知の方も多いだろう。

世間の耳目はこれらの銅像に集まったが、私はこのオークションに出品された、1800年代のムガル帝国時代のバックルに注目した。小さなダイアモンドが数多く留められているが、研磨技術の進んでいない当時のダイアモンドの使われ方を目にすることができて興味深かった。

ダイアモンド研磨業界の革新的新技術であったスカイフと呼ばれる回転研磨盤が1400年代に発明されたことで大幅に進歩した研磨技術は、このバックルがつくられた1800年には既に対称的に平らな小さな面(ファセット)でダイアモンドを囲む技術を確立していた。 といっても1800年初頭に馬が、次いで蒸気が動力となるまでは人力でスカイフを回していたから、生産性は非常に低かったのだろう。 当時の作というこのバックルをみると、ポイント・カットの石も散見されるものの、原石の形状をそのまま活かしたものや、マクルをはじめとする原石の角を削っただけと思われるダイアモンドも多い。古い時代のダイアモンドの使われ方を示す貴重な実例だ。

この宝飾バックル、直径は12cm、およそ280万円(22,500ユーロ)で落札された。

※ネズミとウサギの銅像は1860年代の第二次アヘン戦争の際に英仏連合軍が清朝の離宮「円明園」 から持ち出したもので、中国がオークションの中止を求め返還を要求していた。それぞれ約19億5千万円(15,745,000ユーロ)で落札されたかと思われたが、今度は落札をしたという中国人男性二人が略奪品に金は払わないと記者会見を開くという事態となった。

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