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2008/10/27 月曜日

スリランカ宝石便り〜その16〜英国宝石学協会100周年

Filed under: スリランカからの宝石便り — shinko @ 14:03:14

今年は、英国宝石学協会が設立されて100周年という特別な年にあたります。

世界の中で最も歴史ある「宝石学協会」ですが、太古の時代から採掘されてきた宝石の歴史から見ると、「宝石学の歴史ってそんなに浅いものだったの?」と感じてしまいます。

化学組成や内包物から化学的に宝石を分別していく手法が確立されたことで、同じ色をした「ルビースピネル」、「ガーネットとピンクトルマリン」などが区別できるようになりました。今日では多くの宝石が合成され、オイルや加熱、照射といった処理が施されています、「宝石学」は天然とニセモノの区別だけでなく、その天然の宝石が「どのような処理がされているのか」といったことを鑑別する上でも欠かせないものです。処理する側としても宝石の性質を理解して、無理のない恒久的な処理を行う上でも宝石学的な知識は必要でしょう。高級な宝石を持つのですから、情報がしっかり開示され納得のいく買い物ができるようになればと願います。

私が「宝石学」を学ぶきっかけとなったのは、宝石の内部に広がる内包物の美しさに魅かれたからです。ちょうど主人がスリランカに赴任していたということもあり、コロンボで英国宝石学協会の鑑別資格であるFGA(Fellow of Gemmology Association)の勉強をしました。この資格は日本やカナダ、オーストラリアを始め22カ国の提携センターで取得することができます。スリランカの場合、コロンボとキャンディのブリティシュ・カウンシルで年2回(1月と6月)に試験を受けることができます。もちろん英語のみですが・・・。

1.ファンデーション・コース(半年)

それに合格した後、

2.ディプロマ・コース(半年)

全部で1年のコースです。授業は週1回から2回、少人数です。私の時には、ファンデーションは私のみで、ディプロマは二人でした。お陰で、私のペースで質問することができました。(←だから合格できたのでしょう)ディプロマを取得すると「FGA」というタイトルを使うことが許されます。スリランカの場合、このタイトルがあれば鑑別書を発行することができます。(お店で出されるのは、ジュエリーの保証書であり鑑別書とは違います。)スリランカでは宝石学を大学で学ぶ人は多いのですが、FGAの資格取得には費用がかかりすぎる(教材、試験代がこちらの物価から考えると非常に高い)ので、躊躇される方が多いです。(大学で学んだ場合はファンデーションコースが免除されるが、ディプロマはコースと試験を取らなければならない)

日本では宝石学の資格と言えば、GIA(米国)のGGを取得される方が多いと思います。

GIAの詳しいことはわかりませんが、FGAはビジネスとして宝石を扱うことより学問としての宝石といった色合いが強く、試験の内容も記述式です。勉強していて、途中何度も、「どうして、こんなに掘り下げた質問、癖のある質問が多いのか?」と腹ただしく思ったこともあります。会員のメーリングリストも鉱物的な質問や議論が多いように見受けられます。

さて、英国宝石学協会の宝石学会が10月26日、27日ロンドンのヒルトンホテル(ケンジントン)で開催されます。100周年に伴い、例年にないスピーカーの多さで、充実したものになるでしょう。次回はその会場の様子などをお伝えします。

片山新子(かたやま しんこ)、FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki
個人ホームページ 宝石や内包物の写真を掲載「Ragems」www.ragems.com

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